テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
640
3,695
10
結局、一人じゃ何もできなくて、救急車を呼んだ。
赤と青の光が窓から差し込み、サイレンの音はやけに大きく聞こえた。
医者や看護師からも虐待を疑われた。
容赦のない取り調べだった。
医者は若干キレ気味で。
「玄関の前に捨てられていた」なんて御伽話みたいな言い訳も通用しなくて。
あいつのせいだ。
あいつが俺の所に捨てられてなければ。
あいつのせいで、あいつのせいで。
あいつが全て悪いんだ。
憎しみが沸々と湧いてくる。
取り調べ室の椅子で俯いたまま拳を握り締めた。
「あの子は人工呼吸器で繋がれてギリギリの命なんだぞ。殺すつもりだったのか?」
目の前の警察官は冷たい眼差しで問い詰めてくる。
「殺すつもりだったら救急車なんて呼ばねーよ。」
その横では冷静に手帳を持って記録をしている。
本当に最悪だ。
その時。
取り調べ室の扉が開いた。
ガチャンという重い音が部屋に響き渡る。
「失礼します。」
礼儀正しく入ってきたのは、別の警察官だった。
目の前にいる警察官は、気分が悪そうに返事をする。
「どうした」
そう言いながら、入ってきた警察官の方を向いた。
「午前4時の早朝、近くの建物にあった監視カメラの映像に、玄関前に段ボールが置かれたのが確認されました。」
目の前の警察官は一瞬目を丸くした後、すぐ険しい表情に戻った。
「…そうか。」
一呼吸置いた後、またこちらに視線が向けられる。
「本当なのはわかったが、何か与える時はちゃんと丁寧に、調べてから与えろよ。」
そのまま警察官はバツが悪そうに出ていった。
立ち去っていく警察官の背中を睨み、パイプ椅子から立ち上がる。
早く自宅へ帰らねば。
そう思い、足早に家路に着いた。
帰宅すると、まだ家に異臭がこびりついていた。
換気しとけばよかった。
なんて後悔する以前に、これをどう処理するかだ。
汚れているのはどうせ段ボールと段ボールに敷かれている布だけなので、段ボールごと外に放り捨てた。
その後、窓を全開にして、換気を始める。
あいつのせいで最っ高に気分が悪い。
よくもこんなことを。
憎悪のままに床を睨み、舌打ちをした。
まだ夕方だがもう寝てしまおう。
やけくそにベッドへ寝転がると、ポケットに入れていたスマホから着信音が鳴った。
スマホを手に取って、気怠げに画面を覗く。
Noliからだ。
一気に気分が上がる。
すぐにベッドから起き上がって、通話を繋げた。
「あっ、seven!」
通話を繋いだ瞬間。スマホのスピーカーから、聞き慣れている声が耳に飛び込んできた。
Noliとの通話で弾む気分を抑えながら、冷静に返事をした。
「あぁ、どうした?」
「ちょっとだけ、声聞きたくなっちゃって……」
可愛らしい理由に胸がきゅんとする。
「っは、そうか」
照れ笑いが混じった声で返事をすると、通話越しの彼も「えへへ」と可愛らしく笑った。
「なぁ、noli」
「なぁに?」
「その…、今からお前の家行ってもいいか?」
少し照れ臭くて、口籠ってしまったが、スマホのスピーカーはちゃんと音を拾ったようだ。
「ん、……もちろん、いつでも来て!」
「さんきゅー、noli。じゃあ、また後で」
「うん、また後で!」
優しい返事を確認した後、通話を切った。
正直、この家にいると気が狂いそうで。
今日だけでも別の場所に行きたかった。
なんて現実逃避をする為に、シャワーを浴びたり、支度をしたりした後、軽い足取りでnoliの家に向かった。
コメント
1件
**第二話、読んだわ。** 最初の救急車シーンから取り調べの空気感、マジでしんどかった……。あの「あいつのせいで」って憎しみがぐるぐるしてる感じ、すごい生々しかったわ。監視カメラの映像で疑惑が晴れたのはホッとしたけど、胸糞悪さはまだ残るよな。 そこからのNoliからの電話! 「声聞きたくなっちゃって」って急に空気が柔らかくなって、めっちゃいい緩急やった。素直に「今から行ってもいいか?」って聞けるの、いい関係だよなあ。 続き、めっちゃ気になるわ!