テラーノベル
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車掌さんがドアをくぐって前の車両に移動したあと、どこからか大音量でベルが鳴った。
古いのかなんなのか分からないが、音が鈍くてとても不快だった。
業務は僕が思っているよりもずっと単純だった。お客さんから切符を貰って、確認して、切込みを入れてまたお客さんに返す。それを乗ってきたお客さん全員にするだけ。
人が多いのなら話は別だが、1車両に2、3人…多くて4、5人ほどだった。単調な作業をこなして行ってるうちに気になることがひとつ出てきた。
それは、お客さん全員が顔に真っ白な正方形の紙をつけている事だった。
顔が全く見えないので、感情は読めないが、僕が切符に切込みを入れて返す時になんだか微笑んでくれてるような気がした。僕の勘違いかもしれないけれど、なんだか怖いのでそう思っておこう。
業務時間中、窓を覗くと現世が見えた。いつも通学の時に乗っていた電車が今日も走っていて、車が忙しなく行き来している。最初は死にたいと思っていて、いざ死んだ瞬間はまだ生きていたいと思ったのに、今は何も感じない。
ひたすら業務をこなしていたらいつの間にやら終業時間になっていたらしい。
車掌『皆さん、お疲れ様でした。』
今朝居た駅のホームに皆が集まっていた。相変わらず真っ暗で風が冷たい。
車掌『特に渡くん。初日とは思えないほどにお客様からの評価が良かったですよ。』
渡「えっ!?僕ですか!?」
急に自分が褒められて驚いた。嬉しいやらなんだか照れくさいやらで少し混乱していると車掌さんがまた口を開く。
車掌『ええ。「人当たりも良くて手際もいい。とても新人とは思えない」と、お客様からお声掛けを頂いております。私も少々監視しておりましたが全くもってその通りでした。』
玄「ぬ”ぅ…僕だって今日は…」
玄が車掌さんの言葉に対して少し悔しそうに呟いた。透骨さんは相変わらずあまり口を開かなかった。
車掌『では、本日はお疲れ様でした。遅くなってしまう前に寝てしまいましょう。』
車掌さんの言葉で玄が少し愚痴りながら後ろを向いて小屋の中に戻って行った。その後ろを透骨さんも追うように歩く。車掌さんも歩き出した時、僕は咄嗟に声を掛けた。
渡「あの!車掌さん、少しだけお話いいですか?」
車掌さんは少しだけ驚いたように、でもいつも通りの笑顔で振り向いた。
車掌『…なにか?』
渡「…っお客さん達はなんでみんな顔に紙をつけていたんですか?」
僕は少しだけ言葉を詰まらせながらも日中に気なったことを思い切って聞いてみた。
車掌『…やはり人間は少し察しが悪いのでしょうかね。ええ、お答え致しましょう。
この亡霊列車に乗車されるお客様方は、全て既に亡くなられている方々です』
渡「……え?」
コメント
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うわ…第9話、めっちゃ不気味で引き込まれた🥀 お客さんの顔に真っ白な紙が貼ってある描写、もうそれだけで鳥肌立ったよ…。しかも「微笑んでくれてる気がする」って自分を納得させてるとこ、渡くんの怖がりながらも頑張ってる感じが伝わってきて切ない。 「死にたいと思ってたのに、いざ死んだら生きたいと思ったのに、今は何も感じない」って台詞、すごく心に刺さった。あの感覚、すごくリアルだと思う。最後の車掌さんの「全員亡くなられている方々です」で終わる余韻が、また巧いよなあ…。 次が気になりすぎて今夜眠れないかも🌙
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