『なぜそう思う。この俺の怪我だらけの体を見て、どう思ったんだ。』
「お前、人間じゃないだろ。それに、もう怪我治ってるだろ?」
どこまでバレてる。人間じゃないのは外見だけでわかるとは思ってはいたが。洞察能力が異常に高い…っていうか、高すぎる。…なるほどな。
『アンタにはバレバレってことかよ。ケッ。』
俺はそう言いながら、ゆっくりと立ち上がる。
『アイタタタタ…クソ師匠がつけてくれた怪我がまだ治ってないな。』
「そうか、でも立ち上がれたじゃないか…おっと、霊夢が来たみたいだ。」
「ちょっとあんたたち大丈夫?特にその落ちてきたヤツは大丈夫じゃない…と…え?」
『おお、2人目。白黒に集中して忘れてたぜ。』
「初対面に失礼すぎない?っていうか、あんた、大丈夫なの?そんな堂々と立って…」
…あまり手の内を明かしたくないが、この2人は…仲の良い親友というか、昔からの幼馴染の感じがする。どうせ隠してもこの白黒が紅白にバラすだけか。
『別に大丈夫だ。そんな軟じゃねえし。』
「ふーん…んで、あんた名前は?」
『エラーだ。』
…あとはあまり言わないでおくか。
『…じゃ、俺はそろそろ去るとするか…』
謎の世界に迷い込んだが、別に出れないという訳では無い。アンチヴォイドに接続ができるからだ。
「…あんた何いってんの?」
『別に、俺は見ず知らずの世界から抜け出すだけだ。意味がわからなかったのか?』
「いや…幻想入りしてきた外来人…人間ではないと思うけど、幻想郷から私なしで外の世界へ行けるってことが…有り得ないのよ。」
……そうなのか?…
『すまない。少し虚言癖があってね。過去に辛い体験をしたもんで。』
「ふーん…ま、いいけど。」
…っ!?
『ゴホッゴホッ』
明らかに自分の意思ではない咳が出た。
そんなはずがない。インクがここにいるはずが。実際、この世界に来たときもインクの反応がなかった。いや、力を失っている可能性も…
「(挙動、言動、表情、見た目…全てが怪しい。何をか言わんや考えているかわからないけど…)」
(スッ…)
「(サイン…こいつをどうにかするのか…?霊夢。)」