コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
祐誠さんと私。
あんこさん、慧君、希良君、果穂ちゃん……
東堂社長、前田さん。
それぞれが、それぞれの道を歩み、数年の月日が経った。
プロポーズされた翌年の4月。
桜が満開の春の日に、私達は大切な人達に見守られて結婚式を挙げ、新婚生活をスタートさせた。
祐誠さんと2人、仲良く明るい家庭を築いてきた。
一緒に住むようになってから今まで、毎日毎日が新しい発見の連続で……
祐誠さんの苦手な食べ物や好きな映画。
たまに作ってくれる料理が美味しかったり……
考え事をする時は、自然にあごに手がいく。
眠る時は真っ暗じゃないと眠れないとか。
可愛かったり、カッコ良かったり、たまに色っぽかったり……時々、失敗するとこだったり。
本当に、いろんな祐誠さんを知ることができた。
それは全部、私の楽しみであり、私だけの特権だった。
それが密かに嬉しくて、ドキドキが止まらない日常が幸せで仕方なかった。
だけど、相変わらず忙しくしている祐誠さん。
社長の仕事は本当に目まぐるしい。
結婚してからは、ジムには行かず、家の中にあるトレーニングルームで運動するようになったけど、それもなかなか時間が取れなくて。
そんな彼の体調を気遣い、なるべく体に良い食事を作ったり、良く眠れるアロマを焚いたり、私なりにいろいろ調べて実行してる。
「このご飯美味しい」とか「いい香りだな」って、毎日言ってくれるのが嬉しくて。
どうしても帰りが遅くなったり、出張だったりでゆっくり話せない時もあるけど、それでも言葉や態度でちゃんと想ってくれてることがわかるから、私は何も不安じゃなかった。
夫婦として一緒に暮らす中で、お互い思いやりを持つことの大事さを学んだ気がする。
祐誠さんは結婚と同時に立派な新居を建ててくれ、すぐ近くに私の両親の家まで用意してくれた。
そんな彼の行動に、両親は深く感動していたし、私や私の両親にまで優しくしてくれる祐誠さんには、どんなに感謝してもしきれないと思った。
そして、私達は……
そんな環境の中、可愛い赤ちゃんを授かった。
待望の男の子だった。
出産はかなり大変で、赤ちゃんの顔を見たとたん感極まって泣いてしまったけど、こんなにも素晴らしい経験をさせてもらえて本当に幸せだった。
名付けたのは祐誠さん。
榊 正孝(さかき まさたか)。
生まれて来たその小さな命を、祐誠さんはとても大切にしてくれた。
お互いの両親も赤ちゃんの誕生をすごく喜んでくれたし、もちろん私も、母親として慣れない子育てを頑張りながら、正孝にめいいっぱいの愛情を注いだ。