コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
土曜日の朝7:30、襖を開けると祖母が居間でテレビを見ていた。
優佳「おはよ、おばあちゃん。おじいちゃんは?」
祖母「おはよう優佳。おじいちゃんなら縁側だよ」
縁側に行くと祖父が盆栽の手入れをしていた。
優佳「おじいちゃんおはよ」
祖父「おはよ」
相変わらず祖父は無口だが隣に居ると何故か安心感がある。
(お父さんはおじいちゃんに似たのかな)
私は祖父の隣に座り庭にあるししおどしを眺めていた。
昔から此処へ来ると必ずこの場所へ来ていたが今ではもう日課の様になっている。
特有の『カコーン』という音と水の流れる音がとても心地よく感じるから好きだ。
祖父「少し明るくなったんじゃないか」
優佳「そうだね。色々あったけど犯人が見つかったからかな」
普段無口な祖父は自分からは
滅多に話さない。今までも話しかければ返事か相槌だけだった。
そんな祖父から話しかけて来たのは意外だった。
祖父「さ、そろそろ飯だ」
居間で朝食を済ませると祖父はまた盆栽の手入れに戻った。
私が食器の後片付けを手伝っていると、祖母は祖父について語り出した。
祖母「おじいちゃん、あー見えても実は周りの事をしっかり見てるのよ」
優佳「そうなんだ」
祖母「勿論私も心配したけど私以上に優佳の事を誰よりも心配してたのはあの人なのよね」
なんだかとても嬉しく感じた。
後片付けを済ませ私は家を出た。今日は公園に集まる約束をしている。公園の近くまで来ると二人の後ろ姿が見えた。
優佳「二人とも早いね」
翔子「私もさっき着いたんだ」
優佳「それじゃ近くのカフェにでも行く?」
瞬「待った、実は紹介したい人がいて…!」
瞬は何かに気付くと私達の背後にいる人物に手を振った。
振り返ると全身黒の服装に顔は隠れており、日傘を指した謎の人物がいた。
その謎の人物に私も翔子も若干引き気味だった。
翔子「ガッツリめの日焼け対策してる」
優佳「この方は…?」
瞬「この人は徳野碧。僕のいとこだよ 」
碧「よろしく」
フェイスカバーで声がこもってるせいで性別が分からない。
碧「とりあえず、どっか中に入りたいんだけど。瞬の家でいいよね」
碧の要望で瞬の家に行くことになった。
優佳「お邪魔しま、」
玄関に入ると同時にヅカヅカと無言で入って行く碧。
さっきもそうだが私の中で碧の印象は既に悪い。この先仲良くやっていけるのか不安でしょうがない。
瞬「気にせず上がって」
(いとこだから慣れてるのか)
瞬「部屋で待ってて。碧は着替えて来て」
私と翔子は部屋に入るなり、碧という謎に包まれた人物について話し合った。
翔子「何あれ謎の黒ずくめ感半端ないって!!」
優佳「しーっ!声デカいから。でも本当に分からない、謎よね… 」
翔子「こうなったら自然と聞き出してみない?」
優佳「そうだね」
コンコンッ
(来た!)
瞬「入るよ」
瞬が持ってきてくれたお茶を飲んで一旦冷静を取り戻す。
翔子「ねえ、碧さんって…」
瞬「今着替えてると思うけど、碧が何か?」
翔子「碧さんって〜性別どっち??」
(それはストレート過ぎない?!)
優佳「なんていうか凄い日焼け対策してたから女の子、」
碧「男だよ!」
部屋に入って来た碧は白髪でとても綺麗な中性的な顔立ちの美少年だった。
開いた口が塞がらない。
翔子「美!!」
碧「悪かったね男が日焼け対策してて」
優佳「?!すいません!髪結んでたんでてっきり女子だと思ってました!」
碧「髪を結ぶのは女子だけだど思うな!!」
優佳「すみません!」
碧は一息巻くとパソコンを開きカチャカチャとキーボードを打ち出した。
瞬「碧は僕達の二つ上で今は大学に通ってるんだ。でも滅多に家から出ないから人と話すのも苦手で髪も伸びちゃって、大変だったんだよ外に連れ出すの」
翔子「なんか…ごめんね」
瞬「いや、いいんだ。それに碧は強い味方になると思って連れて来たんだ」
(強い味方?)
碧「でたよ。これが近所にある防犯カメラの映像でこっちが大通り近くの防犯カメラの映像。きっと記録が残ってる筈だ 」
優佳「凄い!さっきからカチャカチャしてたのはそういう事だったのか!」
瞬「これで拓也を探し出せるね」
碧「居たぞ!」
拓也は大通りを出ると向かいにあるボロアパートの2階に逃げ込んだ。
翔子「ここ知ってる!確かそのアパートは誰も住んで居ない筈。大家さんが改築するとか言って住居者全員を退居させたって前に聞いたような」
碧「どうやら1時間前に外出してるみたいだ。まだ帰って来てない」
それから暫く様子を見ていたがそれ以外に情報が見つからずその日は解散した。
帰り際、瞬から小さな小型カメラを手渡され持っておくよう言われた。
瞬「あの時僕達は奴に顔を知られてしまったから用心だけはしっかりした方がいい」
帰り道、なんだかつけられている気がして早足になる。