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這い上がってきた幾ヶ瀬の指先が左の乳首を僅かに掠めただけでギュッと目を閉じ、固まっている。
「さすればそなたは……っ、真理に到達するであろ……うっ。はい、老師……っっ」
何かの漫画の台詞を、1人2役でそらんじるが上手くいかない。
「感じすぎたって、有夏」
突起の先端を、指の腹がやさくしなぞる。
やがてその指がツンと乳首を突つき出した。
「これが……っ、老師っ、の、最終……おうぎ……闇から、んっ! いくせっ、それヤだ!」
幾ヶ瀬の人差し指と中指が固くなった乳首をつまんだ。
力をいれたり弱めたり。
「ふぅっ……んっ」
咄嗟に茶碗をテーブルに戻した有夏。
このままでは確実にこぼしてしまうと、これは懸命な判断であったろう。
耳の穴にあたたかな息を吹き込まれ、彼は背中を強張らせた。
ともすれば解けそうになる身体を叱咤しているように見えて、幾ヶ瀬は喜悦の笑みを浮かべる。
「最終奥義の前に、色々準備があるからね」
「言いかたっ!」
乳首を集中的にいたぶられながら、有夏は尚も眉間に皺を寄せている。
快楽に溺れるには、どうしてもこれまでの流れが腑に落ちないらしい。
今の今まで食べろ食べろとわめいていた男が、この変貌っぷり。
「幾ヶ瀬っ、冷蔵庫こわれたショックで……自分が何やってるか分かってねぇだろっ」
「分かってるよ?」
同時に左の乳首が解放され、有夏はため息をついた。
そんな彼の耳元に幾ヶ瀬が囁く。
「有夏が左の乳首と右の乳首、どっちが気持ちよくなるか実験をしようかと」
「はぁ? お前、酔ってんのか……うぅんっ」
今度は右側をつままれた。
指で挟み、捏ねりあげるようにして刺激する。
「酔ってないよ? 料理人は呑まない方がいいんだ。舌と鼻を壊しかねないんだって」
「別のとこが……っ、壊れてんじゃねぇの」
幾ヶ瀬が笑う。
「有夏のココが毀れるって?」
背後から、空いている左手で有夏の尻を撫でた。
「やめぃ!」
有夏が絶叫する。
「おま……ホント、冷蔵庫ストレスをこういう発散の仕方、するとか……」
語尾が掠れた。
今度は左右の乳首を同時につままれたのだ。
「だって1万円の肉が無駄になるかもって思ったら正気を保ってなんかいられない。いいじゃない。有夏が右と左、どっちがイイのか教えてくれたって」
「脈絡がナイ!」
じわじわと快感が広がり、背中が蕩けそうになる。
押し寄せる波に、今日ばかりは呑まれまいというように有夏は首を振った。
「どっちなのか教えてよ。せめて俺をなぐさめて……」
「バカがあらわれた……」
「ひどっ」
「………………」
いつのまにか幾ヶ瀬の胸に背中を預けて、完全に弄ばれるがままになっている有夏だが、時折漏れる切なげな吐息以外は声を発しなくなってしまった。
勿論、右も左も答える筈がない。
「有夏ぁ?」
幾ヶ瀬は一旦、乳首から手を放して有夏の胸に腕を回し、その身体を膝の上に引き上げる。
短パンの裾をまくりあげて手を滑り込ませ、無抵抗の孔に指を挿し入れる。
「んっ……」
朝方まで睦みあっていた為か、中指は引きずり込まれるように奥へと吸い込まれた。
「ナカ、柔らかいね」
「や、あっ……」
幾ヶ瀬が大人しく指を抜いたのは、有夏の言葉に従ったからではない。
彼の腰に片手を回し、力を込める。
僅かに身体が浮いた間に、器用に短パンをずらせた。
「いくせぇ?」
「ごめんって。でも、どうしても知りたくなってきちゃった。冷蔵庫ショックに免じて許してよ?」
「なに……がっ」
自分も前をはだけると、屹立したモノを有夏の後ろにあてがう。
腰に回していた手に力を込めて押し付けるように座らせると、有夏の口から押し殺したような呻きが漏れた。
すんなり奥への侵入を許したのは、幾ヶ瀬の体液が僅かに残っていたからであろう。
だが突然の挿入に、擦られた内壁はひりつくような刺激を身体に与える。
「んんっ……ったいってば」
逃れようと無意識の動きで前のめりに倒れそうになる身体を、幾ヶ瀬が後ろから抱き止めた。
Tシャツをたくし上げ、指は再び胸の上を這う。
「だからっ、それやめっ……くぅっ!」
まずは左の乳首をつままれた。
指先が小刻みに動き、引っ張ったり押し潰したり。
弱いところを全部知っているその動きに、身体が抗えないのか、有夏の全身から力が抜けた。
「有夏のナカ、凄いよ?」
耳元で囁かれ、遂に有夏は声を我慢することを放棄した。
「いくせぇ……ちゃんと、うごい……て」
「ごめんね、有夏。もう少し我慢して」
ご機嫌を伺うような調子だが、幾ヶ瀬の声は楽しそうだ。
右はどうかなと、今度は右の乳首を捻りあげる。
「あぁ……」
腰を震わせると、幾ヶ瀬の方も深く息をついた。
「そんなに俺の締め付けたら……」
棒を擦りつけたいという衝動と戦っているのか。
乳首から手を放し、幾ヶ瀬は有夏の腰を抱きしめた。