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キルアと×××2人っきりのお泊まり会🤫
に』
「……お邪魔します」
何度も来てる。
もう慣れてるはずの×××の家。
靴を脱いで顔を上げた、その瞬間——
キルアは一拍、固まった。
「……」
完全オフの×××。
髪もラフで、部屋着。
……そして、やけに短いズボン。
「……なに」
×××が首をかしげる。
その仕草で、
キルアはやっと我に返る。
「い、いや……」
視線を逸らすのが早すぎる。
「……その」
「家、暑いのか」
どうでもいい質問。
×××が「普通だけど?」と言うと、
キルアは余計に居心地悪そうに咳払いする。
(完全オフだ……)
(油断しすぎだろ……)
心の中でツッコミながら、
顔は確実に赤い。
「……いつも、こんな感じなのか」
ぶっきらぼうに聞くと、
×××が笑う。
「家だよ?」
「キルアも何回も来てるでしょ」
その言葉に、
キルアはぐっと詰まる。
「……それとこれとは別」
小さく呟いて、
ソファに座る。
「……オレ」
少し間を置いてから、
「今日はお泊まりなんだから」
「もうちょい……その……」
言い切れない。
×××が「なに?」と近づくと、
キルアは完全に敗北。
「……近づくな」
「心臓に悪い」
耳まで真っ赤。
でも、
目はちゃんと守る側の顔。
「……風邪ひくなよ」
「冷えたら言え」
照れてるのに、
心配が先に出る。
知ってる家。
知ってる相手。
なのに——
オフの×××は、知らない破壊力だった。
コントローラーを手に、
ソファに並んで座る二人。
「よし、次オレの番な」
いつもなら余裕。
操作も判断も、キルアの得意分野。
……のはずだった。
「……」
視界の端に入る×××の足。
家着のラフさが、
逆に油断ならない。
(……近い)
(見ちゃダメだ)
キルアは必死に画面だけを見るけど、
無意識に姿勢が固くなる。
「キルア、どうしたの?」
「動き遅くない?」
「……うるさい」
言い返しつつ、
明らかに反応がワンテンポ遅い。
集中しようとするほど、
余計に意識してしまう。
「……っ」
ミス。
「え、今の当たるでしょ?」
×××が笑う。
「……たまたま」
言い訳しながら、
耳は赤い。
結局。
「……はい、終わり」
×××の勝利。
「やった!」
喜ぶ声に、
キルアはコントローラーを置いて天井を見る。
「……おかしい」
「普段なら負けない」
×××が覗き込む。
「本気出してなかった?」
その一言で、
キルアは視線を逸らす。
「……出せなかっただけ」
ぼそっと。
「……その格好で」
「隣に座られたら」
言い切らずに黙る。
×××が一瞬きょとんとしてから、
にやっと笑う。
「もしかして」
「集中できなかった?」
「……っ!」
キルア、即反論。
「ちが……!」
「いや、ちょっとは……!」
言ってから後悔。
「……次は」
立ち上がって、
距離を少し取る。
「ちゃんとやる」
真剣な目。
でも、
×××が「じゃあ場所変えない?」と言うと、
「……それはそれで落ち着かない」
完全に詰んでる。
いつも強いのに、
今日はやけに弱い。
原因は——
×××の無自覚なオフモードだった。
「先にお風呂入ったら?」
×××がそう言って、
洗面所の棚に置いてあるバスタオルを取ろうと、
椅子に乗る。
「ちょ、待て」
キルアが即反応した。
「不安定だろ」
椅子の背を押さえて、
倒れないように支える。
「大丈夫だよ、すぐ取れる——」
その瞬間。
キルアは、別の意味で固まった。
距離、近い。
想定より、近い。
視線の置き場に困って、
反射的に顔を逸らす。
「……っ」
「な、なに?」
×××が振り向こうとすると、
「動くな!」
キルア、少し強めの声。
「今!」
「今動いたら危ない!」
完全に必死。
椅子を押さえる手に力が入るけど、
目は絶対に上を見ない。
(見てない)
(見てないけど……)
近すぎる距離に、
心臓だけがうるさい。
「……取れた」
×××がタオルを手にすると、
キルアはすぐに椅子から降ろす。
「はい、終了」
「もういい」
「次からオレが取る」
早口。
×××が不思議そうに見ると、
キルアは顔を背けたまま。
「……心配しただけ」
「それ以上でも以下でもない」
でも、
耳は真っ赤。
「……風呂、先入れ」
ぶっきらぼうに言って、
足早にその場を離れる。
背中がやけに硬い。
——完全に、
距離と無防備さにやられていた。
風呂場のドアが開いて、
×××が何気なくリビングに出てくる。
「ふぅ……」
いつもの癖。
完全に無意識。
その瞬間——
「……っ!?」
キルア、完全停止。
視線が一瞬だけ合って、
次の瞬間には思いっきり顔を逸らす。
「ちょ、ちょっと!!」
声が裏返る。
「なにそのまま出てきてんだよ!」
×××がきょとんとしてから、
自分の状態に気づく。
「あ……」
「ごめん、忘れてた」
そう言って戻ろうとするけど、
キルアはすでに限界。
「い、いいから!」
「早く服着ろ!」
ソファの背に手をついて、
全力でそっぽ向いてる。
耳まで真っ赤。
「……オレの方が心臓に悪いんだけど」
ぼそっと本音。
×××が着替えて戻ってくる頃には、
キルアは完全にクールダウン失敗。
「……なに赤くなってんの?」
と聞かれて、
「赤くない!」
即否定。
でも、
視線は一切合わせない。
「……無防備すぎ」
小さく付け足してから、
「……次からは」
「ちゃんと上着持ってから出てこい」
注意なのに、
声はやたら優しい。
×××が笑うと、
キルアはむっとする。
「……笑うな」
「オレの方が」
「耐性ないんだから」
完全に、
×××よりキルアのほうがダメージ大きかった。
「ねえ」
着替え終えた×××が、
タオルを頭にかけたまま近づいてくる。
「髪、乾かして」
その一言で、
キルアの肩がぴくっと跳ねた。
「……自分でできるだろ」
口ではそう言いながらも、
ドライヤーはもう手に取ってる。
「動くなよ」
距離を保ちつつ、
慎重にスイッチを入れる。
風の音の中で、
キルアは視線を下に固定。
(……近い)
(近いけど、見るな)
「熱くないか?」
「首、疲れないか?」
やたら確認が多い。
×××が「大丈夫」と言うたび、
キルアはちょっと安心した顔になる。
「……はい、終わり」
ドライヤーを切って、
一歩下がる。
「ありがとう」と言われて、
耳が赤くなる。
「……別に」
⸻
そのあと、二人でご飯。
テーブルを挟んで向かい合うと、
×××は本当にお腹が空いてたみたいで、
もぐもぐと勢いよく食べ始める。
「……」
キルア、じっと見てる。
頬が少し膨らんで、
夢中な表情。
「……リスか」
ぽつっと呟く。
「え?」
×××が顔を上げると、
キルアは少しだけ笑う。
「ほっぺ、そうなってる」
からかう口調なのに、
視線はどこか柔らかい。
「……可愛いな」
ほぼ無意識で言って、
言った瞬間に固まる。
「……今のは」
「聞かなかったことにしろ」
×××が笑うと、
キルアはむっとする。
「……だから笑うな」
でも、
その様子を見てるのが
嫌じゃないのは明らかだった。
何気ない夜。
お泊まり会。
キルアにとっては、
静かに心臓が忙しい時間だった。
歯磨きを終えて、
キルアがリビングに戻ると——
「……」
ソファ。
×××が、
人形をぎゅっと抱えたまま寝てる。
完全オフ。
足は丸出し。
無防備すぎる寝顔。
「……寝るなら言えよ」
小さく呟くけど、
声は起こさないように低い。
少し近づいて、
寝息を確認してから、
「……風邪ひく」
そう言って、
そっと腕を差し入れる。
——お姫様抱っこ。
「……軽」
言った瞬間、
自分で照れて口を閉じる。
慎重に、
音を立てないように×××の部屋へ。
ベッドに下ろして、
布団をかける。
「……おやすみ」
起きないのを確認して、
ほっと息を吐く。
そのまま部屋を出かけて、
ふと気づく。
「……オレの布団」
ない。
一瞬立ち止まって、
考える。
(勝手に出すのも……)
と、その時。
クローゼットの扉が少し開いていて、
中から——
下着が、はみ出てるのが目に入った。
「……っ!?」
即、視線を逸らす。
「見てない!」
誰に言い訳するでもなく、
一気に顔が熱くなる。
「……無理」
「これは無理」
静かに扉を閉めて、
そそくさと部屋を出る。
結局。
リビングのソファ。
クッションを引き寄せて、
横になる。
「……今日は」
「自分を褒めていい」
天井を見ながら、
小さく息を吐く。
「……ちゃんと理性、保った」
寝室のほうをちらっと見てから、
目を閉じる。
完全に振り回されてるのに、
それでも起こさなかった自分に、
少しだけ満足しながら。
ソファでの夜は、
静かに更けていった。
朝。
カーテン越しの光が差し込んでも、
×××はまだ起きない。
キルアは少し迷ってから、
そっと寝室のドアを開けた。
「……」
まず、
クローゼットの方向は見ない。
昨日の記憶がよみがえる前に、視線をベッドへ。
規則正しい寝息。
布団に包まれた×××の顔。
「……ほんと、よく寝る」
小さく笑って、
起こす前に一瞬だけ見惚れてしまう。
(……起こすの、もったいないな)
でも、そうもいかない。
「おい、朝だぞ」
声は低く、優しい。
肩を軽く揺らすと、
×××がもぞっと動く。
「……ん」
「起きろ」
「もう昼近い」
そのまま少し間を置いてから、
キルアはわざと軽い口調で言った。
「ちなみに」
「昨日、オレはソファで寝た」
×××の目が、ぱちっと開く。
「えっ!?」
「それと」
さらっと続ける。
「リビングで寝てたから」
「ベッドまで運んだ」
一拍。
×××、一気に顔が赤くなる。
「え!? ちょ、まって……!」
「じゃ、じゃあ……」
「寝顔……」
キルアは腕を組んで、少しだけ笑う。
「見た」
「ばっちり」
「……っ!!」
×××は布団を引き上げて、
完全に恥ずかしがる。
「言わないで……!」
その様子に、
キルアは耐えきれず、つい。
「……可愛かった」
言った瞬間、
自分でも固まる。
「……」
沈黙。
次の瞬間、
二人同時に赤面。
「……今の忘れろ」
キルアはそっぽを向く。
「寝顔の話も」
「可愛いとかも」
×××が布団から顔を出して、
まだ赤いまま見ると、
キルアは小さく付け足す。
「……でも」
「起きてても」
「変わらないけどな」
言い終わってから、
自分で墓穴掘った顔。
「……早く起きろ!」
話題を切り替えるように言って、
さっさと部屋を出ていく。
背中まで、真っ赤だった。
静かな朝。
照れと甘さが、
ゆっくり一日を始めていた。
それからの二人は、
なんとなく気まずいような、
でも距離が近いまま。
ソファに並んで座って、
テレビをつけても内容は頭に入らない。
「……なあ」
キルアが、わざと何でもない風に口を開く。
「昨日さ」
その一言で、
×××の肩がぴくっと跳ねる。
「……な、なに」
キルアは横目で様子を見て、
にやっとする。
「人形抱いて」
「口ちょっと開けて寝てた」
「……っ!!」
×××、一気に赤面。
「言わないでって……!」
クッションで顔を隠そうとすると、
キルアは楽しそうに続ける。
「しかも」
「オレが運んでも起きなかった」
完全にからかいモード。
×××が恥ずかしさに身を縮めるのを見て、
キルアは満足そうに小さく笑う。
「……反応いいな」
そう言いながらも、
距離は自然と近い。
×××がそのままキルアにもたれると、
一瞬驚いた顔をしてから、
何も言わずに受け入れる。
「……甘えるなら」
「ちゃんと許可取れ」
口ではそう言うけど、
腕は逃がさない。
「……昨日のお礼」
×××が小さく言うと、
キルアは少し照れたように視線を逸らす。
「……別に」
「当たり前だろ」
でも、
そのままソファに深く沈み込んで、
「……今日は」
「どこにも行かなくていい」
ぼそっと。
だらだらして、
時々からかって、
時々甘えて。
昨日の照れが、
いつの間にか心地いい甘さに変わっていた。
キルアは、
赤くなった×××を横目で見て、
内心かなり満足していた。
(……可愛いのは)
(やっぱり変わらないな)
そんなことは、
もちろん口には出さないけど。
to be continued….