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何か…いる?
辺りを照らしても、何もない。気のせいかな…。話し声が、聞こえた気がしたのに…まぁ、いいや。私は、本来なら存在すらしていない5階への扉を、開いた。
この学校は噂が絶えない。特に、今回は七不思議の1つだから。なんでも、4階までしかないこの学校に、5階があるというのだ。ありえない。さすが、七不思議だというところ。
今日は、沙恵が話を振った。
「知ってる?5階の話。」
「うん。知ってる。」
「調べてみない?」
「まぁ…良いかもな。」
次の日から調べることに。
当たり前だけど、5階への階段も、扉も、見つからなかった。やっぱり、ただの噂なんだ。
でも、沙恵は、諦めなかった。実際に見たというのだ。誰かが、5階への扉を開けたところを。信じられる話ではない。ただの見間違い立と、その時は思った。
4日後。放課後に、4階から降りる階段を下る時だった。今まで、見たことのない扉があったのだ。それは半開きで、中の様子を確認できた。驚いたことに、5階へ上る階段があった。私達6人は、階段を上った。
何があるか、確認するために。
鏡があった。ただ置かれているだけの。
皆、黙っていた。何があるか分からない恐怖が、4人を襲っていた。
そして、廊下をそのまま進むと、また扉があった。
私達は扉を開けることが、できなかった。怖いのだ。奥に、何があるのか、分からない。確かめる勇気が、無かった。
それから、どれくらいが経っただろうか。とても、長く感じられた。その時、扉から、人が出てきた。
「…なん…で?」
「君は…恵莉さん…?」
「あなた達…どうやってここに来たの?」
「たまたま、扉を見つけて…。」
「ここはいったい、何なんだ?」
「パラレルワールドの、狭間。」
「何?それ?」
「見てみる?」
そう言い、恵莉さんは、扉を開く。
「やっぱり、そっちにも来たんだね。」
「うん…。」
全く同じ声。パラレルワールド。彼女は、そう言った。もう一つの、世界…
扉の奥へ。
「こんにちは。」
「え?」
もう一人の、私。
「困惑するよねぇ…」
「もう一人の自分が目の前にいるもんねぇ」
「えっと…?」
つまり、もう一人の自分、パラレルワールドの自分が、この狭間にいるってことかな…
「本来なら会わないはずなのに…」
その言葉が合図かのように先生が来た。
「あなた達は、また会いたい?」
「まぁ…はい。」
「以後、扉が出現します。誰にも、言わないでね。」
「…」
何も、言えなかった。
4階に戻る。
「恵莉さん…」
「恵莉で良いよ。」
「恵莉、これから、仲良くしてほしいな…」
「もちろん!」
未知の世界への扉を開けた私達は、また新しい友達と、パラレルワールドの人と会えた。