テラーノベル
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🎲さん
歌詞パロ(Dreamin’Girl)
青桃
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⬇
そっと夢見させて、君と巡り合う物語を――
そんな言葉が、俺の胸の奥で静かに息をしていた。
まだ眠くない。
だけど、読みかけの台本を閉じて、部屋の灯りを消す。
カーテン越しの月を仰いで、祈るみたいに目を閉じる。
どこにもいない。
この世界中探しても、いないはずなのに。
胸を貫くほど苦しくて、
それなのに、やけに綺麗な眼差しが――
どうしても、まろの顔で浮かぶ。
「……愛してほしい、なんてさ」
思わない、って言えば嘘になる。
でも、味気ない優しさで満たされるくらいなら、
いっそ夢の中で眠ってしまいたい。
お伽噺のお姫様みたいに、
毒を飲んででも、迎えを待つみたいに。
迎えにきてほしいなんて、
言えるわけないのに。
そっと夢見させて。
君と巡り合う物語を。
都合のいい妄想だって分かってる。
それでも夜に落ちていく少女みたいに、
俺は夢にすがる。
手を伸ばす。
目一杯、力を込めて。
――指先が、重なり合う瞬間。
「ないこ」
聞こえた気がして、
次の瞬間、目覚まし時計が嗤う。
現実は、容赦ない。
まだ少し眠い。
でも、支度をしなきゃいけない。
窓を開けて空を仰ぐと、
ハリボテみたいな今日が、また動き出す。
幻じゃない。
あれは幻なんかじゃない。
胸に刻まれた、消えない傷跡が証明してる。
あの日、まろに向けてしまった視線も、
交わらなかった言葉も。
どうして、こんな深い森に迷い込んだんだろう。
昨日と同じ道を歩いていたはずなのに。
すれ違うメンバーの声。
りうらの明るさも、いむの気遣いも、
初兎の冗談も、あにきの背中も。
全部、本物のはずなのに――
どこか作り物みたいで。
君がくれた、あの一瞬の灯りだけが、
俺を現実に繋ぎ止めていた。
お気に入りの絵本みたいな結末はいらない。
綺麗にまとまる未来なんて、なくていい。
ただ、
報われない恋でもいい。
それでも、君を想っていたい。
そっと読み聞かせてほしい。
俺だけの物語を。
夢の中でくらい、
夢を見てたっていいだろ?
「なあ……まろ」
答えなんて返ってこないのに、
名前だけが、胸に落ちる。
ずっと夢見させて。
君と結ばれる物語を。
哀しみを抱えたまま、夜に沈む俺は、
それでも手を伸ばす。
指先が、また重なり合う瞬間を信じて。
――まだ、目覚まし時計は鳴らない。
もう少しだけ。
もうちょっとだけ、手を伸ばす。
そのとき。
「ないこ」
優しく、確かに、微笑んでくれた。
夢でも、現実でも。
その笑顔だけは――
俺の物語の、救いだった。