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くまさん、第3話読ませていただきました! 氷のナイフと気圧差を使った密室トリック、すごく説得力があって引き込まれました…!パイクリートの応用や重水の話など、科学的な考証がしっかりしているからこそ、現実味を帯びてゾクゾクしました。シャルルの法則を使った空気銃の仕掛けも、なるほど!と膝を打ちました。 ただ、トリックの解明だけじゃなく、まだ別の謎が潜んでいそうな雰囲気も感じられて、続きが気になります。次話も楽しみにしていますね🌷
第3話です。読みにくいところがあったらすみません。では、どうぞ。
第3章:科学の法廷1時間後、研究所のラウンジに全員が集められた。中央のテーブルには、神崎が用意したいくつかの実験器具が並んでいる。「皆さん、阿久津さんを殺害した犯人と、その密室トリックが解けました」神崎は静かに切り出した。「馬鹿なことを」氷室が苦笑する。「部屋は完全に閉ざされていた。外から鍵をかけることは不可能な構造だ。阿久津が自分で胸を刺したとでも言うのか? 凶器もないのに」「いいえ、阿久津さんは他殺です。そして犯人は、部屋の外にいながら彼を殺害し、さらに凶器をその場から消し去りました」神崎の言葉に、白石奈緒が息を呑んだ。「まず、凶器の謎から説明しましょう。凶器が見つからなかったのは当然です。なぜなら、凶器は『氷のナイフ』だったからです」「氷のナイフ?」玲香が首を傾げた。「でも先生、普通の氷で作ったナイフでは、人間の皮膚や筋肉を突き刺すほどの硬度は得られません。肉体に刺さる前に砕けてしまうはずです」「その通り、通常の氷ならね」神崎は人差し指を立てた。「しかし、ある科学的な手法を使えば、氷の硬度を劇的に高めることができる。犯人が使ったのは『パイクリート(Pykrete)』の応用、それもさらに進化させた高強度のアイス・アロイ(氷合金)です」神崎はテーブルの上のビーカーを示した。「パイクリートとは、水に約14%の木綿や紙パルプなどの繊維を混ぜて凍らせたものです。これにより、氷の脆さが克服され、コンクリート並みの強度を持ち、銃弾さえ弾くようになります。しかし、今回は傷口に繊維が残っていなかった。犯人が混ぜたのは繊維ではなく、『セルロースナノファイバー』、あるいは『特定の塩類による共晶現象』を利用した微細構造の制御です」神崎は実験器具を操作し始めた。「さらに、犯人は普通の水ではなく、重水(D₂O)を一部混ぜていた可能性があります。重水で作った氷は、通常の氷(融点0度)よりも融点が3.82度高く、結晶構造が緻密になり、硬度が増します。これをマイナス30度の環境で極限まで冷却し、分子の運動を止めておけば、十分に人間を刺し殺す鋭利な刃物が作れます。そして、刺された被害者の体温(約36度)によって、氷のナイフは体内で急速に融解し、ただの水となって傷口を濡らし、凶器としては消滅したのです」「しかし、神崎先生」氷室が反論した。「仮にそんなナイフがあったとしても、部屋は内側から施錠されていた。どうやって外から刺すんだ?」「それこそが、この密室の罠です」神崎はプロジェクターの画面に、特別実験室の構造図を映し出した。「この部屋は『極低温実験室』。つまり、内部の空気が冷やされると、空気の密度が高くなり、体積が収縮します。シャルルの法則(気体の体積は絶対温度に比例する)ですね。部屋が密室であればあるほど、内部が冷やされると気圧が下がり、外気との間に強力な『気圧差』が生じます」全員が図面を凝視した。「犯人は、夕方の時点で実験室の換気ダクトの隙間に、ある仕掛けを施していました。それは、細い高圧耐性チューブと、先ほど説明した『高強度氷ナイフ』をセットした簡易的な『空気銃(エア・ガン)』の機構です」「空気銃……?」奈緒が呟いた。「そうです。犯人は阿久津さんを『ある理由』で午後11時に実験室に呼び出した。阿久津さんが部屋に入り、内側から鍵をかけた後、犯人はあらかじめセットしていた外側のバルブを操作した。実験室の内部はマイナス30度で低気圧状態。一方、外の廊下は20度で通常気圧。この激しい気圧差を利用し、さらに外部から圧縮高圧ガス(研究所に常備されている窒素ボンベなど)を一気に注入することで、チューブ内の氷のナイフは猛烈な速度で射出された。ナイフはダクトの直線ルートを通り、部屋の中央にいた阿久津さんの胸を正確に貫いたのです」