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転校してきた殺し屋君第8章:聖夜の防衛線(ガーディアン)
第34話:サイレント・ナイトの尾行者
「……おい、藤堂。ターゲット(浩一)が左のカフェに入ったぞ。距離30を維持しろ」 「了解。あっちのサンタの着ぐるみの影に潜伏するわ。……っていうか黒蜜、あんたそのトナカイのカチューシャ目立ちすぎじゃない?」
華やかなクリスマスマーケットの雑踏の中、完全に気配を消した二人の影がありました。黒蜜と藤堂です。 彼らの目的は、組織の残党からの護衛……という名目の**「デートの冷やかし兼見守り」**でした。
「凪のやつ、ガチガチに緊張してやがるな。佐藤(小曽根)先生に教わった『神速のジャブ』が、今はメニュー表を持つ手の震えに使われてやがる……」 「海沼さんも顔が真っ赤。……ふふ、あんなに可愛い顔をするのね、戦場にいた時はあんなに無機質だったのに」
二人は無線でやり取りしながら、浩一と玲亜の背後を完璧にマークします。
闇に紛れる不協和音
平和なデートの裏側で、黒蜜の耳にある小型通信機が「不協和音」を捉えました。 修学旅行で浩一を勧誘し損ねた忍びの一族、あるいは組織の残党。彼らが聖夜の混乱に乗じて、浩一の「弱点」である玲亜を狙い、路地裏に潜んでいたのです。
「……藤堂、見つけた。時計の針で2時方向、ビルの屋上に狙撃手だ」 「OK。凪の幸せを邪魔する無粋な客は、私たちが『掃除』しましょうか」
浩一が玲亜にプレゼントを渡そうと、夜景の綺麗な公園のベンチに座ったその瞬間。 背後の闇から放たれた無音のボウガンを、藤堂がマフラーに隠し持っていた短刀で叩き落とし、黒蜜がスタンガンで狙撃手を無力化しました。
「……? 今、何か音がしなかったか?」 異変に気づき、反射的に立ち上がろうとする浩一。しかし、植え込みの影から黒蜜が必死にジェスチャーを送ります。 ((座れ! 余計なことは気にするな、お前は目の前の女だけ見てろ!!))
浩一は苦笑いし、背後の戦友たちの存在を察しながら、再び玲亜に向き直りました。
最高のプレゼント
「玲亜。これ……ずっと渡したかったんだ」
浩一が差し出したのは、小さな指輪でも、高級な品でもありません。 それは、あの日壊れてしまった玲亜のリボンを修復し、小さな「盾」の紋章をあしらったブローチでした。
「凪くん……。ありがとう。私、もう怖くないよ。君がいてくれるから」
二人がそっと寄り添う。 その光景を、雪の降る木陰から黒蜜と藤堂が満足げに見守っていました。
「……任務完了だな、藤堂」 「ええ。最高のクリスマスプレゼントだわ」
(つづく)
コメント
1件
才川奏美さん、第34話読みました。黒蜜と藤堂の「冷やかし兼見守り」がもう最高でしたね。戦闘を背中越しに描写しながら、デートの邪魔をしない距離感を保つって、護衛として理想的で笑ってしまいました。そしてブローチのプレゼント——壊れたリボンを修復して盾の紋章をあしらう発想、彼女の「もう怖くない」の言葉にすべて集約されていて素敵でした。二人が振り返らずに信頼し合える関係、温かかったです。素敵なクリスマス回をありがとうございます!
才川奏美
1,164
五木友人
9,631
NaCl
3,911