テラーノベル
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俺は今警察署にいる。お節介なラブホの近所の人に通報されたからだ。
本当にめんどくさい事になった。油断した。
いつバレた?どうして、誰が、なんて疑問ばかりが浮かんできて、俺が悪いなんてことは一切浮かんでこなかった。
「書けたかい?」
「はい、一応」
タッパのある警察官が紙を確認する。俺の身分証明書のようなものになるらしい。
「親の名前と連絡先、それから住所は?」
「親はいません。住所は…他人の家なんで言えないっすね」
「そうか。じゃあその他人の家が君の保護者ということでいいかな?」
そう来るか、と思った。
俺に家なんてない。泊まる場所もない。夜は仕事だし昼はネカフェで寝ているか面白くもない動画を漁っているかのどちらかだ。
そんなことは言えないので、とりあえず「そうですね」と言っておいた。
「君の年齢も書いていないようだけど?」
「それは非公表で」
「必須の項目なんだ」
「黙秘権を行使します」
それっぽいことを言っておく。すると警察官は困ったような顔をした。
所詮は大人。自分も問題は起こしたくないのだろう。
「まぁ、とりあえずいいだろう。では、事情聴取に入ろうか。あの男と面識はあったかい?」
「いえ」
「君はなぜあの時間、あの場所にいた?」
「散歩してたからです」
「あの男に何をされた?」
「無理やり押し倒されました」
「お金を渡された?」
「いえ」
これは、もし万が一警察に見つかった時の対処法だ。事情聴取の時に警察官が聞くことはだいたい同じだ。あらかた覚えておいて良かった。
30分程度質問をされた所で、休憩という名の警察官が聴取した内容の確認を取る時間になった。
腹が減った。今頃貰ったお金でたんまりと肉を食べていただろうな。そんな想像をしていると余計に腹が減ってくる。
10分ほど経つと、警察官が戻ってきた。
「帰って大丈夫。ただ、身体に異常がないか心配だからこの後検査を」
「あぁ大丈夫です。俺そういうの苦手なんで。じゃ、お勤めご苦労さまでーす」
こんな居心地の悪い場所からさっさと逃げたくて、なにか言いたげだった警察官を素通りした。
「ってことがあってさー、ほんと最悪だったよ」
「お前そんなバカだったんか。まぁよく逃げられたな」
「俺って天才肌だからさー笑」
「うぜーよ笑」
同じ仕事仲間と牛丼チェーン店で朝ごはんを食べる。本当は焼肉に行く予定だったが、これからたぶん仕事が減ると思うから節約だ。ネカフェ用に取っておかなければならない。
あの、山田だか中田だか覚えてないが、ジジイがニュースに上がることだろう。その界隈の人間はニュースを見ると一気に指名数を減らす。性欲を抑えてまで捕まりたくないらしい。
ピコンッ
「あ、指名だ」
「へぇー。プロフィールは?」
「20代、身長180ってマジかこれ…」
「お前明日終わったな笑」
「最悪だ…」
そんな会話をしていると、タッパがあるという共通点の人物が浮かんできた。が、すぐに沈めた。あの警官がそういうことをするわけがない。
「ま、頑張るわ。ネコかタチか…どちらにせよきっちぃな」
「がんばー笑」
脳天気なあいつの顔面を牛丼に沈めてやりたい気持ちを抑えながら、俺は牛丼屋を後にした。
夜、約束の時間になり、指定の場所で待機する。あのプロフィールは盛った数値であってくれと願いながら。
だが、そんな願いも叶わず、なんなら180より大きいやつがきた。しかも、
「な、なんで…っ」
「やっぱり、お前だったか」
タッパのある警察官が目の前にいた。私服姿ではあるものの、その体格は絶対に忘れない。一致するのだから。
「つ、通報だけは…」
「とりあえず中に入ろう」
「え、は!?」
俺は警察官に、いや、客に手を引っ張られながらラブホの中に入った。
はちみつレモン
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#メイ恋
かにいぬ
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コメント
1件
うわ…続きが気になりすぎる😳 主人公、めっちゃ達観してるけど根は不安定で、ラブホ警察官と再会しちゃった時の「やっぱりお前だったか」のセリフが怖かった… しかも中に連れ込むとか絶対ただの客じゃないよね。あの警官、1話から何か仕込んでたんじゃ…って思っちゃう。早く続き読みたい…