# 第一話 幻想入り
夜空夢はふと目を見開いた。
「……あっ!」
久しぶりに見た神社の姿が視界に映った。
心がざわつく。懐かしさと少しの緊張が混ざり合っていた。
「そうだ!久しぶりに幻想郷に帰ろう」
彼はそう決めて、思い切って足を踏み入れた。
しかし……どうやら座標を間違えたらしい。
空を見下ろしても、見慣れぬ風景。
「ここはどこだ……?」
気にせず、とにかく進むことにした。
彼の目指す場所は一つ。
「幽冥楼閣の亡霊少女の場所に!……」
道に迷いながらも、目的地は合っている。
その場所の桜は、いつ見ても変わらず美しかった。
すると、どこからともなく声が聞こえた。
「侵入者ですか?」
夜空夢は振り返り、すぐに答えた。
「いいえ、侵入者ではありません。勝手に入ってしまってすみません」
「僕の名前は夜空夢です」
すると、声の主が名乗った。
「そうですか……侵入者ではなく、お客様ですね」
「名乗り遅れました。私の名前は魂魄妖夢。呼び方は好きにしてください」
「お名前は夜空でしたね。どのような用件でここに来たのですか?」
「僕の知り合いがここに住んでいるから、久しぶりに会いに来たんです」
「幽々子様のことですか?」
「そう……幽々子さんに会いに来たんです」
「わかりました。まあ……いろいろ話したいこともあるので、家に行きませんか?」
「はい、お願いします」
「呼び方は……魂魄さんで大丈夫ですか?」
「いえ、妖夢で大丈夫ですよ」
「わかりました。では、妖夢さんでいいでしょうか?」
「できれば呼び捨てでお願いします」
「わかりました」
「私も……夢って呼んでいい?」
「いいですよ」
「あと、敬語は禁止です」
「分かった」
そうして二人は玄関前にたどり着いた。
「家の中に入ろっか」
「うん」
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