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…親友の浠結が自宅で意識不明になってから二年。浠結の家族はまだ目を覚ます可能性を信じている。
今は、病室で目を開かない浠結と二人きり。
「浠結…。」
「こんな事になるなら、好きだって、もっと早く言っとけば良かった。」
「………え?」
「!?浠結…やっと起きたの!?良かった…、今医者の人を呼んでくるから!」
「えっと…?」
「ホントに良かった…。 」
「……誰ですか?」
「え」
「……まさか、記憶喪失って事?」
「…浠結、私の事は覚えてる?」
「お姉ちゃん、アタシの事は?」
「うん、皆覚えてるよ。」
「…どうやら覚えてないのは、楠音 凛(くすね りん)さん、 貴方の事だけのようですね。」
「そんな…どうにか出来ないんですか!?」
「検査しても何も異常は見当たりませんし…対処のしようがありません。」
「…凛ちゃんの事忘れちゃうなんて、幼稚園からの親友なのにね。」
「……」
「あ、もしかしたら凛ちゃんと一緒にいたら凛ちゃんの事思い出すかもよ?」
「そんな漫画みたいな事…。」
「やる価値はあるくない?どうせお姉ちゃんと同棲してるじゃん。」
「えっと…」
「ほら、浠結も困ってるじゃん。今は結衣のお母さんや妹ちゃんと一緒に過ごすのがいいでしょ。」
「えー、でもさ、」
「あの!私、楠音さんの事、思い出したいです。 」
「えぇ…」
「ほら、お姉ちゃんもこう言ってるし。」
「でも、楠音さんにとっては迷惑でしょうか…。」
「いや、そんな事ないけど…。」
「じゃあ決まりじゃん!二人とも、頑張ってね!」
「…はい。」
「じゃあ明日の九時には退院できますので。」
翌日⬇
「…凛ちゃん。改めてだけど、家の娘を宜しくね。」
「…はい。勿論です。」
「じゃあ、浠結。」
「はい。宜しくお願いします。凛さん。」
「……よろしく。」
「凛さん、早速なんですけど、トイレ借りていいですか?」
「ああうん、トイレはあっち…」
ジャー、パタン
「…トイレの場所は分かるんだね」
「あ、はい。間取りは全部分かります。」
「へぇ…。じゃあホントに私の事だけ覚えてないんだ。」
「はい…。すみません。」
「いや、責めたわけじゃなくて…。」
「「……」」
「えっと、そういえば、私達って幼稚園からの付き合いなんですよね?私達の関係を詳しく教えてください。」
「あー、えっと…」
「幼稚園の時は、私が一人で遊んでたりご飯食べてたら、浠結が一緒に遊ぼうとかこっちで一緒に食べようとか誘ってきて、浠結の仲良しグループの中に入ったんだよね。」
「へー、覚えてないですね…。 」
「で、小学校になったら浠結と私以外の仲良しグループの子は違う学校に行っちゃって、浠結と私だけ同じ学校に行ったんだよね。小学校でも変わらず仲良しだったよ。」
「うーん、そこら辺も記憶が…。」
「中学校は学校が離れちゃって、スマホも持ってなかったから全然喋れなかったね。」
「うーん、中学校の記憶はハッキリありますね…。」
「高校ではまた一緒の学校になって、部活も一緒の吹奏楽部に入ったよ。」
「吹奏楽のところは覚えてますけど…入った理由とかは覚えてないですね」
「まぁ、入った理由、私が楽器好きだからだしね。」
「で、卒業して二人とも就職どうしようかってなってる時に浠結が自宅、つまりココで倒れて意識不明。」
「あっ…?そこ、ちょっと覚えてる気がします。」
「ホント!?詳しく覚えてること教えて!」
「はい…。鏡の前で…私が、なにか喋った…?」
「…すみません、役に立てなくて。」
「いや、全然役に立ったよ!でも、なんで鏡?」
「わからないです…。」
「うーん…とりあえず、妹ちゃんのアドバイス通りに、今日は一緒に買い物でも行く?浠結がしんどくなかったらだけど…」
「!はい!行きましょう!」
続きます