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【神戸セント・モルガン教会】
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竜馬と文也は結婚式場の受付で、学生時代からの友人で新郎の宗一郎の花婿付添人として受付で、来る客来る客に、米つきバッタの様にお辞儀して、挨拶をして回っていた
メビウスの財務部長の結婚式ともなると、会社関連の招待客であっちでもこっちでもお辞儀合戦が始まっている
そして腰が痛くなってきた頃、義務は果たしたぞと、こっそりタバコを吸いに、ぎゅうぎゅう詰めの教会の外に出た
やれやれ・・・この後の披露宴の乾杯の音頭もやらされる、そして数か月後には、いとこの文也の結婚式もある、なんだか最近周りが結婚ラッシュだ
竜馬は、なんとか文也の時は何か理由を作って、欠席の詫び状とハイブランド物の塩コショウ入れを贈って、関わらないようにしようかと考えたけど、きっと文也の両親がそれを許さないだろう
そんなめでたい空気から避難するように、玄関口の喫煙所でタバコを吸っていた時、正面玄関に真っ白のリムジンがやってきた
ボンネットのアンテナにバラ飾りと、吹き流しが飾られている。花嫁の登場だ、ドアが開いてオレンジ色のぴったりと豊満な体に、サテンのミニドレスを身に着けた、熟れたマンゴーのような女性が降りて来た、文也の婚約者だ
彼女が降り立った後、フワフワしたスカートがドアからあふれ出たと思ったら、小柄な花嫁が降り立ってドレスを直していた、妖精のようなひだのあるドレスで、頭に沢山花を付けている。宗一郎の花嫁はかわいらしい女性だった
マンゴー女性と花嫁はドレスの裾を汚さない事に気を取られていて、一生懸命ドレスを持ち上げて、慌しく会場に入って行った
そして最後に彼女がリムジンの後から出て来た、エンジ色のドレスは袖の部分がシースルになっていて、白い二の腕が浮きあがっている。彼女の姿を見た時、竜馬の口の中が渇くのを感じた
何か飲み物が必要かもしれない、竜馬は孤高の神崎ジェニをじっくり眺める思いがけないチャンスに心を躍らせた、悲しげな大きな瞳と、つんとした胸の持ち主で、なぜかそこはかとなく竜馬を敵視している彼女に、21階の神崎のオフィス(今はメビウス広告マーケティン部だが)で彼女にキスをしてから、三か月近く経っていた
あの日を境に・・・ジェニに対する竜馬の少年のような淡い恋心が、今では完全な執着に変化しつつある。彼女は座席で泣きわめいている赤ん坊に気を取られていて、竜馬の方に見事なハート形のヒップとふくらはぎを突き出している、誰にも気づかれずに眺めるまたとないチャンスに。竜馬は煙草の灰が落ちるのも気づかなかった
ジェニが白い首にかかる艶やかな髪を揺らしながら降り立った。初めて会った時よりずいぶん髪が伸びている、花嫁の子供を抱えているため、深く開いているであろう胸元が隠れている、残念だ・・・
赤ん坊はヒラヒラの真っ白のドレスを着せられて、両サイドの頭に花嫁と同じ花を飾られていてまるで動く抱っこちゃん人形の様だ
ジェニはむずがる赤ん坊を揺すってあやしながら、大きなマザーズバッグを抱えて、こちらに気づきもせずそそくさと式場に入っていった
しかし、ジェニに抱かれている赤ん坊はこちらをじっと見つめていて、竜馬が彼女を猛禽類の様に眺めているのを、見透かされていた・・・あの子供がしゃべれないことに竜馬は感謝した
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「あらあら~!レイたん、ご機嫌斜めねぇ~(困)」
藤子が心配そうにジェニに抱かれている麗華を見つめる
「そうなの、どうやらこの髪飾りが嫌みたいで、しきりに取ろうとするのよ」
「ただでさえオーガンジーのドレスも、着心地が悪いんでしょうね」
麗華を抱きしめ、ジェニが言う
「レイた~ん、今日はあなたのママの晴れ舞台なの~、もうちょっとだけ我慢してね、あ~ん!くるちいねぇ~嫌だよね~(困)」
ジェニが必死でむずがる麗華をあやす、それを藤子が心配そうに麗華を覗き込む、今日の藤子はとても素敵だ
「ちゃんとリングガールが出来るかしら?」
「とにかく出番まで、私がレイたんのご機嫌を取っておくわ」
「真紀ちゃんの晴れの舞台ですもの、レイたんは私達でなんとかいないと!」
二人は顔を見合わせて、うんうんと頷いた
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式が始める直前、祭壇前では宗一郎がいかにもソワソワして、しきりに蝶ネクタイを引っ張っている、なんともメビウスの財務部長が情けない
式場の入り口には文也がグレーのスーツで入り口に微笑んで立っている、どうやらそこから花嫁が登場するのだろう
文也は花嫁介添え人を務める自分の婚約者を待っているらしい、竜馬はジェニを視界に入れたまま、他の招待客と混じって、式場の参列席に移動した、特にここでは座席は決まっていなかったので
自分では無意識だと心の中で言いながら、ジェニのちょうど真後ろに席を陣取った
#復讐
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#短編集
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コメント
1件
読み終わりました!結婚式という華やかな舞台で、竜馬のジェニへの執着がじわじわと深まっていくのがたまらなかったです。特に、彼女の後ろ姿を「猛禽類のように」見つめる描写と、その視線を赤ちゃんに見透かされるオチが絶妙でした。神崎ジェニの「つんとした胸の持ち主」で「敵視している」という設定が、これからどう転がるのか気になります。次話も楽しみにしてます!