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そして大掃除も終わり、放課後となった。
「じゃあなー、草凪!立花!」
五十嵐がみんなに挨拶し、こちらにも手を振りながら教室を出ていく。
「あんたは?今からまっすぐ帰るの?」
隣にいた美希が聞く。
「いや、風紀室に呼ばれてて」
「そう。じゃあ夏休みの予定は?」
「うーん、特に無いかな」
「ならどこか遊びに行く?」
「行く!!!」
雪乃は嬉しそうに尻尾を振る。
そんな姿を見て微笑む美希。
「じゃあまた連絡するから」
じゃあね、と美希も手を振りながら教室を出ていった。
少し夏休みが楽しみになってきた。
雪乃は軽い足取りで風紀室に向かった。
「え?合宿?」
風紀室に着いて早々、雪乃は驚いた。
「そう。ゲーム部の合宿」
「…それに?」
「お前もついてこい」
「…何故?」
訳がわからない雪乃に、春翔は淡々と説明する。
「人手が足りないんだとよ。あと飯作れる奴が欲しいらしい」
「…ゲーム部っていっぱいいるんじゃ」
「あー、ゲーム部の中の我々だっていうグループだけだから大丈夫だ」
「何故風紀がついていくの?」
「風紀ってゆーか、個人的に頼まれてな。ついて来てくれって。人手が欲しいらしいし俺は料理とか出来ないからお前も来い。どうせ暇だろ」
「おい」
なんか色々言われたが最後のとこだけ引っ掛かった。
「てかご指名入ってるから、お前」
「は?」
「我々だには僕が推薦しておきました」
背後から笑顔で現れたのは、チーノ。
振り返り訝しげにチーノを睨む。
「推薦?」
「合宿に行くにあたり優秀な人材を探してたみたいなので、僕が彼女のことを売り込んだんです」
「らしい」
「…はぁ?」
何考えてんだこいつ、と眉間に皺を寄せる。
ニコニコと笑顔の仮面を貼り付けるチーノ。
「その売り込みのおかげでお前に指名が入ったんだよ」
「誰から?」
「トントン」
雪乃はその名前に聞き覚えがある気がして、首を傾げる。
なんならついさっき聞いたような…。
何にせよ、グルグル眼鏡のことだ。
また何かよからぬ事を企んでいるに違いない。
結果、行くべきではない。
「悪いけど、ことわ…」
「いいのか、3泊4日だぞ」
春翔が断られるのを察して雪乃の言葉を遮る。
「4日間も俺と会えなくなるんだぞ、いいのか」
何だその新手の脅しは、と口を紡ぐ雪乃。
「俺やったら、二つ返事でついて行って全力で草凪先輩のサポートするのになぁ」
嫌味ったらしく口を挟むチーノ。
2人に挟まれ、むぅ、と悩んだ後、
「わかったよ。行けばいいんでしょ」
観念した。
よく分からんけど春翔もいるし、まぁ大丈夫だろう。
「よし、じゃあ明日から合宿だ」
「…………明日!?」
急な予定と、隣で不敵に笑ったチーノに、先行きが不安になる雪乃だった。