大半の店を回って、時刻は19時半。
「、、川綺麗」
「お姉ちゃんもう一回かき氷食べたい!」
私がふと川を見た瞬間妃奈乃が言った。
「私ももう一個食べたい、いい?」
紗月ちゃんが宇治を見て聞いた。
「いいよ、でもお腹壊さないでよ。妃奈乃ちゃんも」
「大丈夫です!じゃあ二人で買ってくるからお姉ちゃんたちは待ってて!」
「うん、じゃあこの辺座っとくから」
妃奈乃と紗月ちゃんは二人でかき氷のお店の方へ行った。
「川、綺麗だよね」
「、ああ、うん」
宇治が川の近くにあるベンチに座ったので、隣に私も座った。
「あ、これ宇治が描いたやつ?」
掲示板に宇治が描いたポスターが貼ってあった。
「うん、そう」
「上手いね」
宇治は軽く頭を下げた。
「大会どうだった?」
「一応、ベスト8」
「えっすご、おめでとう」
「ありがとう」
私は少し微笑んで言った。
「夏休み、なんか予定とかは?」
「部活以外特にすることないし、暇かな」
「美術部って夏休み何するの
、、ああ、あの、馬鹿にしてる訳じゃ
なくて」
「ははっ、いいよ別にそんな風に聞こえないし」
ちょっと焦ったが、よかった。
「去年は先輩がみんなで美術館行くって計画立ててくれたけど、今年は特に何もって感じかな。部室行って描くか課題するかくらい」
「でも2年にも一人部員いるんでしょ、1年生にも3人?だっけ」
「うん、でも全然仲良くないし」
宇治以外、全員兼部だと言っていた気がする。ほとんど交流がないならその方が自然だろうか。
「幡中は部活ばっかり?」
「週4で部活。お盆とかお祭りある日はオフだけど」
「大変だね」
喉が乾いて小さく咳払いをした。
「ごめん、飲み物なくなったから自販機行ってくる」
立ち上がった瞬間、腕を掴まれた。
「紗月と妃奈乃ちゃん戻って来てからにして」
「ああ、みんなの分も買ってくるよ」
「、いや」
私の腕からすっと手が離れた。
「文化祭のこと忘れたの」
宇治は小さくため息をつきながらまた座った。
「いたいた!買ってきたよ〜」
妃奈乃と紗月ちゃんがかき氷を持って戻ってきた。
「?お姉ちゃんたちどうかしたの?」
「ううん、何もないよ」
「自販機行こ、もう飲み物ないから」
宇治はそう行って立ち上がり、私の前を歩いた。
「はい」
目の前にオレンジジュースが差し出された。
「え、いいよ」
「飲み物なくなったんじゃないの」
もう一度強く差し出され、受け取った。
「妃奈乃ちゃんと紗月も」
宇治が2人にもジュースを渡すと、2人は笑顔でお礼を言った。
「ありがとう宇治」
「紳士には前に一回ジュース貰ったし」
宇治がそう言うと紗月ちゃんと妃奈乃は紳士だって、と笑い合った。
「変な呼び方やめてって」
宇治は笑った。
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