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大きな病院の廊下で談笑と足音が響く。
「で、その子が寂しくないように私が一緒にいるんだけど、私も最近仕事が忙しくてね〜、お金あげるからちょっと一緒にいてくれないかって話。」
「…分かった。でも別にお金とかいらないんだけど…」
「えー？でも結構大変だよー？」
「いいよ、俺も心理カウンセラーになる夢を叶えるにもこういう経験は必要なのかなって」
「あ、ついたよ。」
「！」
「この子が私の甥っ子の佐々木輪廻くん！」
「あ…えっと、はじめまして」
「…！はじめまして！」
細く痩せた体、腕に巻かれた包帯、見るからに健康ではない体とは反対に彼からは子供のような笑顔と可愛い声を見せた。
不安を隠しているのか、これが普通なのかはよく分からない。
「輪廻くん、この人がこれからちょっとの間私の代わりに輪廻くんのこと見てくれる、宮近裕司くん！」
「あ…そうなんだ…よろしくね、宮近くん」
彼の肩の力が少し抜けた気がする。
「うん、よろしく。」
「じゃあ私もう行かなきゃだから…前に話した通りに、これからよろしくね。」
「あぁ、分かった。」
彼女が部屋を出たあと、彼のベッドの近くにある椅子に座ると、彼はこちらを見つめて笑みを浮かべた。
大きく深呼吸をしたあと、輪廻くんに話しかけた。
「ねえ、輪廻くん。好きな事とかある？」
「ええっと…なんだろう…ごめんなさい、ないかも。」
「そっか、じゃあさ、絵とか好き？紙と色鉛筆持ってきたから一緒に描かない？」
「うん、分かった。いいよ」
紙と色鉛筆を渡すと彼は空の絵を描いた。
オレンジの太陽、水色の空、緑色の地面。まさに子供が描くような絵だった。
「絵、上手だね。」
そんな当たり障りの無い言葉で彼を褒めた。
「えへへ、ありがとう。」
それでも彼はその言葉を素直に受け止めた。
子供のような純粋無垢で優しい笑顔を見せる。
これは悲しい気持ちを隠すためなのか、本心からの笑顔かはよく分からない。
数分が経ち、描いた絵が完成すると、
少しの間を置いて彼は僕に話しかけた。
「ねえ…」
「なに？どうしたの？」
「あのさ…一緒に…そ、外行かない？」
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