テラーノベル
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「…俺ね、怖いの」
「自分が自分じゃなくなっちゃう気がして…」
「自分の大切な人を、壊してしまいそうで…」
「……だからさ」
「俺が愛している、貴方の手で…」
「……俺を、終わらせてよ」
「〜〜〜〜〜っ!!!!」
目を開けると、そこは見慣れた部屋だった。
俺自身の姿も、もう見慣れたもので。
いつも通り、汗だくで息が荒かった。
…また、この夢。
“あの出来事”から、毎晩この夢を見る。
お陰で気分は最悪だし、生きている気がしない。
俺…どれだけ引き摺ってんだよ…。
「…お前のせいやからな……」
「………じゃぱぱ…っ、、」
ずっと、分かっていた。
「たっつーん!!行くよー!!」
そう言って笑う、彼の裏には。
どうしよもない程の闇があることに。
でも俺は、気づかないふりをしていた。
心の何処かで、ずっと否定した。
こんなに明るいじゃぱぱに、裏なんてある訳ない。
本当は分かってたはずなのに。
そう信じ続けて、じゃぱぱの心から目を背けてきた。
その代償は、ある日突然襲ってきた。
また、いつものように遊ぶ約束をしたとき。
じゃぱぱはその場所を指定した。
「場所は、俺達が出逢ったところ。分かるよね?」
勿論分かるけれど、どうしてその場所なのか。
そのときの俺には分からなかった。
だって、俺達が出逢った場所は…。
人が誰もいない、廃墟なのだから。
俺が廃墟に着いたとき。
じゃぱぱは既に到着していて、空を見上げていた。
「…じゃぱぱ?」
そう声をかけると、じゃぱぱはゆっくりと振り向いた。
その瞬間、背筋が震えた。
じゃぱぱの瞳に、いつもの光はなかった。
何を考えているかも分からない、真っ暗な瞳。
ふとなくなってしまいそうな、そんな瞳だった。
「…じゃ、ぱ…ぱ…っ、?」
彼の名を呼ぶのがやっとだった。
じゃぱぱはそんな俺の声を聞いて、ふっと笑った。
目は全く笑ってないくせに。
「…たっつん」
そうして、じゃぱぱは語り出した。
「…俺、ずっとたっつんと過ごしてきて」
「すっごく楽しかったの…」
「たっつんとの日々は…宝物だった」
「…でも」
「日を重ねる度に…嫌でも分からせられる…」
じっと俺の瞳を見つめ、ぽつりと呟いた。
「……俺が、俺じゃなくなり始めてることに…」
「…何、言ってんのや…?」
「じゃぱぱは…何も変わってない…」
「…いや、俺は変わってしまった」
「もう…どうしよもない程に」
そこまで言うと、じゃぱぱは俺から視線を外して。
膝を抱え、顔を伏せた。
「…俺、怖い……」
じゃぱぱの声は、震えていた。
「俺が…俺じゃなくなっちゃう…」
「俺が大切にしてた物も…大切だった人も…」
「全部全部…壊してしまいそうで…」
その呟きを、俺はただ聞いていることしか出来なかった。
こんなじゃぱぱを、俺は見たことがない。
身体中から汗が噴き出し、目が見開いたまま動かない。
「…だから、さ」
じゃぱぱは身体を起こし、俺の方へ何かを投げる。
かちゃん、と金属と地面がぶつかる音がした。
拾ってみると、それは紛れもなく、本物の拳銃だった。
なんで…こんなものを…。
じゃぱぱの方へ目を移すと、じゃぱぱは目を細めて笑った。
ゆっくりと此方へ歩み寄り、俺の手をそっと握る。
俺の手には、拳銃が握られていた。
じゃぱぱはそのまま俺の手を動かし、銃口を自身の額に当てた。
「…俺が愛している、たっつんの手で…」
「……俺を、終わらせてよ」
「できる訳ないやろ…っ!!」
俺は叫んだ。
出来る訳ない。どうして俺が…じゃぱぱを…殺さなければ…!
「…俺は、たっつんに終わらせてほしいの」
暗い表情のまま、じゃぱぱは言葉を紡ぐ。
「俺はもう…きっと生きてちゃいけない…」
「だから…最期は…たっつんの手で、たっつんを見ながら…逝きたい…」
「……!!」
じゃぱぱの頬を、何かが伝った。
それは、初めて見るじゃぱぱの涙だった。
「…ねぇ、お願い…たっつん…」
相変わらず、じゃぱぱの瞳に光はなかった。
でもその瞳の中には、もう少しも揺るがない決意があった。
じゃぱぱも、きっとまだ死にたくないのだろう。
でも、自分ではなくなってゆく自分が怖くて。
このままでは、何をするか分からなくて。
だから、誰かに迷惑をかける前に、全て終わらせたいのだろう。
…でも、
「…俺には、できへんよ…っ、」
気づかないうちに、俺の瞳からも涙が溢れていた。
「大好きな、じゃぱぱを…っ、」
「殺すことなんて…できない…っ、!!」
じゃぱぱは泣いていた。
でも、その涙は、悲しみではなかった。
勿論、悲しみもあっただろうけど。
じゃぱぱは、どこか嬉しそうで。
俺は少しだけ、その表情に期待してしまった。
もしかして…死ぬつもりなんか___
次の瞬間。
手をぐいっと引かれて。
驚いている隙に、俺の手の上からトリガーを引かれた。
バンッ、と軽快な音が鳴って。
俺の視界は、真っ赤に染まった。
俺の目の前で立っていたじゃぱぱが、横に倒れていく。
涙を流していたけれど、
凄く嬉しそうで。
一瞬だけ、瞳に光が戻った気がした。
________愛してたよ
最期にそう、じゃぱぱが呟いた気がした。
#じゃぱたつ
桃大福 🍑
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コメント
6件
言葉が…出ません…!!!好き!!