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高校生が、学校の屋上から飛び降りて自殺した。それだけならまだ普通の出来事だ。決して普通の出来事なんかじゃないけど、現実に起こりうること、として見ると普通の出来事、だと思う。

私は、飛び降り自殺して、幽霊になった。普通の幽霊ではない。そもそも幽霊が存在するのか、という問題は置いておいて。私は全ての人間から観測される幽霊なのだ。本当に全ての人間かは確かめようがないけれど、少なくとも幽霊になってから出会った人間の中で私を見る事ができなかった人間は一人もいない。飛び降りて悲惨な状態になった私の死体を確認した人間は私含めて結構な人数がいるし、ものを通り抜けたり写真に映らなかったり、写ったとしてもおかしな写真になっているので、幽霊という事でいいのではないかと思っている。

幽霊になった私は学校の外に出られなくなった。上下移動の制限はないっぽいから、多分その気になったら宇宙とか、地球の反対側……ブラジルとかなら行けるのかもしれない。試すつもりはないけど。授業に出たってなんの意味もないし、トイレの花子さん的なものになるのも嫌だし、とりあえず今は図書室に住み憑いている。生前の私が一番気に入っていたからだ。

幽霊だから普通の本を読むことはできない。本棚から本を取り出すことが不可能だし、誰かに手伝ってもらって読むのもなんとなく嫌だ。でも、死んでいる本なら。借りられる事が全然なくて埃をかぶっている本とか、酷く汚れていたり、ページがばらけてしまっている本。そういう本を、死んでいる本と呼んでいる。死んでいる本、なんて言い方はとても失礼だと思うけど、他に言い方が思いつかないので仕方がない。とにかく、死んでいる本なら、私にでも触れる事ができる。その本自体は本棚に挟まったままだけど、私と同じ幽霊状態の本を取り出して読む事ができる……という感じ。挿絵があれば正しく残せるけれど、これも仕方がない。

そう、死んでしまったものなら私も触れるのだ。

ゴミ置き場に放置されていた壊れたワープロを使って、暇つぶしにこうして文章を書いている。いつ成仏するか、本当に成仏するのかもわからないけど。とにかくこんな珍しい状態になっているのだから記録を残しておきたいと思ったのだ。

死んでしまったものたちへ

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