26日目
なんとか日記を書けるぐらいには回復した、けど…
……皆に心配掛けちゃってるな。
どうして私だけこうなってるんだろ…
皆はもう、救われたのに。
絵名
「__でね?彼処に新しくカフェが出来たんだよ!!」
『え、そうなの?!どんな感じのカフェなの?』
「何かね~オシャレだけど落ち着くような暖かいような…なんて言うんだろ。。雑貨屋さんみたいな?感じでさ!」
『何それ。笑
……まぁでも、イメージは出来たかも』
「退院したら一緒に行こうよ!!まだボクも入った事は無いからさ~」
『うん、私も気になるな』
……瑞希はいつも楽しそうに喋ってくれる。
ーーー
「__それで、昨日お父さんのお見舞いに行ったんだけど……お見舞いに行く途中でまふゆに会ったんだ」
『そうなの?』
「うん。まふゆは絵名のお見舞いに行こうとしてたんだ」
『あ、だから昨日まふゆが言ってたんだ』
「?」
『あーえっと…その、ほら……まふゆって基本あんまり喋んないのに気分が良い時は結構喋るじゃない?まぁ人って皆そうだけど…』
『…だからね、昨日はまふゆが沢山話してくれたの』
「そうだったんだ」
……奏はいつも寄り添いながら喋ってくれる
ーーー
「__それで、日野森さんと会ったんだ」
『へー!雫ちゃんと!…何か喋ったの?』
「うん。一応…世間話を」
『はぁ…アンタらしいわね……』
「…ダメなの?」
『別にダメなんて言ってないでしょ!?』
「……あ、絵名の話も少ししたよ 」
『へー……っ、え?ちょ、ちょっと待ってよ……何を…?』
「…絵名はいつも明るいねって」
『あー……そっ、か。』
「うん。」
「…後、絵名が前日野森さんにあげたハンカチも可愛くてお気に入り、って……」
『え、本当!?なら良かった…
あれ、選ぶの楽しかったんだよね~』
「…絵名、何時間もハンカチ選んでたね。」
『はあ!?別に良いでしょ!!!』
……まふゆは偶にグサッっとなる様な事言うけど…でも、何だかんだ優しく喋ってくれる
ーーー
『はぁ…眠……って、あ…そういえば後2ヶ月で誕生日か…』
ボーッとそんな事を呟く。
外の景色を眺めながら色々と感傷に浸るのも悪くない様に感じる。
『んーっ!…昼寝でもしようかな……』
うつらうつらしていると、病室の扉がノックされ、開いた。
『ふわぁ……あー、彰人?別にノックなんてしなくても…』
「……絵名、」
最近聴いていない声がした。
絶対に彰人でも親でも奏達でも無い……特徴的な声。懐かしい、声。
『え……何で、此処…に、』
何で?奏達意外には私が入院してるって事言わないでって言った筈。
なのに、どうして……
「…ごめんなさい、絵名。ビックリさせちゃったわよね」
「彰人くんから…聞いたの」
『な、何で!?言わないでって…言ったのに…』
「…絵名が心配だったの。」
「だって……最近元気が無いみたいだから」
『……』
目の前に居るももいろの髪をした少女は、優しく私の涙を拭ってくれた。
それはまるでお母さんの様に。
『ッ、グスッ……ぅ゛、ごめ、ん…ッ~……、!』
「…謝らなくていいのよ。でも……」
「……頼っては、欲しかったわ」
『愛…莉……ッ、、』
震える指に愛莉の手がソッと添えられる。
「…気付けなくて、ごめんなさい」
『っ…謝らないでよ……、!』
『悪いのは、全部…私なんだから……、、』
「…誰も悪くないのよ、だから絵名も自分を責めないで………今は、何も考えなくていいのよ」
『っ、うぅ゛……、う、ん、…グスッ、、』
…何で、私は……誰も頼れなかったんだろう。
自分が自分で……馬鹿馬鹿しくなる。
『ッ……愛莉、』
「?」
『私……もう、これからは…1人で、背負い込みすぎない。』
コメント
6件
ももいろの鍵って『桃色の鍵』とも読めますが、『ももいろ』を漢字変換しようとしてみると。 『百色』←これがあるんです。まるで『百種類の色を持つ鍵』と読めるんです。 絵名はまさに百種類の絵の具を用いてニーゴのために、絵を描いています。 なまちょこさんのセンスに脱帽です。
愛莉&絵名推しにはたまらないですねぇ… 最高でした👍️