TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「ごめん。藤塚さんの家、分からないから案内してくれるかな?」


「分かりました。」


そう言って私がシートベルトをしめると、車は動き出した。


まだ、暖房が効いてないため、肌寒い車内は、もう新車の匂いはしなかった。


響く音は、時々私が道案内する声とラジオから流れる音楽だけ。


あとはずっと無言の状態。しかし、そんな沈黙を打ち破って店長は話し出した。


「あの…さ。今日、家まで送ろうとしているけど、夜の予定とか大丈夫…だった?その…」


歯切れの悪い言い方。何のことを言っているのかすぐに分かった。


「援交…ですか?」


ストレートに聞いてきた私に、店長はう、と言葉を詰まらせる。自分から聞いたくせに。


やっぱりまだ気にしていたんだ。やっていなくて正解だったな。


私は、窓の外に視線を移して、答えた。


「心配しなくても、もうやっていませんよ。店長に言われて心から反省したんです。」


よくもまあ、こんな嘘がすらすら出るもんだ。

だけどきっとこれで、疑われることはなくなる。そう、確信した。


ところが…



「いや…やってもいいんだよ。」


店長の口から出た言葉は、信じられないもので。私は、思わず店長の横顔を見つめてしまった。


街の灯りに映し出されたその顔は、複雑そうな笑顔だった。


店長は、私の視線に横目で気づいたのか、苦笑いしながら答えた。


「あ、いや…誤解があるかな?本当は、そんなことしてほしくないんだ。けど…君が寂しくないならそれでもいい。それでしか、埋められない寂しさがあるんでしょ?」



loading

この作品はいかがでしたか?

37

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚