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ある日曜日の午後。
友也は接待ゴルフで、恵子は自治会の集会に出席している。
沙耶は のんびりテレビを観ていた。
そのとき、「ピンポーン!」とチャイムが鳴って、
友也の姉の美奈(みな)が、息子の翔太(しょうた)を連れて家に来た。
美奈は35歳で、派手目のワンピースを着ている。
尖ったネイルは、サロンで施術したばかりのようだ。
翔太は小学5年生の10歳。
小綺麗な服を着て、頭の良さそうなクールな顔をしている。
「ただいま!」
美奈と翔太は、靴を脱ぎ散らかして家に上がった。
美奈は冷蔵庫を開けて缶ビールを出すと、ソファーに座って飲み始めた。
「あ、沙耶さん。ツマミ頼むね」
「え?」
「玉子があるから、だし巻き できるでしょ」
翔太は、クッキーの缶を見つけて食べている。
「翔太が好きだから、夕食は焼肉にしてよ」
「あ、あの?」
戸惑う沙耶を無視して、美奈は言った。
「あぁ、やっぱり実家はいいわぁ」
(実家??? なにそれ?)
沙耶には意味が解らない。
困惑する沙耶に、美奈が言い放った。
「母親が住む家よ。ここは私の実家でしょ」
「は???」
「離婚したから、実家で暮らすことにしたの」
「え???」