この作品はいかがでしたか?
31
この作品はいかがでしたか?
31
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「全然見つからん……」
こんなに見つからないのか!? 北の海のここ、アルハージ島にいるんじゃなかったのかよ…!?
俺は頭を抱えながら歩いていた。もうこの島に上陸して3日経つぞ!? そんなに広い島でもないのになんでこんなに見つかんねぇんだよぉ~……。
……俺だって闇雲に探しているわけじゃないからな。色んな人に聞いて回ってるんだ。
「ファリーナ・F・エドモンドって男を知らないか?」
そう聞いて回ってるっつーの!!! なのにそれを聞いたやつはなんて答えると思う?
『ああ、先日は向こうの酒場で見たね。住んでるとこ? さあ知らないね』
『エドモンドさん? いい人よね。この間お野菜を買ってってくれたわ。住んでるところは……ごめんなさい、知らないの』
『エドモンドの野郎の家だぁ? そういや知らねぇな。悪ぃな兄ちゃん!』
だぜ? おかしいだろ! ここまで来たらよそ者の俺にわざと隠してるんじゃないかって思うけどみんなマジで知らなさそうなんだよ。
あのおっさんどんだけ住んでるところバレたくねぇんだ。どこを探してもいないなんてことあるか? 普通探し回ってる奴がいるってなったらもうちょっとこう……あるだろ!!
「はあ~~……」
広場のベンチにどかっと座り、大きなため息を吐く。空を見上げて、ぼんやりとこれからのことを考える。わざわざ東の海から北の海にはるばる来てさ……稽古つけてもらおうと思ってたのに……。もうこの島にいない気さえしてきた。そう思って項垂れていた時、不意に目の前に影ができた。
なんだと思って前を見ると、そこには一人の男がいた。背丈は高く、体格も良い。歳は30代半ばくらいだろうか。両目を覆うもさもさの髪。顔には痛々しい2つの切り傷のようなものがあった。
男のつけている耳飾りが揺れてちりん、と鈴が鳴る。
「よう、ボウズ。俺を探し回ってたんだって?」
低い声が響く。その声を聞いて、俺は確信した。
「エド、モンド……」
間違いない。この人だ。は立ち上がり、目の前のおっさんの手を掴んで言った。
「あんたに稽古つけてもらうためにここまで来たんだ!」
「わかったわかった。ひとまず俺の家に行こう。ここで話をするのもアレだからな」
おっさん……じゃなくて、エドモンドの言葉に俺は首を縦に振って答えた。それから俺たちは家に向かって歩き出した。