ど,どうしよう…!気分悪くして帰るだなんて幼い子供みたいじゃん…!
『最悪だ…僕』
はぁ…と溜息をついて公園でブランコを漕いだ
??「あれ,アイだよね。何してるの?」
『え,あ,結さん…』
少し大きなお腹をした結さんがいた
マタニティマークをつけている鞄を持ってるから,妊娠したんだとすぐに分かった
過去のループでは,堀部はあんな事言わなかったし,結さんと会わなかったから分からなかった
もうめちゃくちゃだ…
『妊娠,してたんだ…』
結「うん。三つ子なんだって」
『三つ子!?』
初めてで三つ子ってかなり大変になるんじゃ…
…………僕って他に目を向けてなかったんだな
自分の事ばっかり考えて馬鹿みたいだ
これじゃVSFの副隊長を名乗れない
『僕,学校に戻るよ』
結「送るよ。良い運動になるだろうし」
『え,でも遠いよ?』
妊婦には辛いだろうし…
結「いや,送る
それに学生服のリト見たいし」
それが1番の目的でしょ
結「でもその前に腹ごしらえしよ?
お腹空いたでしょ」
『…………うん』
僕の返事を聞くと結さんは笑って「じゃあ行こっか」と街まで行って路地裏に入り,ある店の前で止まった
『バー…Arc-en-SeiLa?』
結「店長がいい人なんだよ
悩みがあるみたいだったからうってつけかなって」
結さん……
僕はカランカラン,と音を立てて扉を開いた
??「あらぁ,いらっしゃい」
え,凪ちゃんに似て……!?いや,そっくりさん!?
??「ようこそ,バーArc-en-SeiLaへ
店長のセイラよ。ってあらやだ結ちゃんじゃない!久しぶりねぇ!お腹随分大きくなったじゃなあい!
そっちの子は初めましてね。悩みがありますって顔してるわ。私でよければ全然聞くわよ?」
結「久しぶりママ
この子はアイ・ブリスコー。ちょっと公園で会ったから連れて来た
なんかお勧めのママの愛情たっぷり料理お願いしまーす」
セイラ「あらもぉここは喫茶店じゃないのよ?
でもお得意様だから作っちゃう」
セイラさんは奥の方へ行ってしまった
その隙に僕は結さんによっていつの間にか座っていた
しばらくしてセイラさんはオムライスを2つ持ってきて目の前に置いた
『人の作ったオムライス…』
セイラ「あら,嫌いだったかしら?」
『ううん……久しぶりに人の手料理食べるなって思って』
おにぃ……あに様とは一緒に暮らしてないし
僕も学校生活と仕事で忙しくてまともに食べてなかったし…
セイラ「あらそうなの?なら沢山食べて?
初めて記念におかわり無料にしちゃう」
そう言って笑うセイラさんがなんだか眩しくて,思わず俯いてオムライスを食べた
『…………美味しい……』
オムライスなんて暫く食べてなかった
美味しくて,なんだか涙が出て目の前がぼやけた
セイラ「良いのよ。泣きたい時は泣いていいの
この時間ならお客さんは来ないし,泣きなさいな」
よしよしとセイラさんは僕の頭を撫でた
『う”…う”わ”あ”あ”あ”あ”あ”ん”っ”!』
声を上げて僕は泣いた
セイラさんと結さんは何も言わなかった
『図星だった!結局僕は自分の事しか考えてなかった!変えたくて!晶ちゃん巻き込んで!
でも刀也さん救たくて!僕だって!もう辞めたい…もうこれ以上,目の前で刀也さん失いたくないよぉ……
せっかく…ガっくんから…力を貰ったのに…ごめんなさい…!ごめんなさい…!! 』
幼い子供の様に,声を張り上げて泣いた
セイラ「ねぇ,アイちゃんって言ったかしら
私達にちょっと何があったかお話ししてみない?」
僕はセイラさんと結さんに堀部に言われたことを話した
セイラ「酷いわねぇその男!
初対面なのにそんなこと言うなんて!」
結「辛かったね…ねぇアイ
剣持くんを救たい,という話も聞いて良い?」
『うん…じゃあ,刀也さんとの出会いを話すね』
あれは確か5年くらい前…
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