テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
楽園の扉~ワールド・オルタネイション
「昨日の出来事が嘘みたいに晴れやかで太陽が顔を出しています。カント―地方、ジョウト地方の異常警報は全区域内で解除されました。天気は“日本晴れ”で雨雲も澄んだ青空の前に逃げたみたいですね」
グリーンの姿は無かった。時刻はAM5:30。一晩の世話になったポケモンセンターの受付嬢のお姉さんに礼を言い自転車を走らせる。天候は太陽の日差しで晴れやかな心をキャンバスのパレットに映し出したかのような光景が眼前の視野に広がっていた。草木や大樹が滴を浸し、鼻先を擽る雨上がりの虹空を架け橋に飛躍させてはオニドリル、ピジョットの翼で滑空するトレーナーの姿が確認できる。グリーンはチャンピオンリーグで攻略中……? グレンの島が見えた! シャワーズの「波乗り」で島渡だ、オレは海と潮吹き成る津波をかき分けて一心不乱に目指す、ポケモンマスターの詩を胸に馳せてー大海は広かった。異常気象は地球の悲鳴? SDGsも所詮ヒトのその場しのぎ。ミュウツーのコールド・スリープ(冷凍睡眠)は必ず阻止する、ロケット団の好きにはさせない! 快晴の青空と最新のニュース速報を図鑑の機能にて確認した後、しとどに降る汗と波打ち際の攻防を退け、永き旅路の末に辿り着いたグレンタウンは朱かった。
「カツラは何処にっチャンピオンロードの呼び声がオレの“精神”を振るえ立たす」
未来への警鐘は飽くなき探求心への邁進曲ー透明な水、爽やかな風、猛る炎、歌う大地が彼らを強くさせる。希望へのホップ・ステップはジャンプをフルボリュームM(マグニチュード)に応え最高な思い出と共に真昼の打ち上げ花火を示唆していた。
カツラは居た。若さは宝箱の光りを説く七色のアーチを描いて呼応するポケモンとの共生の心を育む、勝負は挑戦と限界無き炎の代償ー化石のしもべ・プテラを上空にはためかせながらオレは叱責した!
「話してもらおうか、伝説の神話を。マサラタウンに居たんだろう、マボロシ(幻獣)が!」
「ミュウはミュウツーのプロトタイプ【エスパーの神】サイキックで私の全身が潤す」
オレが太陽だ! ピカチュウ、フシギバナ、シャワーズ、プテラ、ラッキー、ウィンディが勢ぞろいーHERO達の絢爛舞踏祭開演が幕を開ける!
「君の強固な意志がここまで足跡を届かせた。夢を追う一途な気持ちに乾杯」
「勝った……のか。やったぜ」
グレンバッヂGET。グリーンの影を捕らえた、残り少ない旅路のロード……遠くの故郷・古里が帰りを待ちくたびれている事だ。優しき記憶の断片に眠るかけがえの無い物語の伝説が永世に向かって突き進むープレリュードの歌謡曲がもうすぐ臨界点を超える!
「チャンピオンロードは目の前だ……トキワシティに戻り給え。最強の幹部・サカキに勝利したくば」
「あそこにはオレとピカチュウが出会った森がある。大切なポケモン達の生息地を荒らす訳には行かない」
もう一度、帰るんだーあの場所へ
八つの耀き・瞳のチカラ
グリーンとの図鑑完成とプライドを賭けたバトルも大詰め。オレは負けない、最強のその先へ見果てぬ夢の続きを思想に堪える為に! 開かずのジムが開いた、両隣にはサカキの銅像。暗闇の中で鋭い閃光が瞼を拓かせ妖しく光る……小さな拍手の音。
「よくぞここまで泳ぎ切ったものだ。少年レッド」
「その声は……ロケット団の長!」
サイドンとニドキング、ニドクインを従えオレの目の前に姿を見せるのは最期の男だった。強すぎる力の果ての暴力ー他意は無い!
「この世界の空の境界には様々な生き物が生息している。人間とポケモン……互いの意志を尊重し合い手を取り合い支え合う存在。明日の夢に揺蕩う想いを馳せて文化を成形し合う最愛の身近な奇跡」
「……」
「ロケット団は名残惜しいが壊滅寸前だ。ミュウツーの所在は未確認で鼬ごっこも崩落した大地の悲しみに暮れてゆく、最早一刻の猶予も無い、ボールを割れ」
「……」
「ピカピ!」
サイドンの角ドリルが天を貫くー 轟音と地響きが建物内を脅かし二人のトレーナーの身の安全を保障しないー決意の刻! ピカチュウのLEVELは100(マックス)ーどこまで闘える、レッド?
「お前には分かるまい、トキワの森のピカチュウの悲しみがッ!」
「私を斃すつもりで掛かってこい。でなければこのジムごと身体がぺしゃんこになるぞ、グリーンの二番手」
「!」
「ジムリーダーの職務が彼をセキエイ高原にまで昇り詰めた……切磋琢磨しライバルの名に相応しい最高な魅力と労力を備えていた彼はまさしくヒーローだった」
100万ボルト&フシギバナのソーラービーム、大文字、ウインディが雄々しく叫ぶ、火炎の夕刻!
「茜空に染まる懐かしき片田舎で隠居生活も悪くはない選択。どうかね、ここで朽ち果てる気か少年」
まずい……パワーが押されている。CHANGE!
「プテラ、破壊光線ー!」
「無駄だ」
ニドキングの一角獣のホーンが辺りを惨状に変えた? 傷つき倒れゆくポケモン達……絶対に許さない! 能力や威力だけでは戰いを制覇出来ない、オレはオレなりの良識を持ってこれまで興道していた。一番必要なのは【人間力】だ! こいつには愛情が不足している、ベタベタするなよ強面男の駄目大人。自分の半生思い返せ、カントーが怒ってるぞ……一生分からないと思うぜ、ポケモンとの友情なんざ! 醜い素性を隠してまで野望の方が大切なのか、喝ッっ!
「それがお前の底。同情なんざ要らない、覚悟しろペテン師!」
「子供がクロス・オーバーしたからって図に乗るなよ、隣町へ帰れ!」
逆恨みもいい所。単純な思考回路に身に覚えの無いやり場のない怒り、呆れたぜー
「ハイドロポンプからのメガトンパンチー」
「な……何!?」
ホラな。そういう魂胆。誰もオレの№1の光りには届かないー真逆な神経がピカチュウとの約束だった……
「ダミープラグ。ミュウツーを返せ、生体実験を止めろ!」
「私の完全な計画が……余生のプランがッっ」
倒れ込むサカキ。頭に血が昇ってる……その程度のニンゲン。。落ち着け、その場しのぎを止めろ。ミュウツーの声が聞こえた!
「ミュウ」
カントー地方のみんなが哭いている。悲しみ、憂い、迷い。寂しがり屋の子達……役者は全員揃った。フィナーレは近い! セキエイ高原は自転車の駆る眼前のオレンジ色に黄昏て雄々しき季節を憧れていたあの旅路の集大成をMEMORYに刻む。
「ピカピ、ピカチュッ」
鼓舞する内側からの情熱が静まり返る屋内外の意気揚々のことだまを示唆してゆくー終焉の激闘、カンナ、シバ、キクコ、ワタル。そして最後の敵・グリーン! 後は燃え尽きるのみ……
「開けるぞ」
独り言が行進曲~マーチを終えた。いろいろなエピソードの懐柔が胸の心ノ臓をぴりりと痛くする、懐かしき痛みー草むらは見慣れたポケモンの姿が見えない……サカキ達ロケット団の仕業に違いなかった! ミュウとミュウツーは元々、同じ生命体。遺伝子操作や幾度と実験を繰り返しカントーを何度も騒がせてきた怪奇ニュースだった。ハナダの洞窟の奥地で眠るその後光に新世界のハッピー・エンドの神々が宿る地へ、森羅万象≠輪廻転生が隔てゆく漆黒の夜が来る。チャンピオンロードは明かりに照らされてレッドカーペットの絨毯で高級さを物語っていた叙事詩其の物ー
「君がレッド。噂で聞いている、氷ポケモンが焔で解ける瞬間を」
カンナが眼鏡を治し座椅子に腰掛けていた。夢と大志が道筋のつむじ風を纏い威風堂々のエースキャップを視界に光らせる、モンスターボールの中身はフルHP、PP!
「マスターの理念の達成とさらなる飛躍の一手」
オレは燻るヒートを煮え滾らせた!!
ラスト・エピソード【生存か、破滅】
ピカチュウ、フシギバナ、ラッキーの三つ巴の攻撃がスタジアムを熱くギアの歯車の滑車を呼び鳴らす! 激しき風神≠雷神掛ける応酬の連続……切札はまだ掌の中にーカンナが倒れた、強敵ジュゴン、ルージュラがHPの0を確認しては図鑑のデータを更新する。有線のBGMの音楽はこの街の「メインテーマ」の交響曲が流れている……生中継のLIVEの映像? 監視カメラが独りでに動き始めた、非常識な悪党共。同情する余念も無いー固く意思を掲げる少年は神話を紡ぎ伝説に生きてゆく。
「レッド。私の愛馬は凶暴だ、乗りこなしてみろ」
「御託を並べてないで来い」
巨大なイワークの岩雪崩がフィールド~場を凄惨と萎縮したテレビ局の取材の報道陣をあっけらかんとさせる。所詮、民間人もその程度……自転車を進ませながら戦闘を再開した、フシギバナの弦の鞭が身体を支え快進撃のタイミングを待っているーシャワーズのバブル光線が効果抜群の敵意を退けるー勝利。
「次」
「ピカッ」
キクコはゴーストポケモン使いだった、SNSのリサーチで得た情報が役に立った! 腰掛けてあるフーディンのサイコキネシスが相性の最高な得意技で担い合う。念力の使い手は頼もしくスプーンを捻じ曲げた。LEVELは100,87,77etc……おだつのもそそっかしき粗相が隙を見せる、只のバトルおたく? そう言われても構わない……夢想の扉が明日へのマーチ~讃美歌の“祝福”を待ち焦がれる。ワタルはドラゴンタイプ、ハクリューとカイリュー、ギャラドスがステージのAREAを自信で揺らす! 怪力、居合切り、波乗り、フラッシュ、空を飛ぶー秘伝マシンと技マシンの威力が増し増しで理屈を覆したー勝った。そして……
「遅ェ。リザードンは退屈しのぎに吼えていた、風を切り裂きたければこの壁を乗り越えろ」
「図鑑の完成も二人の協力なら叶うのかも。ピカチュウは絶対に進化した、姿形は同じとも」
「トモダチゲームはお遊戯会の中でしろ。ファイナル・バウト。DJ」
「カントーの一番、二番を争うポケモンマスターが選ばれる鬨だッ! 野次馬は黙って静観してろーREADY!?」
最初の一匹はピジョット? ピカチュウの100万ボルトが雷雲を連れて来る! アイアンテール、電磁波ーリングに掛けろ!
「楽しいぜ! 泣くか笑うか、一発勝負!! ストライク、居合切りー」
「スピードスター、ウインディ!」
奇跡の連続が二人の精悍な趣で熱量をヒートアップさせてゆく! 最後の一匹!? フシギバナ、頼む。
「あの研究所での出逢いがそうさせる。フルコンプリート=パーフェクト・ワールド」
「完全決闘! フシギバナ→葉っぱカッター!」
扉の出入り口が大袈裟に開いた、八人のジムリーダーが応援に駆けつけて来た! タケシ、カスミ、ナツメその他のギャラリー……
「今だ! 火炎放射」
フシギバナが倒れた。プテラ、未知なるパワーだッ! グリーンが白いマフラーを旋風で靡かせるー勢い良く激闘の渦中に巻き込まれゆく大勢の観客、他意など消えた。完全に……
気付いた時、赤い帽子はボロボロに廃れていた。破れかけのグローブ、埃と傷だらけの汗まみれの衣服。オレはここに起つ! 一番星の耀きは最早記憶の外側の向こう側の境界線……オーキド博士が息を切らしながら待っていた。
「老いぼれには少々堪える戰い(バトル・ファイト)だった。レッド、グリーン」
グリーンは胸のペンダントに誓う、きらりと前髪がメッシュの茶、金髪に映えてXやインスタで大バズりだった。冷静沈着な少年とのしもべ(相棒)の絆は確約され、鬨を切り開くジャポニスムの快活を夢見る。ゴングが鳴り終わる、ポケモン達は激しく息切れして傷付いた。その証と素晴らしき邁進がたった一つの栄光を馳せては八個のバッヂの煌めきをいつまでも輝かせていた。ファンファーレは大往生、旅の記録のレポートに記した少年の冒険はまだまだ続くー
「次の仕事が待っている。二人とも写真撮影だ」
フシギバナとリザードンがあの頃の面影をどこか懐かしく燦々と胸を張っていた。ピカチュウは駆け付けたお母さん、お父さんの傍に居て何やら鳴いている、アイツの事は心配無用……終わった。息切れした方の隣には心身ともに成長した幼馴染が立っている……光の中へ消えゆく大舞台がオレ達の最期の友情、固く結ばれた握手が新聞記者達の質問タイムを設けた!
「今、この瞬間がすべて」
「幸せとは傍にあるのに気付かぬもの」
「レッド! グリーン! こっち向いて~ハイ、サービスショット☆」
全国のトレーナーが大騒ぎ、優勝のトロフィーが贈られる。お前の勝ちだー
ピカチュウは笑っていた。
クライマックスへのうねり‐未来への片道切符