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まるで花道のように整列している海獣たちの先から現れたのはブリードだ。
「ご機嫌麗しゅう、クソ人間ども」
鞭を床に叩きつけながら、嫌味たっぷりの口調で言う。鞭の音に海獣たちは怯えていた。
「てめえら、集合が遅えんだよ。いいか? ペットってやつはな、1に従順、2に従順、3・4も従順、5も従順なんだ」
なるほど、カスか。俺の中での印象最悪だな。今すぐ斬り捨てたいくらいには。
「お前がブリードか。シーザーを返してもらおう」
「ああ? 黙ってろクソ人間が! あっ……あ、そうだ。お前たちか。ペトトトト、いかにも私がブリード。海賊だ」
「海賊?」
「ペトトトト、七武海のトラファルガー・ロー、それに4億の賞金首麦わらのルフィまで一緒とは……よくもまあこんなところまで追ってきたもんだ。面倒なクソ人間ども」
ブリードが左手を俺たちの方に向ける。能力を使うのか?
左手から斬撃のように何かが飛んでくる。それはチョッパーに向かっていた。俺は急いでチョッパーの首根っこを掴んで投げる。
「バカめ、守る気ならもう少し丁寧に守るんだな!」
「ッグ、やべ……チョッパーよけろ!」
「えっ」
ブリードが再び左手を今度はチョッパーに向けて、何かを飛ばす。その緑色はチョッパーの首にまとわりついた。もちろん先ほど庇った俺の首にも、同じものがついている。
「取れねえ……なんだよこれ…」
「なんだこれ? ン~ッ、取れないぞ。どうなってんだ? これ」
「大丈夫か? ジェイデン!」
「ジェディ!」
「苦しくはねえけど…」
「ペトトトト……トラファルガー、麦わら、お前たちは強い。俺様以上にな。だが、それだけでこの俺様に勝てるかな? さあ、お前ら」
「は? ンだよ…」
「トラファルガーと麦わらを八つ裂きにしろ!」
「はぁ? えっ? なんだ? これ」
「……あ、なんだこれ」
俺とチョッパーがゆらりと立ち上がる。なんでだ。体が勝手に動く。
「どうしたんだ、チョッパー、ジェイデン」
「体が勝手に動くんだ」
「クソ……」
俺は刀を抜き、チョッパーはランブルボールを噛んで怪物強化で大きなモンスター状態に、俺たちはそれぞれ自分の意思とは関係なく、戦闘態勢へと入ってしまった。
「お…おい…」
「あ、くそ…こんなことにお前を使いたくない、烏融……ッ」
「ペトトトト、こいつはすげえな」
「チョッパー! どうしたんだ? おい!」
「ジェディ!」
「お願いだ、避けてくれ…!」
俺はローへと斬りかかる。クソ、嫌だ。ローに攻撃するなんて、冗談でもしたくないのに。
チョッパーもルフィに手を振り下ろしていた。
「避けろ、2人とも!」
「どうなってんだ?」
「意識は残っているようだな…」
「体が言うことを聞かないんだ。頼む、逃げてくれ!」
「ロー! 俺を動けないように…ッ」
「チッ……ROOM…」
「おいやめろ! チョッパーとジェイデンになにする気だ!」
「バカ、殺しはしねえよ。ちょっと大人しくさせるだけ…」
「お前ら避けろ!!!」
言い争いをしている彼らの首に俺とチョッパーがつけられたものと同じ緑色の首輪のようなものがつけられる。
「ペトトトト……俺様はペトペトの実を食べた男」
「ペトペト…まさか……」
「そう! 俺様はこのペトペトの実の力ですべての生き物を思うように操れる。そう、ペットにできるんだよ!」
「ペット? ペトペトって、ペットのことだったのか」
「どんな生物も思うがままに操れる。そいつの力を100%引き出してな! それがどれほど恐ろしいことか思い知るがいい!」
俺は再びローに斬りかかってしまう。体が勝手に動く。ローを傷つけたくなんかないのに。チョッパーもルフィたちに向かって何度も拳を降り下ろす。ブリードが高笑いしながら鞭を鳴らす。
「待て!」
俺とチョッパーの体がグンッといきなり止まる。
「お前たちは単なる囮だ。元から本命はてめえらだ」
その言葉にルフィが怒りを見せ、殴りかかろうとしたのだが、ブリードの「待て」の言葉に動けなくなる。
「麦わら、トラファルガー、お・す・わ・り!」
ローとルフィが犬のようにおすわりさせられたかと思えば、今度はお手までさせられていた。は? あいつ絶対殺す。
「動物ならペットにしてやるが、クソ人間のお前らは俺様の奴隷だ! ペトトトト……」
ちらりと、背後にいる俺を見やる。俺も奴隷にするのか? 俺家出して死んだことにされてるけど仮にも王族ぞ? なあ、我王族ぞ?
そんなことを心の中で思っていたのだが、ブリードが鞭の持ち手で俺の顎をくい、と持ち上げる。
「お前は顔がきれいだからな、特別に観賞用のペットにしてやろうか?」
「…………」
はいコイツ絶対殺す~!!
俺が心の中で殺意をむくむくと膨れ上がらせていると、チョッパーが元の姿に戻る。
「チョッパー、大丈夫か? 怪物強化使った後は体動かせなくなるんだよな…しっかりしろ~……」
「おい、そいつを渡せ」
ブリードに言われ、俺はチョッパーを渡す。
「……きゃわゆい~! さっきは変な格好でよくわからなかったけど、青っ鼻がソー・キュートなタヌキくん! 今までにいなかったタイプのペットちゃ~ん! す~ぐにドレスアップしてあげまちゅからね~! おおよちよちよち…」
「おい! チョッパーに何すんだ!」
「うん? 黙れ、てめえらは牢屋行きだ。あいつらに海楼石の錠をかけろ」
海獣たちが命じられ、ルフィとローを連れていく。
「さぁて、タヌキくんとお前はこっちだ。行くぞ」