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夢であって欲しい
冬弥said
司先輩…??
受け入れ難い現実を目の当たりにしたからか、さらに泣きたい欲が強まった。
「う…ふぇ、、う〜」
なんとか我慢しようとするが声が出てしまう
そう唸っているとその声に気付いたのか、司先輩がもう1人の赤ん坊を抱えながらこちらを覗く。
「どうしたんだ冬弥?
泣きたい時は、泣いても良いんだぞ 」
優しい声で語りかける司先輩は、俺も抱き上げソファーへと向かった。
ソファーにゆっくりと座ると俺たちを膝に座らせ背中をリズム良く優しく叩く。
それが心地よくて眠たくなってきた。
「うぅ〜 ああぅう(気持ちいい〜やっぱりお兄ちゃんの手落ち着くな〜)」
!?
ウトウトしていたはずが一気に眠気が覚めた。
お兄ちゃんってどう言う事なんだ?
まずなんで赤ん坊の言葉が手に取るように分かるんだ?
隣に座っている赤ん坊が誰なのか分かったかもしれない
そう思い聞いてみる事にした。
「あう、うああぅあ?(もしかして咲希さんですか?)」
そう尋ねると先ほどまで笑顔だった赤ん坊は、いきなり驚いた表情をした。
「あぅあ!?(その喋り方…とーやくん!?)」
「ああうあぅ!(そうです!)」
そんなやり取りをしているとその 光景を見て司先輩は、微笑んだ
「お前たちは本当に仲が良いな!」
そんな風に笑いかけてくれる事が凄く嬉しく感じた。
こんな幸せな気分に水を差すように疑問が浮かぶ。
司先輩は、俺たちの父親なのだろうか?
そうだとしたら俺たちは誰の子供なのか気になってしまう
もう一つ可能性があるとしたら俺たちが養子だという事だ。
どちらかが必ず当てはまる。
だが、どちらにしろあまり良い気分はしない。
もしかしたら咲希さんは、知っているのかもしれない。
俺は司先輩が寝た頃、咲希さんに聞いてみる事にした。
咲希said
自分の兄弟がとーやくんだという事実を知って驚きを収められないまま夜になった。
夜はお兄ちゃんがアタシ達の隣に寝転がり、眠るまで子守唄を歌ってくれたり絵本を読んでくれたりした。
お兄ちゃんが絵本を読むと眠気が覚めちゃう気もするけど…
そんな事を思っていると絵本が読み終わった。
その時隣で寝ているとーやくんが声を出した。
「あうぅあおあ(咲希さん、後で相談したい事があります)」
「あうああ!う〜ああぅ(お兄ちゃんバレちゃうよ!あ、そっかお兄ちゃんにはアタシ達の言葉分かんないんだ!)」
「2人ともこの絵本を気に入ってくれたんだな!
良かった良かった!」
お兄ちゃん、ちょっと声大きいよ?
それじゃあ普通赤ちゃんは起きちゃうよ?
ツッコみたくても本人には届かない
もどかしい気持ちをしまい込んで今は一刻も早くお兄ちゃんを寝かせないといけない!
何故なら赤ちゃんになったからか不思議と眠くなるのか早い
寝ないよう気をつけて目を瞑って寝たフリする。
それと合わせてとーやくんも目を瞑った。
少しアタシ達の顔を見た後お兄ちゃんは立ち上がった。
「おやすみ。 咲希、 冬弥」
そう言った後部屋を出ていった。
今から声を出してもバレちゃうかもしれない。
だから10分くらい待ってからとーやくんに喋りかけた。
「ううぁあう?(とーやくん、起きてる?)」
「あうあ(はい起きてます)」
※ここから先の会話は、普通の言葉になりますが実際には赤ちゃん言葉で話しています。
「でとーやくんが相談したい事って何?」
そうとーやくんに聞くと、少し悲しそうな表情をした。
少し明るかったけどそれでも暗い部屋だから本当に悲しそうな顔をしてたかは分からないけど
「えーと…こんな事を疑問に思うのは、あまり良くない事だとは思うのですが…
単刀直入に言いますと司先輩は、俺たちの父親なのかという疑問を抱いてしまって…」
「確かにそう言われてみると気になるかも
…なんだかお兄ちゃんにお嫁さんがいるって考えるとちょっと変な感じ」
想像しようとしてもなかなかできない。
お兄ちゃんはショーを第一にする様な人っていう印象が強かったからだと思う。
「もし司先輩が俺たちの父親なら母親は今どこにいるのでしょうか?」
「う〜ん仕事なのかな?」
仕事だとしても帰ってくるの遅い気がするし…
お兄ちゃん、スマホを全然触ってなかったからもしかしたらお医者さんとかなのかな?
真剣に考えても全く分からない。
「司先輩なら俺たちを気づかって、母親がいつ帰ってくるかとか教えてくれると思ったんです。」
確かにアタシ達の知ってるお兄ちゃんなら多分そうしてくれる。
自分にかかってる毛布をギュッと掴んでまた考えた。
とーやくんは、アタシの返事を待ってるみたい。
「そっか…
でもあのお兄ちゃんは、アタシ達の知ってるお兄ちゃんとは違う性格だったりするかもしれないよ?」
「俺たちの知る司先輩と今の司先輩は、別の人って事ですか?」
そう聞かれたけど断言できる訳じゃない。
なんとなくそう思っただけだった。
「確かに大きな声出すところとか優しいところとか演技が上手なところは同じだけど…
自分の子供に知ってる人の…アタシととーやくんの名前をつけるようなお兄ちゃんじゃないって思って…」
少し自信を無くしたようになっちゃった。
だって、アタシ達の知ってるお兄ちゃんとあのお兄ちゃんは別だけど同じってよく分からないんだもん。
そんな風に話してたらゆっくりとドアが開いた。
咄嗟に目を瞑ったけど多分お兄ちゃんだよね?
「全く…
ちゃんと寝ないと大きくなれないぞ
オレは2人に笑顔で学校に通って欲しい
…良い夢を見るんだぞ咲希、冬弥」
そう言ってまた扉は閉まった。
本当にお兄ちゃんじゃないんだよね…?
そう考えてたら段々と眠くなってきてアタシは、静かに目を瞑った。