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テラーノベル(Teller Novel)
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俺は言われた通りにここで待つ事にする。今何時かはわからないけど、ずいぶんと時間が経ったように感じる。


ギィィ…


扉が開き俺を助けてくれた男が現れる。


?「長い時間待たせてすまなかったな。ほら、これ夜食だ。それと…全部じゃないけど…。」


俺の前に沢山の紙切れを置く。それはちぎられたknの絵だった。俺は大事にそれを抱える。


?「修復は厳しいけど、何も残らないよりマシだろう。」


俺は涙を堪えながら頭を下げて礼をする。頭をわしゃわしゃと少し乱暴に触られる。

すると目の前に見慣れたトレーとご飯が乗っていた。


?「食べた事あるメニューだろ?」

sh「…ある。naと一緒に食べた…。」

?「お前がnaと一緒に暮らしてた時にnaに頼まれてたんだよ。“二人分”作ってくれって。内緒でなんて言うからかなり困ったけどな。」

sh「俺のために…有難う。」

?「ほら、食べようぜ。冷めたら勿体無い。」


俺は首を縦に振る。ゆっくりと食べ始めるとnaとの楽しかった日々を思い出す。


sh「…美味しい…。」

?「これからも作ってやるよ。」

sh「あの…俺お願いがあるんですけど…。」

?「ん?言ってみなよ。」

sh「俺に、料理を教えてくれませんか?」


俺はnaと約束した夢の話をした。そしたら男は『naならなれそうな気がする』って嬉しそうに笑っていた。


?「よし!そんな事ならこの料理長の俺が教えてやるよ。けど、あんまり時間ないから今ぐらいの時間から少しだけな。」

sh「あ、有難うございます!」


今日はもう遅くなるから明日からやろうと二人でその後もご飯を食べながら色々な話をした。




あれから数日間、料理を教えてもらっている。思ったよりも難しいが、思い通りにできた時はとても達成感があって楽しい。

俺は料理長が帰ってくるまでの間必死にノートを開きメモを取る。





もう何ヶ月が経つのだろうか。ある程度の料理は作れるようになった。naにはずっと会えてないけど、約束を守る為にも俺は必死で料理を覚えていく。


料理長「成長したなぁー!もうこんなのも作れるのか。」

sh「料理長のおかげだって。本当に助かってるよ。」

料理長「こりゃnaも喜ぶだろうなー。」

sh「まだ完璧じゃないけど、喜んでもらう為にも俺、頑張る。」

料理長「せっかくなら今度naに料理を振る舞えばいいんじゃないか?」

sh「え?」

料理長「俺なら二人を会わせる事だって出来るし。」


naがどうしているか、俺が急にいなくなったし心配してるだろうな…。けどこうして夢に向かって俺は頑張ってるんだって見せたい。


sh「…会いたい。」

料理長「よーし。なら今晩にするか、明日naも学校ないんだろ?」

sh「うん。」

料理長「楽しみだな。」


俺は料理長に少しだけ笑顔を見せる。料理長は少し驚いたが嬉しそうに俺を抱きしめた。苦しいって肩を叩く。あまりにも嬉しそうな料理長を見て俺は恥ずかしくなる。


料理長「じゃぁ、俺は戻るからnaに何作るか考えておけよ。」


料理長が部屋から出ていく。俺はノートをめくる。料理長から沢山教えてもらった事をこのノートに綴る日々。もうすぐこのノートもいっぱいになる。俺はその日々を思い出しながらnaに作る料理を考える。





いつの間にか眠っていた俺は目を覚まし辺りを見渡す。料理長が戻って来ない事に疑問を抱く。

おかしいと思い少しだけ厨房に顔を出す…が、誰もいない。 俺は更に奥の廊下へと続く扉をゆっくりと開ける。


ガヤガヤガヤ…


なんだろう、奥の方で騒がしい声が聞こえる。微かに料理長の声が聞こえる気がする…。

俺は静かに音がする方へと歩みを進める。近くなる声。その声は何か争っているような感じで俺はその場で足を止めた。


タッタッタッ…


誰かがこちらに走ってくる。俺はまずいと思い来た道を戻ろうとした瞬間…


料理長「馬鹿野郎!何で外に出てんだ!早く部屋に戻れ!」


走ってきてたのは料理長だった。俺は背中を押されて走ろうとする。しかし慌てすぎてその場で転んでしまう。


料理長「大丈夫か?立てるか?」

sh「ごめん、大丈夫。」

?「……やっぱり生きていた。」

sh「!?」


料理長の後ろを見るとnaの母親がそこに立っていた。俺は怖さで立ち上がる事も出来ずにいた。


料理長「…あなたがやった事は許される事じゃありません。」

na母「…お前が助けたのか。」

sh「ち、違う!」

na母「喋らないで!」

料理長「…あぁ。俺が助けた。」

na母「こんなやつを何故…何故助けたの。生きてちゃいけないのに…」

料理長「この子が何したんですか…」

na母「お前もここにはおいておけない…」


naの母親が手を振り上げる。手には光る物が見えた。そして振り落とされる手…。


料理長「あぁぁぁあぁあぁ!!」


響き渡る料理長の声…段々と料理長の体が赤に染まる…


sh「あぁ、嘘だっ!嫌だ!やめろよ!」

na母「うるさい…お前もこうなるんだよ…」


もう一度高く手を上げた瞬間…


na「母さんっ!?」


naの声が聞こえてnaの母親は手を止める。ゆっくりと手を降ろし後ろにいたnaの方を見る。


na「…嘘だろ。何してんの?これ…母さんが?」

na母「悪い事をした罰よ。邪魔しないで…まだ終わってない。」

na「……ふざけんな…あんたがしてる事は…ただの犯罪者だっ!!」


naが俺の手を取り走り出す。そのままnaは出入り口まで走っていく。

外に出るとnaはポケットから携帯を取り出し救急車に連絡をしていた。


na「…許さない。」

sh「na…?」


いつものnaとは全然違う雰囲気だった。料理長の事が気になり俺はホテルの方を振り向くと勢いよく手を引っ張られる。


na「…着いてきて。」

sh「…わかった…。」


俺はnaに手を引かれて歩き出す…今まで見た事のないna。その様子はまるで俺を殺そうとしていたあの時のnaの母親に似ていた…





俺たちが作り上げたもの

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