TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

アメリカ軍横須賀基地 正面ゲート近くの路上に、軍属 、ヴェルナード キンスキーのピックアップトラックは止まっていた。陽が暮れて数時間、横須賀基地内で通訳として働くヴェルナードは、大事な休暇を悶々と過ごしていた。

気晴らしにと出掛けた江ノ島沿いのレストランで、あからさまな人種差別を受けたのだ。

店の店主はこう言った。


「何方からお越しですか?」


ヴェルナードが、横須賀基地で働いていると言うと店主の顔は曇り。


「あんたらに出す料理はないよ!出てけ!」


と、言い放った。

周りの日本人達も一斉に声をあげた。


「俺たちをモルモットにしやがって!」

「クタバレ!」

「ヒロシマ、ナガサキの次は東京か!!」


ヴェルナードは怒りに震えた。

日本人は『トモダチ』だと軍人からは教わっていたが、とんだお門違いだった。

東京ジェノサイドが原因だとは分かっていても、方向性を示せない日本政府と、一方通行な情報しか信じない日本人達を見て、ヴェルナードは車の中で何度も同じ言葉を吐き捨てた。


「ジャップのクソッタレ!」


元々、白人至上主義の思想を持つキンスキー家は、不動産業を営む傍ら地元の政治結社のメンバーにアパートを貸し、集会場も提供していた。

そんな父や母を見てヴェルナードは反発も覚えたが、この遠い極東の地で、差別を受けるとその思想にも納得が出来た。

日本のアニメが大好きで、大学では日本語サークルで学び、足を怪我して海兵隊を除隊するまでも日本は嫌いではなかった。

しかし、今日経験した差別と、敵意むき出しに浴びせられた言葉は、ヴェルナードの心の底の闇をさらけ出させた。

自分でも、気が付かないフリをしていた感情が、じわりじわりと呼び起こされる。


『偏見』


白人以外は野蛮な存在、アジア人に差別された自分が悔しかった。

足の怪我は『トモダチ作戦』で負った傷だと言うのにだ。

ヴェルナードは、停車したままの車内で叫び続けた。


「ジャップ!ジャップ!ジャップ!!」


基地に戻る気にもなれないでいた。

東京が世界地図から消えたあの日の落日

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚