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森の中の、少し開けた場所にその家はあった。ログハウスのような造りになっていて、とても居心地が良さそうだ。中に入ると、テーブルと椅子がいくつか置いてあり、奥の方にはキッチンらしきものが見える。意外と片付いてるし、綺麗なところに住んでるんだな。
俺がキョロキョロと家の中を見回しているうちに、エドモンドがお茶を用意してくれた。カップに入ったそれを一口飲むと、ハーブティーの爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。
「お前さん、レドリック王国の第二王子様だろ。城を出るって話、本気だったんだな」
「信じてなかったのかよ……。俺は必要な嘘以外つくつもりはないぞ……。それで、稽古はつけてくれるんだよな!?」
「ここで〝NO〟っつったらどうするつもりだ?」
「………………」
俺は黙り込むしかなかった。断られる可能性、あんまり考えてなかったな……。断られたら……どうしようか……。船も置いてきちまったしな~!!
……俺って結構考えなしだったんだなぁ……。
悶々と考えていると、エドモンドがけらけらと笑いだした。
「ふっ、はははっ!! すまんすまん。ちょっとからかっただけだ。別に俺は断るつもりはねぇよ。城で初めて見た時からお前は伸びる奴だって思ってたしな。むしろお前の才能を俺の手で育てられるってんなら願ったり叶ったりだぜ。ただ、ひとつ条件がある」
そう言って、エドモンドは俺の顔を見た。俺にできることがあるならば、なんでもやってやる。そう思い、俺は真っ直ぐにエドモンドの目を見つめ返した。
すると、エドモンドはまた笑って、言った。
「弱音は吐くな。泣き言も言うんじゃねぇ。強くなりてぇんだったらそれくらいやってみせろ」
それは普通に考えれば厳しい言葉だったが、不思議と嫌だとは思わなかった。それどころか、なんだか胸の奥の方が熱くなるような気がして、俺は無意識のうちに笑っていた。
「あの城で11年間泣き言言わずに耐えたんだからな! それくらい余裕だっての!!」
俺の返事を聞いたエドモンドもまた嬉しそうに笑うのだった。
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