テラーノベル
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そんなエリスを前に男は、
「それで、お前は何故こんな森の中で、そんな格好をしている? 見るからに理由がありそうな気はするが……」
咳払いをしつつ今置かれている状況を問い掛けた。
「あ……その……私……」
問い掛けられたエリスは名を名乗ろうとした直前で気付く。
自分がエリス・セネルであることを明かすべきかどうかということに。
きちんとした身なりをしていれば名乗らなくても気付かれるくらい美しい容姿のエリス。
普段なら光沢があり美しくウェーブがかった栗色の長い髪も草木に引っかかったりしたせいかボサボサになって艶を失い、目鼻立ちが整った白く透明感のある小さい顔や華奢な身体の至る所に傷があり、その上ネグリジェのようなワンピース一枚で靴を履いていないという何とも言えない貧相な格好をしたエリスの容姿からは、とてもじゃないけれどセネル国の王子、シューベルトの妻とは気付けないだろう。
それに、殺されかけた状況やシューベルトとリリナが話していた内容から察するに、こうして逃げて来た自分を確実に始末する為にこの先も追い掛けて来ることが予想される今、よく知りもしない相手にやたら無闇に素性を明かすのは危険だと判断する。
しかし、そんなエリスに男は、
「……お前はセネル国の王子、シューベルトの妻になったエリスだろう? 何故そんなお前がそのような格好でこんな場所に居るのか、包み隠さず話して欲しい」
真剣な眼差しで、エリスが王子の妻であることを言い当てたのだ。
「え……どうして、私のことを……」
男の言葉にはエリスも驚き、自分がエリスであることを否定するのも忘れて問い返す。
「まぁ、一見今のお前はあの美しい容姿をしたエリスとはかけ離れているが、見る奴が見ればすぐに気付くだろう。理由があるのは一目見て分かる。そんな格好で水すら飲めない状況だったことを考えると、かなり切羽詰まっているのだろ?」
「…………」
「…………分かった、ここでは落ち着かないだろうから、ひとまず俺の家に来い。そこでゆっくり話そう」
詳しく話したがらないエリスに男は小さく息を吐くと一旦自分の家で話をしようと言いながら立ち上がり、エリスに手を差し出した。
彼の言動にエリスはやはり迷っているのか、頷くことも手を取ることも出来ずにいる。
そんなエリスを見た男は出していた右手を一旦引っ込めると、もう一度彼女の前にしゃがみ込み、
「――俺の名はギルバート。決して悪いようにはしない。俺を信じて、付いて来てはくれないか?」
名を名乗り、自分を信じて付いてきて欲しいという言葉を投げ掛けた彼は、再度立ち上がって手を差し出した。
そこまで言われるとエリスの心は小さく揺らぐ。
(どうせ、このままこんな森に一人で居ても危険なのは変わらない。それなら、助けてくれた彼を信じてみるのも良いのかもしれない……)
一人葛藤を重ねた末、
「……分かりました、全て、お話しします」
未だ戸惑い気味のままそう口にしたエリスは彼――ギルバートの手を取ったのだった。
#恋愛
桜咲かな
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にゃみ3
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にゃみ3
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#政略結婚
常陸之介寛浩
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コメント
1件
みぅです🤍🥀 プロローグ⑥読みました〜! ギルバートがエリスに手を差し伸べるシーン、めっちゃ心に残った…「俺を信じてくれ」って真剣な眼差しで言われると、こっちまでドキドキしちゃうね。エリスが迷いながらも手を取る決断をしたの、すごく切なくて、でも温かい気持ちにもなったよ。 続きがすごく気になる!ありがとうございます🌙