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第十話
注意書きは第一話をご覧下さい。
水side
青「水…俺のことわかるか…?」
水「青くん…でしょ?」
青「よかった…意識が戻って…ポロポロ」
気づいたら病院のベッドの上だった。青くんが泣いている。身体が弱っていることを実感した。
青「ごめんな…俺、水が残り2ヶ月しかないって思いたくなくて、知らないことにしとったんや…ポロポロ」
青「それが無理させてもうた…ポロポロ」
青「ほんまにごめん…ポロポロ」
水「青くん…」
青「俺…彼氏失格よな…」
水「!そんなことっ…」
そんなこと言わないでほしい。私は貴方に出会えて世界が変わった。辛いことからも抜け出せて幸せいっぱいだった。彼氏失格なんかじゃない。
水「そんなことないよ…!!」
水「私青くんには、一生分の幸せをもらってるよ」
水「彼氏失格なんて、言わないでよ…」
どうか自分を責めないでほしい。
医者からお話を聞いた。やっぱり身体は弱ってきてて、無茶なんて出来ない。ほんとにタヒんじゃうんだなと『タヒ』を思い知らさせてくる。
青「1週間入院…か…」
水「…」
もう、急なことに頭が働かない。
青「俺、毎日お見舞い来るから!水の好きなシュークリームも買ってくるな(ニコッ)」
水「っ…」
彼の笑顔は今すぐにでも泣きそうで。
水「青くん…お願い…ギューして…?」
私は今すぐにでも彼の温もりを感じたかった。
青「もちろん、ええで」ギュッ
水「…ウルッ」
暖かい…出来ることならずっとこうしてたい。でもそんな願いすら叶わない。そう思うと涙が溢れ出てくる。
水「タヒにたくっ…ないよぉ…ポロポロ」
水「まだ青くんと一緒にいたいっ…!ポロポロ」
水「離れたくない…!!ポロポロ」
青「っ…」ギュッ!!
ひとつ言葉を零すと、次から次へと溢れ出てくる。
青くんだって泣きたいはずなのに、我慢して背中を撫でてくれてる。
神様、どうして青くんに出会わせたんですか?
出会ってなかったらこんな辛い思いしなくて済んだのに…。
……でも逆に出会えたからこんなに幸せなんだよね。
もう、わからないや。なにが正解なのか。
青side
水が俺の腕の中で泣いている。きっと今の気持ちがすべて口に出たんだろう。俺だっていやや。水と離れたくない。離れるということも考えたくない。それくらい好きで、好きで、たまらない。
水が泣いてるのを見て、俺だって泣きそうになった。
でも俺に泣く権利なんてない。大事な2ヶ月の1週間を入院生活にさせてしまったのは俺のせいでもある。
俺が責任を持って水を支えないといけない。
青「…」
水の体温が、以前より少しだけ冷たく感じたのは、気のせいだろうか。
青「じゃあな水、また明日」
水「うん…またね」
水の悲しそうな顔を見ると心が苦しくなる。
ガチャ
青「ただいま…」
現在夜7時。お腹もすかない。今日はこのまま寝ようかな。
青 ゴソゴソ(ベッドに入る)
当たり前だった1人暮しが、水が来ると当たり前じゃなくなって。
今だとこんなに寂しく感じるんだなと思った。
青「…早く帰ってきてよ…ポロポロ」
この1ヶ月で信じられないくらい水のことが好きになったんやな…。
神様、水に出会わせてくれてありがとう。
水に出会えたから、今までにないくらい幸せ。
……やけど、水に出会ったからこんな辛い思いせなあかんやな。
もう、なにが正解なのかわからんな。