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ふと、煌の手を見ると少し震えているのが見えた。…矢張り、年相応の感情は持っていたみたいだ。
「顔上げろ、お前は今日から生け贄なんか
じゃねェ。」
そんな、暖かい言葉いつぶりにかけてもらっただろう。でもいきなりそう言われても、わからない。
いつも生贄に人権はなく、人々には忌み嫌われて実の親さえも自分の事を愛していなかった。
……ずっと、そういうものだと思っていたのに
煌は少し戸惑った顔をした後に俯いたまま
「……でも、俺は生贄で、……それ以外に何も出来ない。何も、教えてもらってない。」
「これから知っていきゃあいいだろ。」
そこで煌は初めて紅丸の顔をまっすぐ見つめた。本当にいいのか?
本当に……この苦しみから、解放してくれるのか?
紅丸の顔は少ししかめっ面で怖かったが根はいい人だということはうっすら感じとれた。
こんな見ず知らずの子供を拾ってくるくらいだから余程のお人好しだろう。