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おばさんのあとを追いかけると手には包丁が握られていた。
その目は酷く怯えていて、包丁を持つ手は微かに震えている。
優佳「おばさん落ち着いて 」
おばさん「うるさい!!わ、わた…私のせいじゃ無い!!違う!!違う違う違う違う違う違う… 」
包丁を持ったままずっと何かを否定している。
(正気じゃない…)
優佳「おばさんなんですか、私の家に火をつけて家族を…殺したのは」
おばさん「………。」
優佳「答えて下さい!!!」
黙りこくるおばさんに怒りが増し大声で怒鳴ってしまう。
おばさん「あの女が悪いのよ…西宮薫!!あの女が拓ちゃんをおかしくさせたのよ!!」
おばさんは小声で何か言ったかと思えば急に母の名前を叫び出した。 『拓ちゃん』とは恐らくおばさんの息子『拓也』のことだろう。
おばさん「あれは拓ちゃんが20歳の時、拓ちゃんとあの女は同じ大学の同じ学部に入ってた。あの女、拓ちゃんを唆して…。あの気が弱い拓ちゃんが勇気を出して初めて告白したのに女はその気が無いとあっさり振りやがったのよ!!そのせいで拓ちゃんは鬱病を患ってお陰で外にも歩けやしない。やっと立ち直ってこれたと思ったらあの女、結婚して近所に引っ越してきてるじゃない!嫌がらせよこんなの!!…だから火をつけたのよ 」
優佳「そんな事で、」
おばさん「そんな事…?拓ちゃんは心に深い傷を負ったのよ!!元々あの女が拓ちゃんに近ずかなければあんな事にはなら無かったのに!ああ、可哀想な拓ちゃん…」
優佳「だからってやってる事は犯罪ですよ!!それに母は人を唆すような人では絶対にありません」
おばさん「何?拓ちゃんから言いよったとでも言うの?あの子は何の罪もないただの可哀想な被害者よ!!」
瞬「それは違う!!」
先程まで隠れていた瞬がいつの間にか出てきていた。
おばさん「アナタだれよ!!」
瞬「アンタの息子は立派な殺人犯だ」
おばさん「何言ってんのよ、そんな証拠が何処にあるのよ!!」
瞬はスマホをおばさんの目の前に突き出す。それと同時に動画が再生された。
数十秒後大きな音と共に動画は切れた。
瞬「これは一週間前にニュースで報道された飲酒運転の一部始終です。これは轢かれた家族の一人が撮影した最後の動画です」
おばさん「これが何よ」
瞬「まだ気付きませんか?」
瞬は一部分をストップして拡大して見せた。そこには運転席に座っている『佑ちゃん』の姿があった。
おばさん「嘘よ…そんな」
息子が犯罪者だとわかると先程までとは打って変わって酷く項垂れた。
(目線が下に下がっている、手の震えも治まってきた。今なら包丁を奪えるかも)
私は隙を見て一気におばさんの手首を掴む、 おばさんは驚き体勢を崩した。私はおばさんに服を引っ張られ一緒に倒れてしまった。
包丁はおばさんの手から離れ、宙を舞いながら廊下へ飛んで行った。
おばさん「嫌ー!!警察だけは許して!お願い優ちゃん…私を…許して…」
私に必死に泣きながら縋り付いてくるおばさんを翔子が後ろから羽交い締めにする。
おばさん「誰よアナタ!離して!優ちゃん助けて!」
瞬「警察を呼んで」
おばさん「優ちゃんお願い!」
双方からの声に私は戸惑っていた。おばさんにはお世話になった事も沢山ある。だが、家族を殺した犯人だ。
おばさん「拓ちゃんを一人にして置けないの…お願い許して!もうしないから!」
翔子「優佳」
優佳「私は、貴方を許しません」
数分後、パトカーが到着し事の経緯を説明した。暫く事情聴取が行われた。
おばさんがパトカーに乗せられる瞬間、翔子が見物人の中に居たフードを被った怪しい男を見て私に耳打ちで教えてくれた。
翔子「あれ、おばさんの息子じゃない。写真で見た服装に顔も似てる」
男はこちらに気付くとフードを深く下げ逃げて行った。
それを聞いていた瞬が男を追う為走り出した。
私達も瞬の後を追う。
警察「君達待ちなさい!まだ取り調べ終わってない」
拓也の逃げた先は大通りで人混みの中に紛れてしまった為探し出すのは困難だろう。
私達は諦めて戻る事にした。
警察からはとても怒られたが事情を話すと周辺をパトロールしてくれる事になった。
それでも見つからなければ指名手配にすると。
翔子「明日私の家集合で。パパにはおばさんの事それとなく聞いてみるわ」
優佳「わかった」
その日はそれで解散した。
翌日分かったのは、おばさんは息子から「人を轢いてしまった」と告げられ隠蔽を手伝ったと話した。火事については録音した物があったので言い訳出来ず罪を認めたらしい。
翔子「ただ、パパからはもうこの事に首を突っ込むなって怒られちゃった」
瞬「となると、警察からの有力な情報はもう手に入らない」
優佳「自分達で見つけるしか無いね」
翔子「でもどうやって見つけるの?」
家は警察が調査しているから入れないし、私達には学校があるから放課後の時間を使って探すしかない。
瞬「とりあえず、明後日は休みだ。その土日を使って拓也を探そう」