この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません
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渡辺side
まさか男同士で婚約して結婚式を挙げるなんてことになるとは。ましてや、一生愛し抜くと決めたその相手が誰よりも長く近くにいた幼馴染みになるだなんてあの頃は思ってもいなかったな
『…やべー緊張する』
「身内しかいないのに?笑」
柔い笑みを浮かべて声をかけてくれる幼馴染み兼旦那はなんか余裕があって悔しい。でも取り繕えないくらいガチガチに緊張してしまっている俺は彼の言葉に小さく頷くしか出来なかった
【えー…っと。病める時も、健やかなる時も、…翔太が年々若返っても、舘様の間が長すぎるときも、俺らメンバーがゆり組に歓喜しているときも】
《阿部ちゃん自我が出てるよー》
【あは、バレた?】
神父向きかなあと思って阿部ちゃんにこの役任せちゃったのは間違いだったかな。めめからすかさずツッコミが入った。ここで夫婦漫才すんじゃねえよ、本日の主役一応俺らだっての
【う”ぅ”ん”】
『おっさんみてえ…』
【うるさい、続けるからね。え~……お互いを支え合い、生涯共に過ごすことを誓いますか?】
『…っす』
「はい、誓います」
[翔太は誓わねえのかー?わら]
『誓うわバカ!』
【ふっふっふ…言ったね?んじゃ、誓いのキスをどーぞ】
チカイノキス…誓いのキス?いやいやいやちょっと待て、そんなん聞いてねえしこんなサプライズいらねえっつーの。嫌ではないけど恥ずすぎる。めめあべと違って俺らそういうの人前で出来るタイプじゃねえし!!
「…っふ、笑」
『…んだよ、』
「いや、最初にキスした日のこと思い出すなって」
『覚えてんの?』
「もちろん、可愛かったもん」
『お前なぁ…』
【なになに、ファーストキスを再現するって?】
『言ってねえ!!』
「…やろうか。」
『え”っやんの?!』
まずいまずい、ほんとにやるつもりなのかコイツ。正気か?と、思っていたら俺の方へと1歩近づいてきた。ファーストキスつっても俺らのはファーストで留まんなかったからなぁ…。軽いやつ何回かやってそのまま深いのいって流れでその先まで…いやいや何考えてんだ、じゃなくてこれ再現するとしたらやば
「ん」
『え?』
「左手、出して」
徐に俺の目の前に跪いたかと思うと、手を貸せと言うように手を差し出してきた。わけもわからぬまま彼の掌に掌を重ねると、彼はその手を引き寄せて手の甲に一つ口付けを落とした
『…ぇ、』
「…はい。これでいい?」
【ほぇーゆり組のファーストキスってそんなんだったんだ、ロマンチック~】
「でしょ笑 翔太恥ずかしがるから手にしたんだよね」
何で彼がそんな行動を取ったのかもよくわかんないまま式は無事に終わって、近くのホテルに二人で止まった
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二人してベッドに腰かけてそろそろ寝ようか、それとも別のことをしようかと二人で考える。結局明日の予定とかを確認して会話は終了。その沈黙があれを聞くチャンスなんじゃないかと思ってまた口を開く
『…あ、そうだ涼太』
「ん?」
『あのー…あれ。誓いのキスについてなんだけど』
「うん」
『…別の人と間違えてね?』
「?間違えるわけないじゃん」
『いやでも俺らのあんなんじゃなかっ…』
「翔太が嫌そうな顔してたからさ」
『えっ』
そんなわかりやすく顔に出てしまってたのか。じゃあ気遣いからのあの手の甲へのキス?まじかよ、やめろまじで惚れ直すじゃねえか
「…っていうのは建前で。」
『やっぱ別の人と間違えて…?』
「それはないんだけど」
『じゃあなんだよ』
「んー…そう、でもなくて。…翔太ちょっとこっち向いてくれる?」
言い淀む彼に訝しげな視線を向けると優しく、そして軽く唇が重ねられた。それこそあの時の…俺らのファーストキスが思い起こされるような口付け。にしても何で急に?ポカーンと口が半開きのちょっとアホな面のまま彼を見詰めていると、彼は口角を上げて普段は絶対言わないようなことを言い始めた
「…翔太のこの顔知ってるのは、俺だけがいいなって」
『…は、?』
「ごめん、こんな幼稚な独占欲やだよね、笑」
『…いや、涼太がそんなこと言うと思わなくて吃驚しただけ』
「…まあ、普段は言うの我慢してるし」
『まじか…』
「重いの嫌いだろうから言わないけど」
『…いや別に、涼太なら良いけど』
「え、今なんて?」
『だから、独占欲とかそんなんも涼太のなら嫌じゃないよ、って』
今度はあっちが呆気に取られてポカン顔。不覚にも可愛いと思ってしまった。あ~…これが独占欲ってやつかぁ。涼太のこの顔見れるのは俺だけがいいな、なんて
『ま、そんな欲見せなくても俺はお前のことしか見てないけど』
「…ふふ、そっか。もう翔太も宮舘になったことだし、実質俺のだよね」
『そーゆーこと。…てかさ、もう眠い?』
「いやまだあんまし」
『じゃあその…さ』
さっきの彼の行動を準えるように優しいキスを送り、あの日と同じようにその短いキスを繰り返す。何やら小さく声を漏らしながら伸ばしてきた彼の手を絡めとり口を離すと、彼は既に雄の顔つきになっていた
「…待って。止まれなくなっちゃう」
『止まれなくしようとしてんの』
「ふーん…シたいんだ?」
『…まあ、』
「じゃあお誘いしてよ」
緩い微笑みを浮かべて握っている手はそのままに、もう片方の腕で俺を引き寄せる。さらりとこういうことが出来るのがすげえよなぁ、と思ったり。そんな彼の空気に飲まれないよう、ふぅ…と息を吐き出してからもう1度彼に向き合う
『あの日みたいに、この続きしよ』
「んー……もう1声」
『…ぇー、』
合格点が貰えるまで始まる気配がないから必死に頭を回転させる。もうストレートに言うしか思い付かねえぞ。恥ずい…めちゃくちゃ恥ずい…けど、背に腹はかえられん
『…心も身体も、お前で満たしてほしい、から』
「から?」
『抱いて、涼太』
ここまで皆まで言うつもりなかったのになぁ、なんて考えると同時に言っちゃった!!と若干後悔。でも涼太的にはなんか刺さったらしくて頭を撫でられた。うーん、嬉しいからおーるおっけー
「…可愛いなあ、俺のお嫁さんは」
『お嫁さ…?!』
「違った?」
『…違わない』
彼の口元に笑いが零れたかと思うと優しく肩を押されたからベッドに身を預ける。唇に触れた温もりを深く味わいながら、その感覚に集中するように目を閉じた
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おまけ(何も考えず堂々とやっためめあべver.)
阿部side
【俺文言わかんねえんだけど!!】
「大丈夫だよ佐久間くん、いける」
【いけねえだろ!】
『めめがいけるって言ってるからいけるよ。佐久間頑張って!』
【阿部ちゃんもそっち側なの?!笑】
なんか色々あって神父さんがこれなくなっちゃったらしいから、俺のシンメでありめめの風呂友である佐久間にお願いしたところ、何を言えばいいかわかんないとのこと。スマホの持ち込みを許可してそこの文章を読み上げて貰うとなんか変なしゃべり方をしてる
【え~、YAMERU TOKI MO】
『ん、?』
【SUKOYAKA NARU TOKI MO】
「…待ってなんでそんなカタコトなの笑」
【なんか俺の中で神父さんって海外の方のイメージがあってぇ】
『そこは普通でいいのよ笑』
【あそうなの?笑 えーでは、誓いの𝓚𝓲𝓼𝓼を…】
文章をすっとばかしまくっていきなり誓うことになったらしい。無駄に発音のいいKissを聞きながら、めめの方を見ると同じく笑いを堪えたような顔をしていた
『ねぇめめ笑わないでよ?笑』
「阿部ちゃんも笑ってるじゃん、笑」
結局二人とも笑いを抑えきれないままコツンとおでこ同士がぶつかって、鼻先が触れそうになるくらい距離が縮まる。そのままもうこっちからしてやろうと彼の腰に腕を回して引き寄せて、軽く口付けた
『はい、これでもうめめは俺の旦那さんね』
「…一生大事にします」
【お、俺らの目の前でこんないちゃつく…?】
困惑した佐久間だった。
コメント
2件
きゃーーーーーー🤦🏻♀️🤦🏻♀️🤦🏻♀️ ゆり組にめめあべにもうご馳走様です!!❤️💙🖤💚