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そう、あれはまだ桜の花びらが残っていた頃のことだ。蝶屋敷の縁側であたたかな陽気にあたりながら茶を啜っていた。一人ではない。隣には同僚兼恋人の水柱と共に座っていたのだ。
お互いの近況報告などを談笑まじりに話していた。
最近私の艶が、妹たちが、継子のカナヲが。など。取り留めのない会話ばかり。口数は少ないがそれでも相槌を打ち、寛三郎も実は、と彼も会話を楽しんでいるように見えた。
そこでふと、私は思ったのである。
恋人らしいとはなんだろうと。
傍から見た私たちは、はたして恋人に見えるのだろうか。想いが通じ合って半月が経とうとしているのに、たまに縁側でお茶を飲み会話をして玄関まで見送り…これでは仲の良い同僚と変わらないのではないだろうか?
以前甘露寺に恋人としてみたいことをそれとなく聞いた事を思い出す。
手を繋いだり、抱擁したり、口付けをしたり。
少し大胆なスキンシップをしたがっていた。確かに、世の恋人たちが手を繋いで歩いているのをよく見かける。時には腕を組んでいたりと。そうしていなくとも肩がぴったりとくっついている人たちが多いような気がする。何かと触れ合っていたいのだろうか?そう思うと現状の自分たちは世の恋人たちと違ってまったくそう見えていないのかもしれない。
だが人には人の価値観がある。恋人だかといって無理に恋人らしいことを強制するのはなんだか気が引ける。自身は少し触れ合ってみたいなんて思っていても義勇はこの現状を維持したいと思っているのかもしれない。無理に次に進まなくてもゆっくり進めばいいと、恋人らしくなくともその人たちなりの速さで共に歩めばいいと甘露寺も言っていた。
焦る必要はない。いずれその時が来る。今はこのなごやかな時間を大切にしたい。
「ところで胡蝶」
「はい、なんでしょう?」
「俺はそろそろ胡蝶に触れたいのだが胡蝶はどう思う?」
口に含んだお茶をあやうく吹きそうになった。んん”……ッとうなりにも似た声が出て、こぼす前に慌てて含んだお茶を飲む。誤嚥しそうになり軽く咳払いをしてから改めて義勇が発した言葉を理解する。
「ふぅ……えっと、その、触れたい、とは……どういう、触れたい……ですか?」
変な緊張で上擦った声が出る。冷静に取り繕っても言葉の端々から動揺しているのが丸わかりである。気を紛らわすため手に持っている湯のみの掴む位置を変えてみたり回してみたりしきりに落ち着きがない。
義勇はそれすらも愛おしいというようなやわらかく微笑んだ表情でしのぶを見つめ返す。
「俺は、さいごまで行きたいが……しのぶが良いというところまで触れたい」
「さっ、最後ってなんですか……!?」
恋愛経験の少ない……というか皆無である己には彼の言う“さいご”が分からない。最後とは何を表しているのだろうか。
義勇は己の発言に驚いたように目を見開く。私が知らないのを察すると気まずそうに目を伏せて額に手を当てた。
「えっと……なんと言えば……」
口を開いては、閉じ、開いては閉じを繰り返し言いにくそうにハクハクと動かす。いつも人の神経を逆撫でするような事しか言わないこの人がここまで言葉にするのを躊躇うとは……よほど言いにくいのだろうと無意識に固唾を飲む。
恋人らしいこと、はそんなに難しいのだろうか。甘露寺の言っていた恋人らしいことの中には、確かに友人でも出来るものはある。手を繋ぐことや、抱擁は友人同士でも難なくできるだろう。海外の方では挨拶がわりに頬に口付けすることもあるのだそう。そうなるとやはり恋人らしいことをするのは難しいのだと思う。
頬に口付けは親しい仲でも出来るのだろうが、唇に接吻は恋人同士でしかきっとしない。
義勇は先程“しのぶが良いというところまで”と言っていた。つまり私の許可が必要ということ。みだりに女性の身体に触れてはいけないが恋人なら特に問題はないだろうに。彼は優しいからきっと私に遠慮しているに違いない。
そうでなければ彼はこんなに悩んでなどいないだろう。
「義勇さん」
伏せていた顔を上げた。少し眉間に皺を寄せていた彼と視線が交差する。彼が、なんだ?と言う前に半開きになった口にそっと自身の唇を重ねた。すこしカサついていて、 柔らかい感触に心臓が跳ねる。隙間なくぴったりとくっつけた。
初めての接吻は自分からだとは思いもしなかったが、悪いものではなかった。寧ろ癖になる様な心地良さがあった。唇を合わせているだけなのに不思議な多幸感で満たされる。美味しいものを食べた時や、好きな人に褒められた時など些細な日常の中で幸せと感じる瞬間に似ているかもしれない。彼の方も驚いてはいたものの自ずと唇を突き出し互いのそれの柔らかさを堪能している。
少し気恥ずかしくなって、名残惜しくはあるものの唇を離すと彼も切なそうな顔をしてこちらを見ていた。途端に顔に熱が集まり、体温が上昇していくのが分かる。目を見ていられなくて彼の胸に頭を預け視界に映らないようにした。
「……わたし、義勇さんにされて嫌なことなんて、ないですから」
尻すぼみになりながらも言葉を紡ぐと彼の腕が優しく抱きしめてくれた。それを了承だと受け取り自身も彼の背中に腕を回す。
自分の小さな身体が嫌い。鬼の頚も斬れない小さな身体が。だけれど彼の腕にすっぽりと収まるこの身体で良かったと思った。この小さな身体も悪くないのかもしれないと思った。
「……なら、今夜、この続きがしたい……」
彼が控えめに言う。
この続き。どんなことされるのか自身には想像が出来ないが、少なくとも痛いことはされないと断言出来る。彼はそんな人ではないからだ。
「……はい、今夜……そちらに参ります」
彼に顎を捕まれ、視線を合わせられる。深く蒼い瞳には燃えるような炎が写し出されていた。
以前彼が「目は心の窓だ」と言っていたのを思い出した。その時の私はまったく意味が理解できず「喋って下さい」と彼の主張を真っ向から断ち切ってしまったけれど。今ならわかる気がする。目は口ほどに物を言う、とはまさにこのことであるのだと理解した。
彼のしたいことが手に取るように分かってしまう。なぜならその蒼い眼が自身の唇に注がれているからだ。
少し躊躇い、だけれども今更止められるわけがない。瞳を閉じて彼を待つ。はっ、と息を飲む音が聞こえてしばらく。ふに、と隙間なくくっつく彼のそれ。
何度も何度も、形を確かめ合うように、柔らかさを堪能するように、アオイの足音が聞こえるまで私たちは唇を合わせていた。
トントン。夜も更け巡回も終わりすっかり暗くなった深夜。水柱邸の扉を軽く叩く女がひとり。彼の足音が聞こえ、ああついに来てしまったと彼女は逸る鼓動を落ち着かせようと深呼吸をした。扉が開かれその目の前には待ってましたと言わんばかりの顔で男が女を見る。
「しのぶ」
がばり。彼よりも二回り以上小さい女を抱きしめる。しのぶはそんな彼を宥めるように背中に腕を回し自らも優しく抱擁した。
「しのぶ」
甘えたな子供の如く愛しの名を連呼する義勇にひとつひとつ彼女は返事をする。はいはい、と。他に何も言うでもなく。しかし彼は子供ではない。立派なおとなで、今もこうして抱きしめられているが彼女のお腹には既に彼の屹立しているソレが当たっているのである。それがナニであるかを自覚した彼女は途端に恥ずかしくなる。一度離れ湯浴びをお願いしようと彼へ視線を合わす。
「あの、義勇さ__んっ!?」
彼女が思っていたよりも、彼は限界だったらしい。目を見るなりすぐさま口吸いをしてきた。腰を抱き寄せられ、逃げれぬよう後頭部を抑え込まれ、彼女は為す術なく彼に翻弄された。そしてさらに驚いたのは彼の舌が口内に入り込んできたのだ。別の生き物のように動き回り蹂躙され息が絶え絶えになる。夜であってもいつ何処で誰が来るか分からぬ玄関先で口吸いなど、彼は中に入るまで我慢できなかったのか。さながら待ての出来ぬ犬のよう。
「あっ、あぅ……ッ」
少し開いた口からは、言葉にならぬ音が出る。初めての経験にしのぶはただただ義勇に流されていた。口を吸われているだけなのに、足の力が抜け始める。倒れないように彼の後頭部へと腕を回ししがみつくようにして抱きしめた。それに気分を良くした彼は尚更より深くへと舌を差し入れる。舌を絡めていたのが、内頬を舐められ、上顎に触れ、歯列をなぞられる。その動きひとつひとつに背筋に電流が流れたような感覚を拾う。彼に舌を唇で挟まれるとついに耐えきれずゾクゾクとした痺れを感じると共に腰に力が入らなくなった。
ガクンッと崩れ落ちそうになるしのぶを彼は腰に添えていた腕に力を込めその勢いのまま横抱きにする。足で玄関の戸を閉めると早足でてちてちと寝室へ向かっていった。
「ま、待って……、ゆ、湯浴み、させて下さいっ」
寝室へつくなり早々に布団の上へとしのぶを降ろす。(布団は朝仕舞い忘れていたもの)
じゃあ早速と服を脱がそうと牡丹に手をかけたところしのぶが制止の声をかけてきた。
「汗かいてますのでっ、湯浴みを……」
「それまで待てない」
存分自分はせっかちだったのかと、あまりにも狭量すぎる己に内心驚く。しかし待てないのも事実であり付き合ってからこの半月の間、ずっと我慢していたのだ。
もっと細かく言うと付き合う前からしのぶの事を慕っていたし、下心ももちろんあった。付き合ってからはそんな自分の欲が膨れ上がって時にはしのぶのこの裸体を想像しては自身で慰めたこともあった。
彼女を傷付けたくないという思いから今日まで我慢していたが半月が経過してこのまま進展も何もなく、己が死ぬ可能性だってあるのに流暢に待っていられないと考え直し彼女に問いただした。否定されたら、拒否されたらやめよう。そう思っていたのだがしのぶの方から口付けされ、この先を促すようなことを言われればこれまでの己の頑張りは何だったのかと疑うほどすんなりこうして初夜を迎えることができた。こんなことならばもっと早く言えばよかった。
「これ以上、待ちたくない」
もう制止してくれるなと彼女の口を塞ぎ、隊服の牡丹を外し始める。ビクッと身体を強ばらせ緊張で身を固くしたのがわかる。それをほぐすように入念に口を吸う。まずはこちらの方に集中しろと言わんばかりに。
中のシャツの牡丹も外し終えると一度口を離す。
「ぷはっ」
潤んだ瞳で苦しそうに肩で息をするしのぶと目が合う。口吸いだけなのにすでに目がとろんと蕩けてきている。他の人がどうなのかは分からないが彼女はきっと感じやすい方なのだと思う。
どちらのものか判別出来ぬ唾液が彼女の口端からこぼれてしまっている。その艶姿ときたら目も当てられぬ色っぽさがあるものだから己の中心部に急速に血が集まりはじめるのを感じた。ちらりと視線を下に下げると胸を覆うさらしが目に入る。一部分を引っ張り軽く緩め、たるんだ隙間から指を差し入れる。ふにふにと女性にしかないその柔らかさを堪能しながら胸の頂へと目指す。そこはもう既にかたくなっており指の腹で軽くかすめただけで彼女の身体はびくんと跳ねる。そのかわいらしさに無意識のうちに乳房を触れている手とは反対の手に力が入っていた。シーツを強く握りしめていた手をゆるめ恐る恐るとさらしを解いていく。
彼女は恥ずかしそうに顔をそらしながら身を震わせる。つんと立ったそこをピンッと弾くと小さく吐息を漏らすのがかわいくて仕方がなかった。
顕になっていく胸。まるで雪のような白い肌に桃色に色付いた乳輪が艶かしい。その先っぽは触れて欲しいと言わんばかりに主張していて、彼女の呼吸に合わせて揺れる胸がたまらなくいやらしかった。
唾を飲み込む音が、彼女にも聞こえてやしないか。この心音が速くなっているのは、彼女にもバレているのではないか。こんなにも緊張したのは彼の姉が義理の兄となる人と初めて会った時以来だろうか。鬼殺の時でもこんなに心臓が激しく動いていることは少ない。己の呼吸もだんだんと荒くなっている気がする。
乳輪をなぞるように撫でさすり、乳首もくりくりと弄ぶ。彼女がかわいらしい声で啼くたびに自身の理性が削られていく。すこし力加減を間違えただけで壊れてしまいそうな華奢な身体がビクビクと跳ね、快楽から逃げるように身じろぎをする。もっと乱れさせたい、もっと感じさせたいと頭の中で渦巻く欲求に支配された。
「ひゃっ、あぁ……ぎゆぅ、さんっ」
せつなげにこちらを見上げる惚けた眼差しと目が合った。甘ったるい吐息と声に心を乱しながら彼女を見る。無意識か、自身の下で膝を擦り合わせているものだから彼女が何を欲しがっているのかが分かってしまった。
「かわいい。かわいいな、しのぶ」
もちろん、おあずけさせる理由などなく彼女のベルトを外し脚絆も取り袴も脱がせる。細く、無駄な肉などない腿のその先。下着の股間部が小さなシミになって濡れているのだと分かる。そこはかすかな汗の匂いと女の香りを漂わせていた。そちらからねだっておいて恥ずかしいと脚を閉じてしまう彼女の膝裏を掴み左右に開かせる。
小さく悲鳴を上げた彼女を他所に、下着越しに舌を押し当てた。じゅっ……とさらにシミを濃く広げながら上下に舌を動かしてみる。
腰が僅かに浮いて息を漏らす彼女が愛らしい。
「そこっ、きたなぃ、からぁ」
小さな手が己の頭へと触れる。か弱い力で押し返されるも何の対抗にもならず、逆にそのいじらしい行動がかわいくて仕方がなかった。下着を脱がせるのも惜しくて股部分を横にずらし濡れたソコを直接舌で刺激する。初めての女の蜜はクセになるような味で不思議と甘く感じた。指で左右に秘部を開き、まだ皮を被って隠れている花芽を舌で剥いた。舌先でチロチロと花芽を舐めるとしのぶの声音が一段と高くなった。蜜がこぼれ出て臀部を伝いシーツを濡らす。強すぎる快楽を逃がすことも出来ずシーツを掴み、身を捩り、目を固くつむっている。
次第に蜜の量が増え始めしのぶの呼吸も早くなっていく。もったいないとこぼれ出た愛液をすする音が彼女の耳にも届きさらに顔を赤くさせた。すっかり全貌を表に出した花芽が義勇の舌によってねぶられ、こねくり回され続け硬くなっている。秘部全体を舌で舐め上げ愛液をすくって花芽に馴染ませるように舐めると唾液とはまた違った感触を楽しめる。粘着質でありながら唾液よりもさらさらとしたそれは滑りをよくし与えている刺激が倍増している。クチクチと上下に舌先を動かすと彼女の脚がぴくぴく震え出す。腰をこちらに突き出すようにして陰部が開閉を繰り返す。絶頂が近いのだと悟り、さらに大胆に舌全体で花芽を包み込み接触面積を増やす。それを上下左右に動かすと彼女の腰がガクンっと跳ね背中が弓のようにしなった。目を開いて初めての感覚に戸惑いつつも上手く絶頂した彼女の腹をぽんぽんと叩く。秘部から離れ顔を覗き見ると涙目になって口端から涎を零れさせている彼女と目が合った。酸素を求めるように口をはくはくさせて肩で呼吸をしている。絶頂の余韻で脳が上手く働いていないのかこちらを見てはいるが何か喋ろうとはしていない。よほど気持ち良かったのだろう、目がとろんと蕩けていて今にも寝てしまいそうなほど瞼が落ちてしまっている。
このまま寝かせてやりたいのだが、生憎もうおあずけされるのはごめんである。蜜はたっぷりと出してくれたので次はナカを解してやらなければ。彼女は小さいからきちんと解さなければきっと痛いであろうことは容易に想像できる。己のそれが特別大きい訳では無いが平均よりもやや大きめなのでしっかりナカを解さないと辛いのは彼女の方。痛い思いはさせたくない。
既に下着としての機能を果たしていないそれを取り外し、まずは指一本で試みる。中指を馴染ませるように割れ目をなぞり花芽や入口を愛でながら蜜を絡ませる。きっと指一本だけでもキツイだろう。すこしでも痛くならないようにもう片方の手で乳首を愛撫し、あまり下半部に集中させないよう口吸いを同時に行う。彼女は素直に舌を絡ませて後頭部に腕を回した。つぷり、指の先端をゆっくり差し入れる。指は愚か、綿棒すらきっと入れたことの無い膣内は想像よりもきつかった。入れるだけでさえ違和感がするのか彼女の眉毛がぴくりと動く。しかしきつくても指を飲み込んでいく様はとても妖艶で締め付けられる感覚に腰が浮ついた。
指を根元まで挿入し終え、しばらくそのままナカで動かずにいた。親指の腹で花芽をいじれば蜜が出て膣圧が少し弱まった。力が抜けたのを確認するとゆっくりと出し入れを繰り返す。まずは、指の太さを覚えさせるために。滞りなく前後を行き来しながら彼女の反応も確認する。なにぶんこちらも初めてであるため何処を刺激すれば気持ちよいのかが分からない。
昔、階級が上の先輩に遊郭へ連れていかれたことがある。『女を知らぬまま死ぬのは嫌だろう』と。先輩隊士や遊女の方にここをこうすれば気持ちよい、ここを触れれば女は悦ぶ、と基本的な知識を無理やり教え込まれたものの結局己は自分の都合で女性を抱きたくなかったから逃げるようにその場を立ち去った。
性行為とは、愛を伝え合うための行為だと思っている。無論、遊女たちは仕事でしていて彼女たちのことを貶す気は毛頭ない。
それに、女を知る予定も元よりなかった。好きな人も、こんな自分を好いてくれる人もいないと思っていたから。__ 彼女と会うまでは。
「あっ、やぁっ、ぎゆうさんっ」
花芽を愛でながらナカを掻き回す。卑猥な水音が部屋に響いている。ぐちゅ、ぴちゃ。腹側を押し上げるようにさすると彼女は背を仰け反らせる。指の二関節目あたりまで挿入したところ、すこし窪んでいてヒダが絡みついてくる。そこを押すと先程までの異物感が無かったかのように彼女が悦い反応を示した。
だめ、やだ。と首を左右に振って嫌々しているのを無視し、そこを重点的に刺激してみる。すると彼女のつま先がピンッと伸び喉をさらしながら悲鳴にも似た嬌声を上げ指をキツく締め付け絶頂した。
弛緩し、うねるナカがなおも指をきゅうきゅうと締め付け離さない。
また埋めてやるから。と思いつつ指を抜くと、とろりと蜜がこぼれた。指にまとわりついた愛液を舐め、絶頂の余韻に浸る彼女へ問いかける。
「痛かったか?」
「はぁ……はぁ……はぁ……、いいえっ、痛くなかったです……」
「そうか。では次は指を増やすぞ」
「あっ、いや、イッたばかりで、まっ……!やぁッ」
痛みはもうほとんど無く、あるのは多少の圧迫感。2本の指が奥へと進むたびヒダにこすれて声が出る。ふわふわと浮いているような感覚を覚え、気持ちいい、に支配される。ついで花芽が生暖かなもので包み込まれ甘美な刺激を受けた。それが舌だと気付くのにそう時間はかからなかった。
「あっ、あぁ〜〜ッ!!それ、やだぁっ」
じゅぽじゅぽ、くちゅくちゅ。
ナカと陰核を同時に責められる。強い悦に襲われ息も絶え絶えに喘ぐしかできない。何かにすがりたくて、シーツを握る。内腿に力が入りチクチクとした髪の頭を挟み込んだ。腰から脳にかけて何かが走る。溜め込んだ感情が真っ白に弾け身体が大きく跳ねる。
ガクガクと痙攣し抑えの聞かない脚が力なく布団に投げ出される。恥ずかしげもなく大股に広げて、指を抜くと女陰がひくひくと物欲しげに蜜を垂らしていた。
初めてだというのに、こんなにも気持ちよくなってしまってなんてはしたない。義勇に淫乱な女だと思われてしまったかもしれない。
しのぶがそう不安がっているが現に彼はそんなことを一切考えておらず、その逆の思考をしていることを彼女は知らない。
袴を脱ぎさり、そそり立ったソレを彼女の女陰へ押し当てる。硬く、太く。彼女のナカへ入るのを今か今かと待ち望んでは先走りが垂れる。
裏筋を擦り付け、今からここに入るぞ、と知らしめる。先程イッたばかりなのに彼女の奥はそれが欲しいと疼いている。
「しのぶ……」
悩ましげな声で呼ぶ。彼女の許可を待っているのだ。天然で、口下手で、心優しい彼なりの気遣い。最後の最後まで許可が下りるのを我慢するとは。その優しいところがたまらなく好きなのだ。
「はい……きて、ぎゆうさん……」
入れやすいように、自ずと脚を広げる。彼女の背中へ片腕を回し抱き寄せ、もう片方は彼女の手を取り指を絡ませる。
ゆっくりと沈ませる。未開通の道。内側から肉をえぐられるような経験したことの無い類の痛み。しかしこれは彼女が彼を受け止めようとしているからこその痛みで、多幸感に満たされるのを実感する。
入ってくるのを感じる。薄い腹の中に、彼のものがある。
「フゥッ……しのぶ、全部入った……」
彼のそれが脈打ってるのさえ、分かる。義勇の背中に回していた腕を自身の腹の上へとのせた。
「ぅ、嬉しいですっ……ここに、あなたがいるんですね……」
正真正銘、ひとつになった。目尻から涙が数滴零れる。嬉し涙だ。
この職業柄、死とはいつも隣り合わせ。明日を迎えられるかも分からぬ命だ。彼の隣にいられるだけで幸せを感じていた。彼と話をしている時は普通の女の子のようだった。贅沢は出来ぬと我慢していたから、そう自分を抑制しなければ欲張りになっていたから。だからこうして触れ合えるなんて想像もしていなかった。
「はぁ……、すき、好きです……大好きです、義勇さんっ」
今まで我慢していた感情が、雪崩のように押し寄せてくる。お腹にのせていた手を、今度は彼の頬へと触れる。口角を上げて、優しい笑みを浮かべている彼と目が合った。
「俺も、愛してる。しのぶ」
少しずつ近付いて、軽く唇が触れた。むにっと、押し当てるように。しばらくそうして、唇同士をくっ付けていると彼のソレが小さく動き出したのがナカからの振動で伝わってくる。小刻みに、少し動くだけ。それに合わせて彼の唇が頬を伝って、顎にもし、首筋や鎖骨、胸元にも軽く接吻をする。そして今度はその舌で這うように先程接吻をした場所を舐め始める。舌先でなぞって、敏感な肌にはそれすらも気持ちが良くて声がかすかに零れる。
彼女が少しでも痛い思いをすることがないように触れて舐めて愛撫して。彼自身はめちゃくちゃに動かしたいのを我慢しているはずなのに。それだけ彼女が大切なのだと理解させられたような気がした。
鎖骨と首筋にぢゅっと吸い付かれる。そんなに強く吸ったら痕になってしまう。ぴりりとした痛みを感じて彼を見るとなんともまぁ満足気な顔をしていて。そんな幸せそうな顔を見てしまったら、彼女も言うに言えないではないか。
__後にこれが所有痕だと呼ばれるものだと知ったのは、三日後薬を受け取りに来た宇髄にこの痕を見られた時である__
そのまま数回ほど吸われると、舌先で顔の輪郭をなぞって耳たぶをはむはむと唇で甘噛みされた。形を確認するように舐めたあと舌を耳穴まで入れられ卑猥な音しか聞こえず身をよじった。耳だけで こんなにも感じるとは、彼と身体を合わせなければ生涯知ることもなかっただろう。
充分にナカが解れ、彼女の身体も力が抜けてきたころ。小刻みに動かしていただけの腰を、少し大きくしてみる。力を加えなくともやはりまだナカは狭くきつい。しかし丁寧に慎重に愛撫したのが功を奏し、彼女が痛みで顔を歪ませている感じはしなかった。腰を引くときに丁度彼女の良いところに彼のカリ首がこすれるのか声を抑えようと片手で覆っている口から甘い吐息が零れていた。
ぬちゅっ、パチュンッ
水音と共に肉同士がぶつかる音が響く。ヌメリ、絡みつくナカ。己の肉棒でよがる女の姿。聴覚からも視覚からも興奮材料としての基準を満たし、優しくしてやりたいのに腰が止まらない。次第に激しさをます抽挿に彼女も声がだんだんと抑えれなくなっていた。
「やっ、あッ、あぁ〜っ!だめ、ですぅっ」
穿つたびに強い快楽に襲われしのぶは嫌々と首を振る。こんな甘い声も、こんなによがる姿も、次々と迫り来る悦も、本来なら知ることもなかったのに。これは紛れもなく自分なのに、こんな風に乱れているのが信じられなかった。快楽に支配されそうで、癖になりそうで、彼に溺れそうで、怖かった。
「うっ、んんぅッ……!ぎゆうさ、あんッ」
目尻から流れるその水滴を、彼は優しく舐めとった。心は読めないはずなのに彼女の不安を理解しているかのような、安心させる手つきで彼女の頭を撫でる。
身体をつなげながら、心もつながって。己の奥深く、心の底から満たされるような感覚。「好き」や「愛してる」では言い表せないこの多幸感。きっと彼でなければこの気持ちも知ることはなかっただろう。
背筋をあの感覚が突き抜ける。奥がきゅんっと疼いて彼のを離すまいとうねりだす。頭が真っ白になって何も考えられなくなる、あの感覚。
ふと閉じていた目を開けると、こちらも眉間にシワを寄せて余裕のなさそうな彼の顔が間近にあった。彼女の手が彼の唇に伸ばされ、そっと人差し指で触れる。蒼い瞳と目が合う。
「ぁうっ……、ぎゆぅさんっ、ねぇ……、ちゅうしてくださ、い 」
普段の彼女なら言わなそうなおねだりに彼の理性は完全に壊れてしまった。がっつくような接吻をする。余すことなく口内を嬲る。
夢中になりすぎて口端から唾液が零れるのも厭わずに貪る。
ビクビクと彼女が震え出し途端に強縮するナカ。精液を搾り取ろうとするいやらしくうねる刺激に負け、呆気なく彼も欲を膣内に吐き出した。
ドクドクと注がれているのを感じながら名残惜しそうに前後に動く。出したというのに萎えることを知らないソレはまだシたいと硬さを保っている。
いい加減苦しくなって彼の背中を軽く叩く。最後に思い切り口を吸われズチュンと奥を小突かれると彼女の身体は簡単に反応してしまう。
その勢いで口が離れ彼女の短く高い声が木霊した。
「はぁ……はぁ……フゥー……しのぶ、悦かったか?」
息を整えながら彼は問うた。彼女の反応を見れば分かるだろうに。
「はあっ、はあ……、はぁ……ふぅ……」
息の整わぬ彼女が首を縦に震る。恥ずかしげに小さく、けれどもしっかり彼を見て。
正直もう一戦と言いたいところだが、彼女の体力が限界に近いかもしれない。反応は良かったが何せ処女であるからして無理はさせられない。ズルリとナカに収まっていたソレを引き抜く。それだけでもぴくんっと反応するのが可愛らしくて慌てて見ないように視線を逸らす。
手ぬぐいで、身体を拭かなければ。このままでは汗や何やらで気持ちが悪いだろう。そう思い彼が立ち上がろうとしたところを彼女が呼び止める。
「まって……もう、シない……の?」
控えめに握られた手。潤んだ瞳。もっとと期待するような眼差し。一度果てたことで冷静になった理性が再度壊される音を聞いた。
彼女が求めているのなら、仕方がない。
そう責任転嫁することでたとえ抱き潰してしまったとしても許してもらえるだろうと、持て余していた冷めきらぬ熱を彼女にあてがった。
その後はというと、翌日彼女の足腰が使い物にならなくなるまで抱き潰してしまい彼女は今日は蝶屋敷には戻れない旨の手紙が寛三郎つてに蝶屋敷に届くと、察しの良いアオイからはしのぶを気遣う言葉と彼に対する叱責の言葉が返ってきた。
『以後、こういうことがないように。水柱様には大変失礼かと存じますがもう少々加減というものを覚えた方がよろしいかと』
と、丁寧ではあるが二度目は許さないと文面でも読み取れるほどに怒りを滲ませているのが分かる。
幸いなことに今は重症患者はいないようで。アオイ等で軽症患者は対処可能だということ、水柱邸で姉をゆっくり休ませてあげてほしいとのこと、明日の朝までには帰して欲しいとのこと。などといろいろ細かい要件がありつつも義勇は頬を緩める。
あれこれとアオイがしのぶのことを心配しているのは、彼女が愛されている証拠だろうから。彼は黙ってそれに従う。生憎、彼女の妹は義勇としのぶの仲について言及はしてこなかった。すくなからず、己も信用されているのだと理解し今度なにか手土産の一つでも持っていこうと決める。
その手紙を折りたたみ、くしゃくしゃにならないように机の上に置く。まだ毛布にくるまって穏やかな寝顔を晒す彼女の頭を撫でた。気持ちよさそうに寝息をたててクセっ毛の柔らかな髪を指で梳かしながらその寝顔を堪能する。
己にこんな感情が芽生えるとは、想像もしていなかった。恋は素晴らしいものだ。彼は痛いほど、それを理解した。恋をしていた姉の顔はとても輝いていたのを間近で見ていたから。だけれどそれを義勇自身が経験することは無いと思っていた。鬼殺隊に入ってからはなおさら。
「……好きだ。しのぶ」
当のしのぶ本人は寝ているけれど。好き、という単語を口に出すだけでホワホワとした暖かな気持ちに包まれる。そぅっと起こさないように彼女の額に接吻をおとす。さてと、と言って立ち上がる。彼女が朝に弱いことは知っているから起きるまでに朝餉の支度をしなくては。無理をさせた自覚はある。なるべく消化が良いものがいいだろう。あまり自炊はしたことは無いが姉が寝込んでいた時は義勇が作っていたのだ。簡単なものは彼でも作れる。毛量の多い髪の毛を縛り、いそいそと部屋から去ってしまった。
彼が後ろを振り返らなくて良かった。もし振り向いていたら布団から少し出でいる彼女の耳が赤くなっていることに気付かれていただろうから。
どうもこんばんは!!!皆さん映画見ましたか!私は見てきました!!しのぶさんかっこよかったですよねぇ〜!!声優さんの演技も凄くて涙ボロボロでしたよ!
さて、今回はリクエストいただいたぎゆしのを書かせていただきました!シチュエーションは何でも良いとの事だったので初えっちをするぎゆしのを書いてみました!いかがだったでしょうか?映画で負った傷を少しでも癒すことが出来たでしょうか!
この甘々な初えっちの数ヶ月後には無限城に落とされて、しのぶさんの訃報を聞かされ……そう考えるとまた別の感情が込み上げてきませんか??自分で書いてて悲しくなってきました、この話はこれで終いだな!!
映画の効果でしょうか、最近フォロワーさんが増え続けていて大変嬉しいです。鬼滅の刃が終わるまで、しのぶさん右関連を書き続けていきたいと思います。
今回も少し長くなってしまいましたね。
書きたい部分がありすぎて詰め込みすぎた結果です(笑)
リクエストありがとうございました!
皆さんからいただいたリクエストも順に書いていく予定です。たくさんのいいねとコメント、いつもありがとうございます!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
それではまた別の作品で。
コメント
3件
やっぱしのぶちゃんは義勇さんに甘やかされるのが1番だよねぇ💗今回も最高でした!!!