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任務中に×××の服が破れて狭い箱に
キルアと2人…
任務中の路地裏。
能力の余波で、
×××の服が一部、びりっと裂けた。
「……っ」
反射的に腕で隠す×××に、
キルアは一瞬で表情を変える。
「動くな」
声が低い。
自分の上着を脱ぎかけた、その瞬間——
地面が歪んだ。
「……っ!?」
視界が反転して、
次の瞬間、狭い箱の中に二人まとめて落とされる。
闇。
壁。
距離、近すぎ。
「くそ、能力か」
キルアが体勢を立て直そうとして、
咄嗟に×××を守るように前に出る。
——結果。
片手が壁に、
体が覆いかぶさる形。
床ドン、みたいな体勢。
「……っ」
二人同時に、固まる。
「……悪い」
キルアはすぐに顔を逸らす。
「当てるつもりじゃなかった」
箱は狭く、
一歩下がる余地もない。
×××の鼓動が、近い。
「……服」
キルアは視線を上に固定したまま、短く言う。
「破けてる」
「見るなって意味じゃない」
「……守る」
言い切り。
でも、声がわずかに掠れてる。
静寂の中で、
お互いの呼吸だけがやけに大きい。
「……近いな」
キルアがぼそっと。
「能力、解除されるまで」
一拍置いて、
「……動くな」
理性で線を引くみたいに。
拳を壁についたまま、
指先に力が入る。
「……オレ」
小さく息を吐く。
「こういうの、任務中じゃなきゃ」
言いかけて、止める。
「……忘れろ」
箱の外で、能力が揺らぐ気配。
その瞬間まで、
キルアは一切視線を落とさなかった。
近すぎる距離。
触れない自制。
——解除の衝撃と同時に、
キルアは即座に距離を取る。
「……大丈夫か」
耳が、赤い。
「次、ちゃんと守る」
照れと焦りを全部飲み込んで、
再び任務の顔に戻る。
でも、
箱の中で交わった呼吸の近さだけは、
二人とも忘れられなかった。
能力が解けて、
箱がほどけるみたいに視界が開けた瞬間——
キルアは、思わず息を止めた。
「……っ」
想定より、近かった。
想定より、×××が——
「……見るな、オレ」
自分に言い聞かせるみたいに小さく呟いて、
ほぼ反射で上着を差し出す。
「はい」
「早く」
声、ちょっと裏返ってる。
顔は完全に横向き。
視線は壁固定。
×××が上着を受け取る気配を感じてからも、
キルアは一切振り向かない。
「……その」
少し間を置いて、
「見えてないから」
「ホントに」
×××が上着を羽織りながら、
不安そうに聞く。
「……変なとこ、見えてないよね?」
その一言で、
キルアの耳が一気に赤くなる。
「み、見てない!」
即答。
「任務中だし!」
「そういうの、見るわけないだろ!」
勢いで言い切ったあと、
一拍。
「……ていうか」
小さく付け足す。
「オレが先に焦っただけ」
×××も、同じくらい照れてるのが分かって、
二人同時に目を逸らす。
「……もう行くぞ」
キルアは咳払いして、
少し前を歩き出す。
でも、数歩進んでから、
立ち止まって。
「……寒かったら言え」
「その上着、ちゃんと着とけ」
振り向かないまま、
ぶっきらぼうだけど優しい。
×××が「ありがとう」と言うと、
キルアは短く返す。
「……当たり前」
背中越しでも分かるくらい、
耳が赤いまま。
任務は続くけど、
さっきの距離感だけは、
しばらく頭から離れなかった。
路地を抜けて、任務の移動中。
キルアは先頭を歩きながら、
さっきから妙に無口だった。
「……」
——見てない。
そう言った。
嘘じゃない。
ちゃんと視線は外してた。
……なのに。
(なんで思い出すんだよ)
一瞬だったはずの光景が、
勝手に頭に浮かぶ。
(忘れろ)
(任務中だぞ)
自分に言い聞かせるほど、
逆に意識してしまう。
キルアは小さく舌打ちして、
頭を振る。
「……」
そのタイミングで、
ふと後ろを振り返った。
——×××と、目が合う。
一拍。
「……っ」
キルア、即座に視線を逸らす。
耳まで一気に赤くなる。
「な、なんでもない」
早口。
「前、見てろ」
明らかに挙動不審。
×××が不思議そうに首を傾げると、
余計に耐えられなくなる。
「……だから」
「さっきのこととか」
「もう終わった話だから」
言いながら、
拳をぎゅっと握る。
(忘れたいのに)
(なんで覚えてんだよ……)
数秒沈黙してから、
小さく付け足す。
「……オレが」
「ちゃんと守るから」
それ以上は言わない。
でも、
×××がそばにいるのを意識するたび、
キルアの心拍は少しだけ早くなる。
任務は順調。
なのに——
目が合うたび、
二人とも少しだけ照れてしまう。
それが余計に、
忘れられなくさせていた。
任務終了。
合図を確認して、
二人きりの安全圏に入った瞬間——
キルアは、はっきり分かるくらい肩の力が抜けた。
「……はぁ」
深く息を吐いて、
壁に背を預ける。
「終わった……」
その直後。
「……ねえ」
×××の声。
キルアが顔を上げると、
じっと見られてる。
「な、なに」
その時点で、
もう耳が赤い。
×××は少し間を置いて、
静かに言った。
「……やっぱり」
「見たんでしょ」
一拍。
「……っ!?」
キルア、完全フリーズ。
「な、なんでそうなるんだよ!」
即否定しようとして、
言葉が詰まる。
「……っ」
視線が泳ぐ。
「……見てないって」
「言っただろ」
でも、声が弱い。
×××が一歩近づく。
「じゃあ」
「なんで任務終わってから」
「そんな顔してるの?」
追い討ち。
キルアの理性、限界。
「……っ、だから!」
顔を背けて、
頭をかく。
「一瞬だし!」
「不可抗力だし!」
言ってから、
はっとして口を押さえる。
「……あ」
沈黙。
×××が、にやっとする。
「一瞬は見たんだ」
「……!」
キルア、真っ赤。
「ちが……!」
「ちがくはないけど!」
「ちゃんと見たとかじゃなくて!」
言い訳が迷走。
「オレは!」
「守るつもりで——」
途中で止まって、
観念したみたいに小さく呟く。
「……忘れようとした」
「でも、無理だった」
その正直さに、
×××も一瞬言葉を失う。
「……だから」
キルアは顔を上げないまま。
「もうこの話終わりな」
「次の任務までに、忘れる」
強がり。
×××が笑って
「無理そう」と言うと、
キルアは小さく睨む。
「……からかうな」
でも、
本気で怒ってないのが丸わかり。
照れが爆発したまま、
キルアは一歩前に出て言った。
「……帰るぞ」
「今度は」
「ちゃんと、平常心でな」
耳は最後まで赤かった。
「……キルアなら」
×××が、さらっと言う。
「別にいいや」
「忘れなくても」
キルアの思考、停止。
「……は?」
次の瞬間。
「また、見たい?」
冗談めいた声と一緒に、
×××の手がチャックに触れた——その瞬間。
「待て!!」
キルア、反射で手を掴む。
力は入れてない。
でも、動揺は隠せてない。
「な、なにして……!」
顔、真っ赤。
「冗談でもダメだろ!」
「心臓止まる!」
×××がくすっと笑うと、
キルアは完全に敗北した顔で視線を逸らす。
「……からかうな」
「そういうの、反則だ」
手を離して、
一歩距離を取る。
「……オレは」
小さく息を吐いてから。
「見たいとかじゃなくて」
「ちゃんと大事にしてるだけだから」
照れ隠しの早口。
×××が「冗談だよ」と言うと、
キルアは耳まで赤いまま、ぼそっと。
「……冗談にしても」
「破壊力高すぎ」
少し間を置いて、
ぽつり。
「……次やったら」
「オレが耐えられる保証ないから」
言った本人が一番照れてる。
「……帰るぞ」
ぶっきらぼうだけど、
手はちゃんと差し出してくる。
理性はギリギリ。
でも、ちゃんと守るところが——
やっぱりキルアだった。
×××と別れて、夜。
キルアは自分の部屋に戻って、
ベッドに倒れ込んだ。
「……はぁ」
目を閉じる。
——閉じたのに。
(やめろ)
昼間のやり取りが、
勝手に再生される。
声。
距離。
あの言葉。
『忘れなくてもいいよ』
「……っ」
キルアは勢いよく起き上がって、
髪をぐしゃっと掴む。
「なんで今思い出すんだよ……」
天井を睨む。
(任務は終わった)
(もう安全だ)
(だからって——)
布団に顔を埋める。
「……反則だろ」
小さく、悔しそうに。
目を閉じても、
頭が全然静かにならない。
(見たい?って……)
「……言うなよ」
声に出して否定するのに、
胸の奥が落ち着かない。
寝返りを打って、
枕を抱き寄せる。
「……オレ」
しばらく黙ってから、
ぽつり。
「……ほんとに」
「弱いな」
照れと困惑が混ざったまま、
結局、眠れない。
外が静かになるまで、
キルアはずっと天井を見つめていた。
×××の顔が、
頭から離れないまま。
to be continued….