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「昨日は坊ちゃんのおめでたいお話を伺わせていただいて、今日は陽介様から嬉しいご報告を聞かせてもらえるだなんて……生きていてよかったです」
「華さん、それは大げさだから」
彼がそう突っ込んで言うと、
「まぁ、何を言っておいでですか! この時をいくら待たされたと! 本当に私の生きていられるうちに、陽介様にはお好きになられる方が出来るのかと!」
まさにやぶへびとも言えるような状況になって、思わずクスリと笑ってしまった。
「いや、笑わないで助けてくれないか」と、彼が苦笑を浮かべる。
「……ですが、とてもいい雰囲気で」
華さんがそう口を挟んで、
「本当に、よかった……」
しみじみとした口調で呟いた。
「ありがとうございます」
口をついた感謝の気持ちに、
「いいえ」と、華さんが首を振り、
「ありがとうと言いたいのは、こちらの方ですから。陽介様のことを、これからもよろしくお願いしますね」
皺の刻まれた顔をにっこりとほころばせた……。