テラーノベル
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絵を描くのが好きだ。絵を描いてる時だけは、自分に素直になれる。静かで穏やか、邪魔するものは誰も居ない。普段なら煩わしい鉛筆の音でさえも、絵を描いてる間はまるでクラシック音楽のように音色を奏でてくれる。
「〜…♪」
自分の理想がキャンバスという広場に生み出される、この感覚がたまらない。現実にあるようでない、2次元と3次元の狭間に存在する”絵”という存在が、自分の手で生み出され、こんにちはと挨拶をしてくる。人間でもないのに。
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意識が朦朧とする中、ある一つの夢を見た。スポットライトに照らされ、一輪の花のように輝く女の人の夢。
彼女見た瞬間、察した。”描かなければ”と。
用意された紙と鉛筆を手に取り、ガリガリと削るように絵を描いていく。
「(もっと目は細く、確か輪郭は……。)」
視線が集まる中、完成した彼女の絵は理想とかけ離れていた。違う、こんな顔じゃない。彼女はもっと、もっと…
「…っ!…待って、ください。…あと、あともう少しなんです……!!」
届くようで届かない、このもどかしさが腹立たしい。何で、何でなんだ。何時もならサラッと、泡を水で流すのと同じくらい、簡単に描けるのに。どうして、なんで。
「……はぁ、…っ、あ………。」
完成した絵は、握りつぶしたように皺が出来ており、お世辞にも綺麗とは言えない見た目をしていた。
「…これで、間違いないですね?」
「………はい。」
クシャクシャになった似顔絵を持ち帰っていく人達の背中を、ただ呆然と見つめる。今の自分に残されたのは、支給された鉛筆と、大量に出来た消しカスのみだった。
数週間後…
「……現実なんか、大嫌いだ。」
もう一度描いた似顔絵を握りしめながら、テレビに移る犯人の顔と睨めっこをした。
コメント
2件
テレビに映る……犯人!? 語り手は被害者で、「意識が朦朧とする中」ってあるし、加害者に何かされて…その加害者の似顔絵を書いた…みたいな感じなのかな 私、「もっと、もっと…」とか「どうして、なんで」とか「何で、何でなんだ」とかの感情表現…???みたいな文が好きなんだ…!!語彙力