テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ガクン、と膝を折る。長時間走り続けたことで、体力が限界を迎えていた。口の中で血の味が飽和し、喉が灼けるように痛くて息を吸うことすらままならない。
こんなところで止まってはダメだ。これでioが見つかったら、生きてソ連に会えなくなる。ソ連にはお礼を言わないといけないのに。
「けほっ…。いそ、がないと……」
ナチス「どこへ?」
背筋がびくりと伸びる。幻聴であってほしかった。なんなら、今までの全てが夢であってほしい。
ioは後ろを振り向きたい欲求を振り払い、これまでにないほど、息を捨てるほど走った。後ろからの悪魔の囁きを聞かないように、風を切って走った。
しばらくすると、少し開けたところに出た。
そこは崖だった。
「なんで…」
ioは絶望し、目を見開いて固まる。
今引き返したら、絶対にナチに捕まる。捕まって、また嫌なことされる。そんなのは絶対に嫌だ。
あぁ、最悪だ。どうしてこうなるんだ。どうすればこの状況を消せるんだ。
体の疲労、精神的負荷。それらが重なり、目の前が滲んで歪む。全身が悲鳴をあげ、もう無理だと訴えかけてくる。もういっそここから飛び降りてしまおうか。このくらいの高さの崖なら、まず失敗することは無いだろう。
ふと、何かを引きずるような音がした。後ろを振り向く。
ナチス「よぉ、イタ王。ちょっと待ってくれな。プレゼントがあるんだよ。」
「……」
もはや、言葉を発する力は残されていない。ioはただ、ナチの顔を見つめるだけ。
ナチス「よいしょっと…。ほら、イタ王、見てくれ!俺はな、俺とイタ王との愛を邪魔する悪い奴を倒したんだ!」
子供のような、無垢な顔で。
どうなっているの。
ナチの、心は。どうなっているの。
どうして。
ナチは、物言わぬソ連を自慢げにこちらへ見せつけた。
「あぁ…。あぁぁ…!!」
ナチス「びっくりしたか?でもな、びっくりするってことは俺がそれだけ凄いことをしたってことだろ?褒めてくれよ!」
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだ。受け入れたくない。耐えられない。
どうしてソ連が死ななければいけない?ソ連はioを庇ってくれた、唯一の人なのに。ioが死ねばいいのに。
ナチは、命を奪っても何も感じないの。
脳裏にソ連の顔が浮かぶ。うたた寝をする顔。息を切らして後ろを見る顔。ioに都合の悪いことを聞かれて、バツが悪そうな顔。
無意識にioは叫んでいた。
嗚咽混じりの悲鳴をあげるioを、ナチは心配した。
ナチス「どうしたんだ、イタ王。大丈夫か?休んだ方がいいぞ?」
あぁ。
やっぱりだ。
ナチはioのことを愛してもいないし、大切にしてもくれない。それどころか、ioの大切なものを奪っていく。
あぁ、ならばioも奪ってしまおう。
そしてきっとそれを奪えば、取り返しのつかないことになるだろう。
近くにあった、大きめの石を持ち上げる。疲労困憊の体に、最後の力を込めて。
ioはナチの頭めがけて、石を叩きつけた。
コメント
4件
うへへへへ…推しが推しを〇そうとしてる負の連鎖…こちらからすれば全て可愛いのでなんでもいいんですけど…(笑) 物語作るの上手すぎません? てか、石で頭叩かれるのマジで痛いでしょ…、ナチさんドンマイです( '꒳' )
何というか、。イタ王の壊れた顔も絶望した顔も思い浮かべて口角が…。ブラジルまで行っちゃいましたよ(そんな訳ないだろby日帝 ウヴン、取り敢えず最っ高です。鼻血が出そうに…いや出ましたわ。ありがとう御座います。次も楽しみにしてます!