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暫く歩いて見たけれど、何の手掛かりすら見つからない。それに、町人の人達からはすごい変な目でジロジロと見られていて逆に手掛かり探しに集中すら出来なかった。
町人の女性1「あの人達、ここいらじゃ見ない顔ね…、それに変な服も着ているから怖いわ…。」
町人の女性2「そうよね…。それに、特にあの白髪の人は背も異様に高いし、あの目に着けてるものは何よ…。君が悪いったらありゃしないわ…。」
近くにいる女性達はヒソヒソと小声で僕らのことを話していた。えっと、ここからでも丸聞こえなんだけど。例え、何処へ行ったとしても同じことを言われるに違いないと思う。それに、風香と恵からは自分達の居た世界で使っている言葉はあまり使わないようにと注意もされている。(因みに、「マジ」は江戸時代の中期くらいに流行った言葉なので使用はOKだったよ!)
流石に女性達の話し声で集中が出来ないと感じた僕は、着けている目隠しを外した。
町人の女性達・風香「キャ〜!!!!❤️」
すると、僕の素顔を見た女性達と隣に居た風香は大興奮であり、すごい勢いで僕の方にドカドカとやって来た。
五条「ちょっ、痛い、痛いから!押さないでくれるかな!?」
いくら僕が忠告をしても町の女性達は話を聞いてくれない。それどころか、近くに居た風香は女性達の波にのまれ、悠仁達ともはぐれてしまった為、大忙しだった。
町人の女性1「貴方様の御名前は何という名でございますか?/////私は、ーーーでして…。/////」
五条「僕は五条悟だけど…。💦」
町人の女性2「五条さん、貴方のお顔をもう少しお見せしてください。/////」
と女性達は大人数でどんどん向かってくる為、それはそれは長い時間になった。
それからどれくらい時間が経ったのだろうか、太陽は西寄りに傾いていて夕暮れになっていた。町の女性達が居なくなって、僕はやっと見苦しさから解放された。そして、はぐれてしまった風香達と合流し、悠仁は大丈夫っすかと僕を心配してくれた。そう言われた僕は、平気だよと悠仁に優しく返した。だけど、恵と野薔薇は僕のことに呆れているらしかった。
伏黒「はぁ…、全くアンタは何やってるんですか…。」
恵に軽く注意された僕は、自分は悪くないとでも言うように返した。
五条「いやいや、だってヒソヒソ話で集中出来なかったんだもん。別に僕は悪くないし?」
僕は呑気にそう答えると野薔薇は僕にこう言ってきた。
野薔薇「いや、アンタが悪いだろーが!勝手に人込み作らせて私達とはぐれたアンタが悪いんだよ!!😡」
野薔薇は恵と同じように僕に反感して、その場は揉め事となり、騒がしくなり始めた。
風香「ね、ねぇ、ちょっと…。💦」
近くに居た風香は何かを言いたそうにしていたが、恵と野薔薇は風香の言葉に耳を傾けずに僕に向かって口論を続けた。僕は人が沢山住んでいる場所で口論をされても迷惑にもなるし、煩《うるさ》いと言われて怒られるのも時間の問題だろうと感じた。それに話は、僕らがはぐれたことから修学旅行の話になってしまった。
伏黒「だいたい、修学旅行に行こうと言ったのはアンタですよね?」
野薔薇「そうよ!アンタが最初に言ったんだよ!江戸時代にタイムスリップさせたのもアンタが仕組んだんでしょ!?本当なら正直に言えや、ゴルァ!!」
五条「ちょっ、ちょっとちょっと!流石の最強な僕でもタイムスリップで飛ばせないから!てか、何でそう決めつけるのさ!それに僕は自分の気分で言った訳でもないから!」
野薔薇「いや、修学旅行に行こうって言ったのはアンタだろーが!!😡」
伏黒「そうですよ、ちゃんと正直に答えて下さい。」
暫《しばら》く揉め合いをしていても気付くが、その場の口論と空気が何もかもが悪化してしまっている。
虎杖「お、おい皆…、もうこれ以上は止めろよ…。💦」
風香「……………。」
悠仁は揉め合いに止めに入ろうとするも、野薔薇と恵は相変わらず話を聞いてくれない。おまけに僕は此の時代に飛ばしたのはお前だろと、とんでもないことを疑われてしまっている。飛ばしたい相手と自分自身で飛ばすことは出来るけど、そんな事は出来ないから。それに離れている風香もイライラして押し黙ってしまっている。
五条「僕は正直に言ってるよ!もう一度言うけど、僕は自分自身と飛ばしたい相手は飛ばせる事は出来るけど、そんな事は出来ないから!」
野薔薇「嘘よ!絶対アンタがそうやっているのよ!だってそうとしか考えられないもの!他に誰が出来るって言うーー。」
野薔薇が言いかけた時、風香の怒声が揉めている僕らの耳に響いた。彼女の怒りの声は迚静かに続ける。
風香「こんな所で揉め合いをしないでよ。それに、此処は知らない場所なんだし迷惑がかかるから止めてあげて。しかも、悟さんはさっき素顔を見せたのは、集中が出来なかったからそうしたんじゃなくて、ただ私達を守ろうとしただけなの。ね、悟さん?」
彼女がそう言って僕の方に顔を向ける。
五条「そうだよ。僕は教師として可愛い生徒に危険を晒《さら》さないようにしただけなの。」
僕は短く話を終えると、風香はまた話を続ける。
風香「それに、悟さんは修学旅行に行こうと言ったのは本当だけど、其《そ》れは悟さんの気分じゃなくて元々は私達の日々の疲れを癒すために考えてくれたの。私達のことをちゃんと見てくれていたんだから、こんなギスギスした最悪な修学旅行にしたくないでしょ?」
伏黒・野薔薇「は、はい…。💦・う、うん…。💦」
風香の話をちゃんと聞いていた恵と野薔薇は冷や汗をかき乍、返事をする。そして、またまた口を開く。
風香「最後のことだけど、悟さんは飛ぶのも相手を飛ばせることも出来るのは本当だけど、タイムスリップで飛ばすことは出来ないのをちゃんと分かってよ!だって私達はこんな状況下なんだから信じてあげてよ!!😢」
必死に説得している彼女の目からは涙が溢れていた。おそらく、彼女の中では人前でこんなに説得をしたのは初めてなのだろう。僕らと出会う前は、揉めている人の間に入って気持ちを落ち着かせたり前に立って説得することすら出来なかった彼女がこんなにも立派に見えたのを感じた。
虎杖・野薔薇・伏黒・五条「………………。」
僕らは驚いてしまって声が出なかった。彼女のあまりの説得力で出てこなくなってしまったからだ。恵は場の空気を読んで、僕に謝って来る。
伏黒「すみません、少し言い過ぎました。イライラして視野が狭くなっていました。💦」
そして、野薔薇も僕の方に来て謝って来る。
野薔薇「私もついイライラしてしまって悪かったわ。それに、私達をタイムスリップさせたと仕組んだのはアンタがやったんだと疑ってごめんなさい。💦」
僕は恵と野薔薇がちゃんと正直に謝ってくれたのを見て、僕は心の中でほっと胸を撫で下ろして返事をする。
五条「うん、いいよ。恵、野薔薇、風香の言う通りだよ。こんな状況で混乱してそりゃイライラするよね。💦」
僕はこれで大丈夫だと思い、自分がずっと思っていることを言おうとしたが、悠仁が「なぁ。」と行ったので言わなかった。
虎杖「さっきのことだけどよ、タイムスリップをさせたのは五条先生じゃないことは分かったじゃねぇか。それじゃあ一体、誰がこんなことをしたのか分からなくね?」
野薔薇・五条・伏黒「あ…。」
たった今、悠仁が言ったことは僕が風香に言おうとしていたことだった。風香は少しだけ考えてから口を開いた。
風香「う〜ん…、皆はさ、タイムスリップする直前に私がバランスを崩《くず》して倒れるように転んでいったことは覚えてる?」
風香の話を聞いて、皆はうんうんと頷く。
アレ、バランスを崩して転んだんだね…、風香。💦
風香「多分ね…、その衝撃でタイムスリップした可能性はあるかな?誰がやったとかじゃなくてね。」
野薔薇・虎杖・伏黒・五条「な、なるほど…。」
風香の話を聞いた僕らは同時にハモった。
もし、彼女が言ったことが本当であれば、僕達はとんでもないことに巻き込まれてしまったことになる。僕達はまた無言になり、中央に居る風香は藍色に染まっていく空を見詰めて、僕達にこう言った。
風香「皆、もうそろそろ夜になるから早く泊まれる宿を探しましょう?こんなところでぼーっと突っ立っても意味無いでしょ?」
伏黒「そ、そうですね。早く行きましょうか。」
恵はさっきの口論が嘘だったかのように気を変えて歩き、野薔薇、悠仁、僕も恵に釣られて暗くなった道を歩き出した。