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⚠注意⚠

万放

死ネタ

終止、放が可哀想

久しぶりの小説(拙い)

万葉の口調がわからない。

放の口調もわからない。

放浪者の名前は放浪者で書いてます。



【日記1】

10月22日

万葉が消えた。いつもの流浪ではなく死んでしまった。裏切られていないと自分に言い聞かせた。彼の声が聞きたい。

10月23日

万葉の夢を見た。彼に頭を撫でられて、昔丹羽にされたように甘やかしてもらった。起きてからの喪失感で涙が流れてしまった。

10月24日

また一人になった。誰も僕の元を訪ねてこない。寂しい。消えたい。

10月25日

死にたい。死ねない。万葉に会いたい。

10月26日

万葉への誕生日プレゼントを買いに行った。途中で引き返した。そっか、彼はもう居ないんだった。

10月27日

外の木が紅葉していた。綺麗だった。また彼を思い出した。

10月28日

また万葉の夢を見た。そういえば明日は万葉の誕生日だったっけ。明日になれば、会えたりしないかな。そういうサプライズがあったりするかもしれない。プレゼントを買いに行った。


────今日、10月29日は楓原万葉の誕生日だ。放浪者は、それこそ待ち合わせはしていないが、おそらく「いつもの場所」にいるであろうと、淡い期待を抱いて、向かうのすらも躊躇する稲妻へと脚を運ぶ。そんな彼の表情は憂鬱でいて、それでも期待と希望が混ざったものだった。

稲妻に着くと放浪者は必ずと言っていい程、たたら砂へと向かう。それは、丹羽達の墓参りを果たす為だった。

綺麗に掃除されていたその墓の前にしゃがんで、お供え物を置き、手を合わせて祈った後、座って自分の経験した冒険の話をした。その話のほとんどが万葉への惚気話になっていたが、放浪者は特に気にしなかった。

丹羽達の墓参りを済ませた後、放浪者は「いつもの場所」へと向かう。

「いつもの場所」とは、天領奉行の横にある桜の木の下の事であり、放浪者が稲妻に来ると、大体楓原万葉が居た場所でもあった。

─その桜の木の下に人影があった─

白に赤色のメッシュの入った髪と、風元素の神の目、見慣れたその姿に、放浪者は思わず駆け寄った。「達の悪いサプライズだね、心配して損だったよ。」と、そう言ってやろうと思いながら彼に抱きつこうとしたその時、彼が振り向いて微笑んできた。

「…かずは」

伸ばした手は彼の体を通り抜けてしまった。

「万葉?なんで…?」

なんでさわれないのと、そう続けようとした時

「拙者はもうこの世に居ないでござるよ。」

と、万葉の声が聞こえた。その声に反応するかのように涙が溢れ、その場に崩れ落ちる。

「なん…で……ひどいよ…こんなの。」

そういいながら放浪者は一人ぼっちで泣き続ける。しばらくすると、放浪者は立ち上がり、振り返らずにその場を後にして、一人、海を見に行った。

「ねぇ、万葉、海は綺麗だね。一緒に見れて嬉しい。」

いない筈の彼の名前を呼んでしまうほど放浪者の心はズタズタになっていた。

【日記2】

10月29日

万葉に会いに行って、万葉と海を見に行った。誕生日プレゼントは渡し損ねてしまった。次会ったときにでも渡そう。

10月30日

ずっと前から気になっていた珊瑚宮に万葉と一緒に行った。綺麗な真珠があったので紐を通して首にかけることにした。

11月1日

海祇島の風景を見て回った。びしょびしょになってしまったので万葉と宿を借りた。


──今日はどこに行こうか、放浪者はそう思いいつものように万葉に向けて話しかける。

だが、端から見れば虚空に向けて話しかけている不審な者でしかない。それもそのはず、楓原万葉はとっくの前に亡くなってしまっていると言うのだから。

今日はゆっくりこの辺で過ごしてもいいなぁ。と思いながら微笑んでいる放浪者に急な眠気が襲ってきた。

目を開けると、万葉の顔が視界に写った。

「え…かずは……?」

次に頭に触れている柔らかいものに気がつく。おそらく膝枕をされているのだろうと、予測を立てて放浪者は力を抜いた。

何があったのかは知らないが今は万葉に触れられている。そしてその温度は人並みには暖かい。今のうちに堪能させてもらっても罰は受けないであろう。

そして放浪者は久しぶりに会えたからと、万葉が居なかった間の話をした。

「放浪者殿。拙者の事はもう忘れた方が楽でござろう?お主は多くの人に必要とされているのだから。」

頭を撫でながらそう言う彼に僕の気も知らずに……と思いながらも言葉を選んで返す。

「確かに必要にはされているけど、無条件で僕の隣に居てくれる人は居ないよ。だから僕を一人にしないで。万葉がいないと…っ」

目尻に涙が浮かび上がった辺りで、ぱちんっ!と音がなって、右頬に痛みを感じる。万葉に叩かれた……?どうして…?

「お主は周りが見えておらぬ。どの口がそんなことを言っているのだ?拙者が…楓原万葉が居なければ一人になると何故言いきれるのだ?」

万葉が怒っている。直感的にそう感じた放浪者は後ろに飛び退く。

「あいすまぬ。少し熱くなってしまったでござる。ただ拙者はお主の事を思って言ったのだが……まぁどうにせよお主の“それ”を解いてやらねばな。」

そう言って万葉は放浪者の首に手をまわし、真珠のネックレスをほどく。

「万葉……それは…」

ビックリして思わず声が出る。壊されでもするのかと一瞬身構えるが、万葉から返ってきたそれは淡い朱色に光っていた。

「拙者がお主にできることはこれが最後でござる。だからもう拙者の事などは忘れて、幸せに生きてほしい。」


その声を最後に、放浪者の意識はまた沈んで行った。


【日記3】

11月2日

万葉の夢を見た。なにも思い出せない。


──記憶できなかったことを不思議に思った放浪者は気になったからと、日記を付けているノートを裏表紙側からめくってみる。

すると、一通の手紙が残されていた。


─ 遺言書 楓原万葉 ──────────

放浪者殿へ

これをお主が読んでいるということは拙者は死んでしまったのであろう。もし、お主が一人になったと感じているのなら街を歩いてみるもよし、友人に片っ端から連絡を取っていってもよし、とにもかくにも、自分の思いに正直に生きてほしい。これが拙者からの最後のお願いである。

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