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あれから眠れる日もあったけど
やっぱり一度うまくいかなくなると
なかなかいつも通り眠りにつくのは難しくって、僕は少し疲れを感じていた。
「涼ちゃん、ちょっといい?」
「ん、どしたの?」
若井がはいっと差し出したのはぐっすり眠れる、と書いてある栄養ドリンクだった。
「薬じゃないし、気休めかもしれないけど···なんか涼ちゃん顔色良くないし、元気ないから」
こういうところ、一緒に住んでた時から変わらない。
決して押し付けがましくない気遣い。
「ありがとう···若井って、本当に優しいよね、昔から変わんない」
「そうかな···俺、みんなに優しいわけじゃないから。涼ちゃんだから、だし」
素直な好意は嬉しい。
でもそれに応えることは出来ないけど。
「嬉しいよ···その気持ちが嬉しい」
「うん···だから、なんかあったら言って1人で抱え込まないで」
抱え込まないで、か。
素直に言ったらどう反応してくれるんだろうか。
僕は元貴が好きって。
溶けるほどに抱かれたいって思ってるなんて。
···きっと軽蔑されるな。
自虐気味に笑ってその夜、寝る前にもらったドリンクを飲んだ。
ほんの少し、いつもより眠れた気がした。
「涼ちゃんおはよ。ねぇ次の番組浴衣ってどう?夏にぴったりかなって」
「うわぁ、いいね!元貴の浴衣姿みたいし」
素敵なアイデアだし、なにより本当に浴衣姿が見てみたい。
「若井もおんなじようなこと言うんだよ、涼ちゃんの浴衣姿見たいって」
「···じゃあ元貴は若井の浴衣姿が見たいんだね」
にっこり笑ってやると慌てて元貴は手を振る。
「別に···!何いってんの!」
「はいはい···じゃあ浴衣に決まりだね、楽しみ」
可笑しいくらいすれ違う気持ちに笑えてくる、考えることはみんな同じなのにね。
苦しいね、誰も報われないのにね。
想像以上に好きな人の浴衣姿は素敵でそれに皆とっても似合っていた。
「涼ちゃん、写真撮ってあげる」
元貴とツーショットを撮影したあとに僕だけの写真を撮ってくれる若井をレンズ越しに見つめる。
「···どうしたの」
「うぅん···カメラを通して見る僕は若井にどう写っているのかなって」
「···綺麗で、それに···」
「それに?」
「···言えない、秘密」
若井はやっぱり素直だ。
顔にも写真にも全部出てるよ、おもってること。
「あとでこの写真とこの写真、これもちょうだい?」
3人のと、若井とのツーショットと、元貴の写真。
わかるよ、僕も好きな人を見ていやらしいことばっかり考えちゃうから。
若井が僕を見るような目で、きっと元貴のことを見ちゃってるんだろうな。
コメント
2件
三人のすれ違いっぷりがなんとも言えない。切なすぎ! ウー( ・᷄︵・᷅ )グスン
更新ありがとうございます❣️ はるかぜさんのお話で、The三角関係読めるのめちゃくちゃ嬉しいです〜🤤💕