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「音河くん、おはよ」
教室に入ると扉付近にいたクラスメイトに話しかけられた。
「うん、おはよ」
僕は話しかけてくれた人に向かって笑顔でそう言う。
別に無理して話しかけなくてもいいのにな、と思ったりするが、話しかけられて嫌な気は起きないし、少し、いや結構嬉しいので感謝を示すために笑顔で返事をするようにしている。
僕はそう思いながら自分の席に向かった。
僕の席は窓際の一番後ろの席だ。
7月にもなり教室には生暖かい空気が広がっているが、窓からの少し涼しい風が心地良く、くじ引きでこの席を引いた僕は運がとても良かったなといつも思う。
そんな僕の名前は音河奏。
いかにも音楽に触れていそうな名前だ。
両親が小さい頃から音楽に触れていたらしく、僕にも受け継いで欲しいという願いをこめ奏という名前をつけたとか、
僕も小さい頃からピアノやバイオリンなどを習わせてもらっていたが、どれも続かずザ・音楽という習い事はしていない。
両親はそれでも全然いいと許してくれているので僕はその優しさに甘えることにしている。
そして、僕は高校二年生。
一学期の期末テストも終わり、あと三週間程で夏休みということで教室では明るい空気な流れていた。
僕はそんな空気に耳を傾けながら読みかけの本を開き途中から読み進めていった。
ガラガラッ
教室の扉が急に開き、先生がせかせかと入ってきた。
扉が急に開いた衝撃と先生が来る時間がいつもより早かったことで教室内にはザワザワとした空気が広がる。
「はーい、静かに」
丸メガネにクルクルとした髪の先生が話し出した途端、教室内は静かになる。
「皆さんにお知らせがあります」
先生がそう言ったことで一旦静かになった教室はまた騒がしくなった。
そうなる気持ちも分からなくは無い。
僕もきっとクラスメイトと同じでお知らせとはなんなんだと思う気持ちでいっぱいである。
「お知らせってなんなんですかー??」
クラスメイトの誰かが僕たちを代表して一番聞きたい質問をした。
「言って欲しい??」
先生がそう言ったことで教室内は「教えてー!」「早くー!」などの声が聞こえる。
そのどれもが僕の気持ちを見透かしたようでクスッと笑ってしまった。
「はいはい、言うから静かに」
先生の言葉が聞こえた途端、教室はシーンと静かになる。
「転校生が来ています」
クラスメイトはその言葉の意味を理解したのだろう。
「おおー!!!」「誰ー!!」「えー!可愛い子かな?!!」「イケメンがいいなー!!!」などの声が聞こえる。
転校生には凄いプレッシャーがかかっているな、そう思いながら僕はその言葉を聞いていた。
「はい、じゃあ入ってきてー」
「失礼します」
先生が入ってきた扉から転校生が入ってきた。
さっきまであんなに騒がしかったクラスメイトは転校生のことをじっと見ている。
「おはようございます、今日からこのクラスにお世話になります。観月響です。よろしくお願いします」
転校生の名前は観月響くんと言うらしい、
観月くんは深々とお辞儀をした。
そんな観月くんは同性から見てもかっこいいと思うくらいなイケメンだ。
二重のつり目に綺麗な鼻、薄い唇とサラッとした髪の毛。
「観月くんに何か質問がある人はいますか?」
第一印象がイケメンな観月くんだ。
それはそれは質問したい人なんて多いはず…
僕はそう思いながら前を向いた。
(えぇーーー、)
僕の視界には予想を超えるくらいのクラスメイトが手を挙げていた。
観月くんは驚いた表情をしていた。
そりゃそうだ、初めてあったクラスメイトが自分に興味津々なのだから。
キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを知らせるチャイムか鳴り響く。
「あれ、もう終わっちゃったか…」
クラスメイトから観月くんへの質問は一向に終わる気配が見えることはなく、チャイムが鳴るまで続いていた。
『彼女はいるの?』『好きな人は?』『どんな人がタイプ?』などの質問に観月くんは丁寧に答えていった。
たまに、僕と目を合わせながら話していたのはきっと僕の自意識過剰なのだろう。
「はい、じゃあ、終わりね、席はそこの音河くんの隣だから」
先生はそう言いながら、教室を去っていった。
「響くん!!」
「ねぇねぇ!」
僕とは違い見た目にしっかり気を使った女の子達は観月くんに話しかけている。
「ちょっと待ってな、荷物起きに行かなあかんから」
観月くんはどうやら関西弁らしい、
そんな観月くんは僕の方に近付いてきた。
「音河くん?であってる?」
僕は観月くんに話しかけられたしまった。
関わる気なんて一切なかったのに、
というか、なんで僕に話しかけるのだろうか、
「ぅ、うん、合ってるけど、」
「良かった、合っとった。先生が言ってた通り、音河くんの隣やからよろしくな」
観月くんはそう言いながら、僕の隣の席に座った。
僕は先生の言っていたことを思い出す。
事前に伝えて欲しかったなとかそういう思いは通用しない、
既に観月くんは椅子に座っていて、その周りには観月くんに興味がある人達が集まっているから。
僕はため息を吐いた。
これからの学校生活、どうなる事やら、
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