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「ねぇ、これなに?」
伊吹がそう言うと、握りしめている左手を私に向けて開けた。
そこには、1つの赤い目玉があった。
一瞬でおもちゃだと理解していても、ビビリの私は思わず声を上げた。
「なによそれ!きもちわる…」
伊吹は、目を大きく見開いた。
どうやら、今朝学校の机に向かうと椅子のど真ん中に、その目玉があったという。
もしかしたら何か知ってるかもしれないと私に声をかけたらしいのだが、予想外の反応で驚いたらしい。
「えー…じゃあこれ、どうしよう」
「捨てたら?気味が悪いし」
私がそういうと、伊吹がその手があったか!というような表情を見せ、そそくさとゴミ箱に向かってその目玉を投げ捨てた。
そのとき一瞬、ゴミ箱の中に白くて丸い何かが見えた。
伊吹もそれに気がついて、顔を真っ青にしていた。
「…ちょっとまって」
恐る恐る、伊吹がゴミ箱の中を見る。
さっき捨てた赤い目玉の色違いだろうか、形大きさは全く同じだ。
嫌なニュースが私の頭によぎった。
6月14日。夕方頃、この学校から近くの駅の踏切で女の子と電車が接触した事件があった。
この事件は全国ニュースになったほど有名になった。
なぜそんなに話題になったか、まるで呪いのようだったのだ。
電車と接触した女の子は、見るに堪えないほどバラバラにされていた。
そのバラバラになった中で、潰されていただろうとされる1つの目玉が
紫色の目玉が、そこにあった。
その不気味さに現場を見た人々は一生記憶に残るほどの衝撃だったという。
もしかしてそれの…いや、考えすぎだろうか。
「あの目玉って…」
伊吹がそう言った瞬間、私は声をあげた。
「もう、忘れよう」
少し黙ってから、伊吹は頭を縦に振った。
それが数日前の出来事。
伊吹は行方不明になった。
2日前からずっと家に帰っていないらしい。
学校にも来ていなく、昨日家族から捜索願いが出されたという。
風の噂で聞いたのだが、行方不明になった当時。伊吹の部屋にたった1つ、黒の目玉があったらしい。
そして、なぜだろうか。