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「幡中さん?」
声がした方を振り返った。
「え、宇治?」
「佐倉くん」
「紗月、妃奈乃ちゃん、行こ」
宇治は私にスマホを向け、連絡するから、というようなアイコンタクトを送った。
「あ、ごめん、一緒に来てた?」
「あぁうん、でも大丈夫」
「幡中さんじゃん!久しぶりだね」
佐倉くんの後ろから、中学の同級生3人がやって来た。
「邪魔しちゃ悪いだろ、行こうぜ」
「そうだな、俺ら店回っとくから」
「うん、ごめん」
佐倉くんの横にいた3人は手に持ったフランクフルトを食べながら屋台の近くへ歩いて行った。
「佐倉くん来てたんだ」
「昨日急に行こうってことになってさ。あの女の子2人は?」
「私の妹と宇治の妹。妹同士が仲良くて一緒行くことになって」
「ああ、そういうことか」
佐倉くんは笑った。
「、宇治と仲良い、よね」
「、、仲良いっていうか」
「あ、いやごめん、そんななんか意図とかないから!」
佐倉くんは焦ったように両手を振った。
「服、似合ってるね」
「ああ、ありがとう」
ぱっとスマホが光り、見ると宇治からLINEが来ていた。
『二人が輪投げしたいらしいからそこ行っとく』
『それ終わってちょっとしたら多分帰ると思うけどどうする?』
「ごめん、早いけど戻るね」
佐倉くんが何も言わないので、そのまま背中を向けた。
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掴まれた自分の左腕を見て、振り返った。
「抜け出すのは、駄目かな」
なんと返せばいいかわからず、何秒か黙ってしまった。
「…あ、もう帰るとこだったりする?」
「多分、もうすぐかな」
佐倉くんは私の腕をぱっと放した。
「ごめん、調子乗ったよね」
「夏休み、また遊び誘っていい?」
私が少し口角を上げて頷くと、佐倉くんはありがとう、と言った。
「時間取っちゃってごめん、俺もあいつらのとこ戻るわ」
佐倉くんは私に背中を向け、屋台の方へ行った。
輪投げ、どこだろう。
さーっと辺りを見渡したが近くにはなさそうだった。回ろう。
「お姉さんすいません、うお〜めっちゃタイプ」
急に後ろから肩を叩かれ、振り向くと少し年上であろう男性が1人立っていた。
「お姉さんどうしたの、友達とはぐれちゃった?」
「、いや、これから帰るんで」
「え〜そんな冷たいこと言わないでよ。後ろから見ても可愛いのわかったんだよね〜、今日付き合ってくれなくてもいいからさ、LINEだけ教えて」
無視して進もうとしたが、手を掴まれた。
「LINEだけだよ?別に交換したって問題ないじゃんよ」