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(専属執事という、カールの立場を考えた恐ろしい呪い――俺はいつも、それを壊したくて堪らなかったというのに)

「だから俺が告白しても、頑なに拒否したということか。なるほどな、本当にすごいとしか言えない。俺はおまえの気持ちに、全然気づけなかった。アレを見るまでは――」

俺の不在時に、寝室に入り込んでいたことを告げたら、カールは腕の中で身動ぎして回転し、向かい合わせになる。

「その節は、申し訳ございませんでした。私がアンドレア様の寝室でおこなっていたのを目の当たりにして、どう思いましたか?」

少しだけ頬を染め、難しい顔で問いかけたカールを安心させるべく、目の前で笑ってみせた。

「まずは驚いた。というか、おまえだと最初は気づかなくてな」

「そうでしたか……」

「カールが俺の名を告げて、すごく気持ちよさそうにしてるのを聞いて、胸が熱くなった。ああ両想いなんだと知って、寝室に入りたかったが」

ここで一旦、言葉を飲み込む。その当時のことを思い出すと、なんとも言えない感情が渦巻き、今でも口が重たくなってしまう。

「アンドレア様、どうしましたか?」

緊張感を漂わせる俺に、カールは白手袋をつけた手で頬に触れ、いたわるように撫でる。それだけで心が落ち着くんだから、恋人の存在は大きいと言える。

「俺がもう少し若かったら、部屋に入っておまえを襲ってた。だけどその頃は伯爵家の跡取りの教育を、父上から徹底的に叩きこまれていたせいで、それができなかったんだ」

両想いを知っても定められた運命に、俺は抗う気力さえなかった。これ以外の道はないと思っていたのに、叔母様のアドバイスで違う道を見つけることができた。

「私は貴方様に好意を抱いた瞬間から、覚悟を決めておりました。アンドレア様のお傍で幸せになられるお姿を見ることができるだけで、満足せねばと」

「カール、俺はおまえと共にいくと決めた。だからこうして実行してる。自分の気持ちを誤魔化す、優しい嘘をつかなくてもいいんだぞ」

カールの想いを尊重しながら、わかりやすいように語りかけた。

「優しい嘘でございますか?」

「俺の幸せを願い、自分に気持ちをなかったことにするためにつく嘘を、優しい嘘と表現してみた」

言いながら、愛しい人の躰を強く抱きしめる。

「アンドレア様、私は――」

「カール、俺の運命の人。お願いだからこれからは、おまえの気持ちを素直に打ち明けてほしい。一緒に生きていくためにな」

腕に抱きしめる細身の躰が俺に縋りつき、細かく震えはじめた。

「ううっ…アンドレア様は私の運命のお方でございます。貴方様が望まれるのならば……くっ、私の胸の内のすべてを披露しましょう」

俺の前で、はじめて涙したカールに口づけ、そのままひとつになった。運命の人をやっと手に入れた俺は、明るい未来を目指して、計画どおりに事を進めたのだった。

おしまい

閲覧ありがとうございました。ここを読んだ後に本編を読むと、また違ったふうに読めますよ!


次回作の新作もお楽しみに!

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

2

ユーザー

ありがとうございます! 次回作は朗読動画になった作品です。文字と耳でドキドキさせますよ、お楽しみに💓

ユーザー

完結お疲れ様です!!✨

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