テラーノベル
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誰かの泣き声がした
何も見えないと泣いていた
ご飯を手に握らせると
すごい勢いで食べきった
その子は私に伝える
美味しかったと
その子の目は
私を捉えてはいない
私はその子に手を引かれる
ときたま
この飾り物の 役たたずの口を 恨めしく思う
その子はまた
虚空を見つめる目を私に向ける
その子は微笑む
最後の時まで
手を離さないでいてね
私は手を離さずに
淡い闇を
緩い風を
流れ落ちゆく景色を歩く
最期のとき
私は手を離す
その子は言う
ねぇ、まだいるかい?
声にならない声で返事する
伸ばしかけた手は
その子にたどり着くことはなかった
誰かの泣き声がする
あの子の泣き声だ
コメント
3件
今回もめちゃくちゃ良かったです!!!! 泣いている人の為に動けるのも、 ご飯を本人に分かる様に渡すのも、 見ず知らず子に頼まれて 一緒に歩いて行くのも、 自分が最期の時を迎えるまで その子の側にいるのも、 語り手が優しいからなのでしょうね… もう語り手は… この世にはいないのでしょうけど… 最期の最後まで語り手は その子の手を握ろうとするのは 寂しい思いをさせたくないから… なのでしょうか…?