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「じゃあ、使い方は一通り覚えたのか?」

「はい。あんなに簡単で、あれだけの火力が出せるなんて、まるで魔法使いにでもなったようです!」

工房の中にソファを転移させて、俺達は話に花を咲かせる。

「俺も早く撃ちたいな。明日はミランが教えてくれよ?」

「はい!お任せください!」

明日が楽しみになったところで俺達は寝ることにした。




目が覚めると辺りは薄暗い。日の出前に起きた俺達は街を目指した。

門ではいつも通り兵士に揶揄われたが、他に異常はなく無事宿に着いた。

馬車は一先ず、宿の敷地内に止めさせてもらうことに。

「じゃあ、ここで待っていてくれ」

「はい。お待ちしています」

ミランを馬車に残して俺だけで宿に入る。部屋に入った俺はまだ見える月に願い、転移を発動させて砂糖を会社に戻した。

その後に宿を出て馬車へと着いた俺はミランへ伝える。

「悪いが次は宿の中で待っていてくれ」

「はい」

俺が何をしているのかもうわかっただろう。

馬車から月を眺めながら会社に転移した俺は、砂糖を再び異世界へと転移で持って行った。

「よし。これで重たい砂糖を運び終えたな。しかもこの方法なら誰にも見られることもない」

準備を終えた俺はミランを呼び寄せて、久しぶりの商人組合へと向かった。

商人組合にてハーリーさんに馬車ごと預けた後、誰にも案内されることもなく、いつもの部屋へと入っていく。勝手知ったる商人組合だ。



「では改めて、お久しぶりですね。大量の納品助かります」

「こちらこそ。今日はお金を受け取りますね。それと古い預り証です」

「はい。少々お待ち下さい」

ハーリーさんが部屋を出たことを確認した俺は、ミランへと問いかける。

「聖奈はお金がいるって言っていたけど、具体的にはいくらか聞いているか?」

「いえ。いくらセーナさんでもまだわからないと思いますよ?

一先ず用意できるギルは全て用意しておくように言付かっています」

うーん。何を買うんだ?

「わかった。じゃあ、お金を受け取ったら街の外に出て訓練でいいな?」

「はい」

ハーリーさんから今までで一番大量の金貨を受け取った後は、馭者席で器用に馬車を操るミランを横目に景色を楽しんだ。




「ここで昨日は訓練をしました。人が来ないところです」

馬車を停めたミランがそう告げたので、辺りを確認する。

見渡す限り森だが、生き物は見当たらないな。

「わかった。じゃあ早速使い方を教えてくれ」

「はい!」

?俺に教えるのがそんなに嬉しいのか、ミランは弾ける笑顔で答えた。

もしかして、俺の出来の悪さや覚えの悪さを聖奈さんと笑いたいのか!?

陰で笑っているのか!?

なんて考えていたけど、手取り足取り丁寧に教えてもらい、俺もハートはまだまだ男の子だから興味もあり、銃の扱いはすぐに覚えることが出来た。



「うん。メンテナンスも問題ないな?」

「はい!お上手です!」

俺の確認の言葉に、ミランが大袈裟に合格を告げる。

13歳に気を使わせてしまったが……

それで気分が良くなる俺はチョロいのだろう。

俺は褒められて伸びるタイプだからなっ!

問題なく扱えるようになった所で訓練を終え、宿へと戻ることにした。



「久しぶりだねぇ。はい。今日の夕食だよ」

「ありがとう。少し忙しかったからな。またここの夕食が食べれて嬉しいよ」

おばちゃんと三人で話をしながら夕食を頂き、部屋へと戻り仮眠を取った。



「セイさん。起きてください。セーナさんの迎えの時間ですよ?」

「ん?もうそんな時間か」

最近の俺は目覚めがいい。

自堕落な生活が改善されたのかもしれない。

「じゃあ、ミランは自分の部屋に戻っていてくれ」

何故か仮眠は同じ部屋を希望されていたのだ。

まさか…一人で寝るのか怖いのか?13歳ってそんな感じだったっけ?

そんなことを考えながら転移する。



会社に転移した俺は、灯りの付いている事務所に向かう。

「ただいま。あれ?マンションじゃなかったのか?」

忘れ物とかを取りに来たバイトさんを転移に巻き込まないように、出来るだけマンションから転移するように話をしていた。

「そうなんだけど、今日、偶々バイトさん達が来たらまずいと思ったの。

それに聖くんに早く会いたかったし」

上目遣いで久しぶりの妹キャラを出さないでくれっ!

この場合は後輩キャラか?いや仕事では先輩キャラだな…ややこしい……

アホな考えにどっちでもいいかと結論付けた俺は、車を運転して一度マンションに帰ってから異世界へと二人で転移する。




「じゃあ、セイさんもこっちにいるんですねっ!」

嬉しそうなミランの言葉に俺は自然と頬が緩む。

嫌われてなくてよかったぜっ!

「じゃあ、私は部屋で寝ますね」

ミランは聖奈さんが来たことを確認したら、部屋へと帰っていった。

「なあ。向こうが落ち着いたからこっちに二人で来たのはいいんだけど、なにが自分の番なんだ?」

先程のミランと聖奈さんの会話は、聖奈さんが今日は私の番だといって、ミランが次は私ですねと答えていた。

「?そんなの聖くんと同じ部屋で寝る順番に決まってるよ。

どしたの?まさか私よりミランちゃんが良かったの…?」

いや、わざとらしすぎるだろ……

そもそも……

「何だよ…俺と同室になる順番って…」

「だって、もう少ししたらそんなこと出来なくなるじゃない?」

?なんでだ?

「あっ。いや、それは冒険に出たら野宿になるでしょ?そしたら一人でゆっくりは寝れないじゃない?それで聖くんと寝るのを順番制にしたの」

ああ。俺と寝たい順番制じゃなくて、一人部屋を使える順番制ってことか。

えっ?泣いていいですか?

落ち込んだ俺は、なんだか言い訳している聖奈さんを無視して不貞寝した。




「聖くん。朝だよ。起きないとチュウするよ?」

「おい。俺はもう起きてるだろ!」

冗談で顔を寄せてくる聖奈さんの額を押し返して、俺は起床した。

冗談でもやめてくれっ!アンタ見た目だけはええんや……

朝から心臓に悪い…このままだと早死にしそうだな。



「それで今日はこれからどうするのですか?」

食堂で朝食を食べ終えて部屋へと戻った俺達は、本日の予定を話し合っていた。

正確には話し合いではなく、聖奈さんに聞いているだけだ。

「じゃあ、今日は商人組合に行ってから聖奈の行きたい場所に行くってことか?」

「うん。正確には行きたい場所じゃなくて今後の為にね!

それとその後は、ミランちゃんのお父様に職人さんを紹介してもらうの」

「わかりました」

「わかった」

俺には何が何やらわからないから、ついて行きまっせ!

話が終わり宿を出ることに。



宿を出て向かった商人組合では変わったことはなく、そのまま聖奈さんの目的の場所に向かう。

「あれじゃないかな?」

「よくわかりましたね。恐らくあってますよ」

二人が示した建物は、組合よりもどこか行政っぽい厳かな作りのものだった。

「ガラスが使われているな」

「うん。ちゃんと窓になってるね」

「高級品です」

貴族街に近いこの場所の建物は、どれも綺麗に管理されてある。

ガラスも透明とは言い難いが、朝日を反射してキラキラしている。

「セイくんはうんうん頷くだけでいいからね!」

わざわざ釘を刺さなくても余計なことは喋らんよ。

俺達は聖奈さんを先頭に建物の中に入っていった。


「おはようございます。お家を買いたいのですが、窓口はこちらでしょうか?」

聖奈さんの口からとんでもない発言が出た。

中はとてつもなく長いカウンターが階段まで続いていて、部外者は簡単にはカウンター内には入れない造りになっている。

そのカウンターの不動産部門の所で、聖奈さんはくだんの言葉を受付の女性に伝えたのだ。

俺は喋るなと言われたが、驚きのあまり声が出なかっただけである。

「はい。どういった物件をお求めでしょう?」

「出来るだけ西地区に近くて、防犯がしっかりしていれば他は問いません」

西地区とはミランの実家のある方角だ。

「わかりました。でしたらこちらの三つが西地区に近く、防犯がしっかりした建物になります」

その後は細かい話を職員の女性と聖奈さんが話していたが、俺は内容が分からず、言われた通りにただ首を上下に動かすおもちゃと化していた。

赤べこより首を振っていたと思うぞ。

「では、ご案内いたしますね」

そう告げた女性が馬車を手配した。

漸く赤べこタイムが終わったようだ。首が取れなくてよかったよ……



馬車の中にその女性も乗ってきたことで、聖奈さんに話を聞くことも出来ず、目的地へと着いた。

「いいですね!ミランちゃんはどう?」

「はい!大きくて倉庫としても使えそうですね!」

二人の会話を聞いて何となく目的がわかった。

ただ、俺に出来るのは、頷くことのみっ!

どうやら異世界では即決で住めるようだ。


すぐに先程の建物へと戻り、俺は言われた金額をお姉さんに渡した。


そして……


「セイくん。ここにサインをお願い」

耳元に顔を近づけて聖奈さんが頼んできた。

もちろん俺は頷くだけだ。

書類に不備はなく、お金も払ったので、あの家は名実共に俺の……いや、俺達の家になった。

鍵を受け取り、商人組合に預けていた馬車を引き取り、俺達はミランの実家へと向かう。

道中やっと教えてくれた聖奈さんの言葉を纏めると・・・

家は、いちいち転移する為の拠点を借りるのが馬鹿らしいため買った。

馬車を使わない時はバーンさんに預けておけば、出来た家具を家へと運んでもらえるから、態々工房に移動する時間と手間が節約できる。

砂糖や胡椒のストックを置いておける。(長期間冒険に出られるくらいの量を置ける)

冒険の時は、ミラン両親のいずれかが納品をしてくれる。

転移専用部屋を作れば事故もない。

家の管理はミラン母に頼んだ。(有償)

馬の管理はミラン弟妹きょうだい達に頼んだ。(有償)

家を買うと俺が払う必要のない市民税はかかるが、俺には微々たるものだから気にすんな。

以上だ。


「と、言う感じかな。メリットは多いと思うけど」

自由にしてくれたらええんやで?あんさんの仕事は信用しとるさかい。

「ありがとう。よく考えてくれているな。

そして……遂に俺も一国一城の主だな!」

俺は喜び勇んでそう言ったが……

「セイさん。あれは家であって、お城ではないです」

おいっ!翻訳!しっかり仕事しろ!

なんやかんやしていたら、いつの間にかミランの実家に着いた。




「お母さーん。セイさん達に来てもらったよー」

ミランのこの口調は、普段大人びて見えていてもまだ13歳だということを、俺に再認識させてくれる。

「あらあら。お忙しいでしょうにようこそ」

「お久しぶりです。お父様からお聞きになっていると思いますが、管理の件は大丈夫でしょうか?」

聖奈さんが確認を取り、了承が得られた所でミランファミリー総出で新しい家へと向かう。

道中初めて話したミランの弟妹は、姉同様しっかりしていた。

「お馬さんのお世話をしたらお小遣いが貰えるので頑張ります!」

気を吐いて答えてくれたのは、ミランそっくりな末の妹のミレーユちゃん6歳。金髪美幼女だ。

「僕も頑張りますので、姉共々よろしくお願いします」

落ち着いた対応をしてくれたのが、バランくん8歳。バーンさんと同じく茶髪だ。

大人数で向かった家は馬車で5分。子供でも歩いて通える距離にある。





「ここです。馬はまだ馬小屋がないので門を閉じて中で放し飼いになります。

二人ともお姉ちゃんとお父さんがお世話になっている人だから、ちゃんと仕事をしてくださいね」

二人の言葉遣いの良さはミラン先生の教育の賜物か。

母親には聖奈さんが説明してくれている。

俺は手持ち無沙汰だが、偶にはいいな。

説明を終えた聖奈さんは、新しい職人さんと話をつけるために家を出ていった。

この言い方だと、やの付く職業の人が脅しに行くみたいで語弊がありそうだが、そこまで違いはないだろう……

この後のご近所さんへの挨拶は、何もしていない俺が先陣を切ってすることになった。


もちろん、めちゃくちゃ赤べこした。

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